小さなレンタカーを借りて、カーナビをセットしたら早速出発。
すぐ近くのインターから高速に乗って二時間、左手を雄大な山脈、右手をどこまでも広い海に挟まれながら、北海道らしいあんまり変わらない景色を延々と走り続け、到着したのが最初の目的地、日高郡の静内というところだ。
二十間道路桜並木と呼ばれる道幅の広い直線道路が七キロも続く有名な観光スポットがあるんだけど、今日の依頼は世界的ハンバーガーチェーンのワクワクナルドなのよね。
というわけで、十時三十分、国道沿いのお店に到着。
ロングドライブで疲れてたから、ちょうどいい休憩になりそう。
周囲はショッピングモールや回転寿司、コンビニにラーメン屋と、ここだけ風景を切り取ったら埼玉の上尾と言われても分からないくらい全国どこにでもある景色。
北海道だからってそんなに駐車場が広いわけでもない。
そもそも、全国チェーンのお店だから、メニューだって変わりはないし。
とりあえず、車の中から外観の写真だけスマホで撮影。
覆面調査員は写真撮影は必須とはされていない。
趣味でSNSにあげる人もべつに珍しくもない世の中だけど、お一人様であんまり店内の写真を撮り過ぎて怪しまれてもいけないもんね。
ただ、現地に行ったことを証明するために建物かレシートの写真提出が求められるから、目立たないように一枚だけは撮っておくことにしてる。
自分の記念にもなるしね。
平日午前のこの時間はまだ駐車場もガラガラだ。
さりげなく外観を見回しながら店内に入っても、やっぱりお客さんはほとんどいない。
店員さんは四十代くらいのパートさんたちが数名と、ちょっと年齢が高めの男性が一人。
だけど、この人も帽子がアルバイトだ。
定年退職後の時間を使って働く人も珍しくない時代だし、それはここ北海道でも変わらないのだろう。
私は誰も並んでいないカウンターで対面の注文を試みた。
「いらっしゃいませ。店内でお召し上がりですか?」
「えっと、持ち帰りで……チーたまバーガーってまだありますか?」
「あー、ごめんなさい、先週で終わってしまいまして」
「そうですか、じゃあ、シュリンプアボタルとナゲットのセットをホットコーヒーで」
「アボタルシュリンプバーガーとワクドナゲットのセットをホットコーヒーのSで、お持ち帰りですね」
省略した私の注文を、正式な商品名で復唱するのもマニュアル通りだ。
「はい。現金でお願いします」
「かしこまりました」
私は十円玉や五十円玉をじゃらじゃらとトレイの上に広げながら支払った。
クレジットカードや電子マネーで支払うように指定されるときもあるけど、今回はあえて小銭を使う。
店員さんが金額を確認している間に、私はカウンター越しに厨房を観察した。
大手ファストフードだから、もちろん清掃は行き届いているし、不潔なところなど見当たらない。
ポテトの在庫管理も完璧だ。
そういった部分は本部やエリアマネージャーの巡回もあるので、よほどのことがないかぎり問題になることはない。
「六百二十円ちょうどですね。少々お待ちください」
店員さんはレシートを渡して商品のピックアップに移る。
もちろん動線はマニュアル通りで無駄がない。
すぐ近くのインターから高速に乗って二時間、左手を雄大な山脈、右手をどこまでも広い海に挟まれながら、北海道らしいあんまり変わらない景色を延々と走り続け、到着したのが最初の目的地、日高郡の静内というところだ。
二十間道路桜並木と呼ばれる道幅の広い直線道路が七キロも続く有名な観光スポットがあるんだけど、今日の依頼は世界的ハンバーガーチェーンのワクワクナルドなのよね。
というわけで、十時三十分、国道沿いのお店に到着。
ロングドライブで疲れてたから、ちょうどいい休憩になりそう。
周囲はショッピングモールや回転寿司、コンビニにラーメン屋と、ここだけ風景を切り取ったら埼玉の上尾と言われても分からないくらい全国どこにでもある景色。
北海道だからってそんなに駐車場が広いわけでもない。
そもそも、全国チェーンのお店だから、メニューだって変わりはないし。
とりあえず、車の中から外観の写真だけスマホで撮影。
覆面調査員は写真撮影は必須とはされていない。
趣味でSNSにあげる人もべつに珍しくもない世の中だけど、お一人様であんまり店内の写真を撮り過ぎて怪しまれてもいけないもんね。
ただ、現地に行ったことを証明するために建物かレシートの写真提出が求められるから、目立たないように一枚だけは撮っておくことにしてる。
自分の記念にもなるしね。
平日午前のこの時間はまだ駐車場もガラガラだ。
さりげなく外観を見回しながら店内に入っても、やっぱりお客さんはほとんどいない。
店員さんは四十代くらいのパートさんたちが数名と、ちょっと年齢が高めの男性が一人。
だけど、この人も帽子がアルバイトだ。
定年退職後の時間を使って働く人も珍しくない時代だし、それはここ北海道でも変わらないのだろう。
私は誰も並んでいないカウンターで対面の注文を試みた。
「いらっしゃいませ。店内でお召し上がりですか?」
「えっと、持ち帰りで……チーたまバーガーってまだありますか?」
「あー、ごめんなさい、先週で終わってしまいまして」
「そうですか、じゃあ、シュリンプアボタルとナゲットのセットをホットコーヒーで」
「アボタルシュリンプバーガーとワクドナゲットのセットをホットコーヒーのSで、お持ち帰りですね」
省略した私の注文を、正式な商品名で復唱するのもマニュアル通りだ。
「はい。現金でお願いします」
「かしこまりました」
私は十円玉や五十円玉をじゃらじゃらとトレイの上に広げながら支払った。
クレジットカードや電子マネーで支払うように指定されるときもあるけど、今回はあえて小銭を使う。
店員さんが金額を確認している間に、私はカウンター越しに厨房を観察した。
大手ファストフードだから、もちろん清掃は行き届いているし、不潔なところなど見当たらない。
ポテトの在庫管理も完璧だ。
そういった部分は本部やエリアマネージャーの巡回もあるので、よほどのことがないかぎり問題になることはない。
「六百二十円ちょうどですね。少々お待ちください」
店員さんはレシートを渡して商品のピックアップに移る。
もちろん動線はマニュアル通りで無駄がない。


