竹下と芦澤は、夢の国行きの電車に揺られていた。
「芦澤先輩の好きなタイプって、どんな人なんすか?」
「歳上、真面目、スパダリ、ギャップ萌え――」
「条件多いっすねえ」
「――で、俺にだけ、デレ」
「うっわ、激レアっすね」
(……つーか、それ、今の先輩自身じゃ……)
「激レア、貴重、SSR」
芦澤がぶつぶつ呟く。
「……ッスね」
竹下は苦笑した。
*
桜井は、そのころ――
(……ど、どうしよう……。竹下くんに、出席カード二枚もらって、名前書いて出しといてって言われたけど、いいのかな……怒られないかな……)
入り口の出席カードの入った箱の側を、うろうろしていた。
「どーしたの?桜井くん?」
同じ学年の女子だ。
「えっと……あの……竹下くんに、出席カード頼まれたんだけど、1枚しか、取れなかった……」
シュン……と、犬なら耳と尻尾は下向きだ。
「そんなの、ザッと行って、バッととって、サッと帰って来れば大丈夫!」
その子は、ザッ、バッ、サッ……と、やってのけた。
「はい、どうぞ!」
桜井は、カードをもう一枚手に入れた。
「ありがと!」
桜井の瞳が、キラキラ……と輝いていた。犬なら尻尾ブンブンだろう。
女子学生たちはその様子を、微笑ましく眺めていた。
