午前中は、駅近くの繁華街にある大きなゲームセンターへ向かった。
学校へ向かう時間とほとんど変わらない時間に家を出たはず。それなのに、行き先が憂鬱な教室ではないというだけで、肩に乗っていた重みが嘘みたいに消えて妙に気分が軽かった。
駅のロータリーには、制服姿の高校生たちが何人も行き交っていた。
俺たちとは違って、みんなこれからちゃんと学校へ向かう真面目な学生たちだ。眠そうな顔でスマホを眺めている奴もいれば、友達同士でだるそうに話しながら歩いている奴もいる。
(みんな、22日が繰り返されてることを知らないんだろうな…)
そのすぐ横を、私服姿の俺と郁真は何食わぬ顔で通り過ぎた。制服を着ていないだけで、まるで自分たちだけが世界のルールから外れた透明人間になったかのような感覚に陥る。
(もしかしたら、俺たちだって知らない時間を知らない内にループしてた可能性もあるんだよな)
「……なんか、悪いことしてるみたいだな」
すれ違う制服の波を横目で見ながら、隣を歩く郁真がポケットに手を突っ込んだまま、ぽつりと呟いた。
沈みかけていた思考にハッとして目を瞬けば、郁真が俺の顔を覗き込んでいた。あまりの顔の近さに息を飲めば、小さく首を傾げられる。
「な、そう思わないか?」
「っ、…し、してるだろ。堂々と学校サボってんだから」
「まあ、そうだけどさ」
郁真は悪戯が成功した子どもみたいに、口元をニヤリと歪めて笑った。
「もっとこう、胸が痛むような罪悪感とかあるのかと思ってた」
「ないのか?」
「今のところ、全ッ然。唯斗は?」
「俺も。驚くほどないな」
そう答えると、郁真はどこか誇らしげに、心底嬉しそうに目を細めて笑った。
私服の郁真とこうして平日の朝に歩いているのはなんだか妙な感覚で、俺は視線を直視できず、少しだけ前に移した。



