クリスマス当日の日曜日、天気は晴れていた。冬のやわらかい日差しが眩しい。細くて白い雲がうねうねと空に浮かぶ。
「お、委員長が来た」
「ごめん、俺が一番遅かった?」
「大丈夫、みんな楽しみすぎて先に着いただけだし」
大人数で駅からボウリング場を目指して歩きだす。日曜日だからか、人が多かった。街のあちこちにクリスマスツリーが飾られている。
「家族連れも多いな」
ノアが行き交う人を見て感心したように言う。
「多分、どこの学校も今日から冬休みだから」
俺が言うと、ノアは納得したように頷いた。
「I see.」
「ターキーとかケーキを買いに来てる人もいるのかも」
「日本ってクリスマスにケーキを食べるの?」
「えっ、アメリカじゃ食べないの?」
「食べないな」
アメリカ文化、まだ知らないことがたくさんある。ノアとしゃべっていると、毎日が発見だ。
「ノア、委員長、遅いぞ!」
「ごめん、今行くー!」
ボウリング場について靴を履き替え、ボールを取りに行く。
「じゃあ二チームに分かれるぞ」
「グーパーで分かれよう」
「せーの」
ばっ。俺、パー。ノア、グー。
「Really? 涼介と一緒がよかった」
「はいはい。ちゃんと分かれろよ」
ノアが不満そうに眉根を寄せる。……ちょっと嬉しい。
ゴトッ、カコーン。ボウリング場の独特のにおいの中、気持ちのいい音が響く。
ゲームが始まると、最初からスペアが出て盛り上がった。
「次、オレがストライクを出す」
「えっホント? ノア、うちの弟と遊んで負けたらしいよ」
俺の告げ口にみんながにやにやする。
「ふうん。バスケができてもボウリングはまだまだか」
「涼介、うるさい!」
ノアは二本残した。ふふんと立ち上がる。
「ほうら、やっぱり」
「涼介、ムカつく! ストライク出せるの?」
「それは投げてみないと分からない」
コーン! 一本残った。チッと思わず舌打ちが出る。
「涼介、舌打ちはよくない」
「悔しいの」
ゲームはどんどん進み、六回目でストライクを出した。
「やった!」
俺が戻ってくると、「イェーイ」とノアがハイタッチしてこようとした。
「ノア! 敵チームを応援するんじゃねえ!」
思わずあげていた手を引っ込める。なんかちょっと残念。ストライクくらい喜んでもいいじゃん。
その後、ノアもスペアを出した。
「Yes!」
拍手の中、満面の笑みでノアが戻ってくる。
「涼介、オレのかっこいいところ見た?」
「次はストライクを出してみな」
「鬼!」
十フレームやって、俺のチームが勝った。みんなでハイタッチする。
「次、またグーとパーで分かれようぜ」
ばっ。俺、グー。ノア、パー。また別のチーム。
はあとノアがため息をつき、俺もため息を呑み込む。見えない耳が垂れたドーベルマンにみんなが「まあまあ」と肩を叩き、二ゲーム目が始まる。次、三ゲーム目。
「最後のゲーム!」
ぐっとぱーで分かれましょ。俺、またグー。ノア、パー。
「……」
「……」
チームが一度も同じにならないって、確率低いはずだよな?
最後はノアチームが勝った。結局一度もノアとは同じチームになれないまま、施設内のフードコートに移動する。
「ボウリング、久しぶりにやった」
「楽しいな」
「委員長、企画サンキュー」
みんなでバーガーを頬張る。次はゲームセンターだ。施設内のゲーセンは広くて、みんな「おお」と声を出した。
「ガチャガチャもある」
「取りたいものねえかな」
みんなが散って、ノアが目配せしてきた。
「オレ、クレーンゲームは得意」
「……本当?」
「あっ、信じてない!」
「やってみせてよ」
ノアが機械の間を抜けて、慎重に一つひとつを見て回る。その中でひとつの台に狙いを定めた。
ウィーン。アームが犬のぬいぐるみを転がし、三回で取った。思わず拍手をする。
「これはすごい」
「だろ」
落ちてきたぬいぐるみをノアが取り出し、「はい」と差し出してきた。……ドーベルマンだ。
「いいの?」
「涼介にあげようと思ってたから」
まるでクリスマスプレゼントだ。思わずぎゅっとぬいぐるみを抱きしめた。
「ありがとう……」
「まだ回数残ってるから涼介もやってみて」
五百円追加してやったけど、犬は取れなかった。悔しい。
別の機械で――そう言おうと思ったとき、クラスメイトが「ノア!」とやってきた。
「あっちのレーシングマシーン、やろうぜ。勝負」
……俺もノアにプレゼントしたかったのにな。ちょっと残念。
その後はレーシングゲームやスポーツ施設をみんなで回った。バスケのゴールでは、当然のようにノアが最多得点を叩き出す。ふふんと生意気そうに口端をあげて、俺を見た。ドーベルマン、ここぞとばかりに得意げ。
「お、委員長が来た」
「ごめん、俺が一番遅かった?」
「大丈夫、みんな楽しみすぎて先に着いただけだし」
大人数で駅からボウリング場を目指して歩きだす。日曜日だからか、人が多かった。街のあちこちにクリスマスツリーが飾られている。
「家族連れも多いな」
ノアが行き交う人を見て感心したように言う。
「多分、どこの学校も今日から冬休みだから」
俺が言うと、ノアは納得したように頷いた。
「I see.」
「ターキーとかケーキを買いに来てる人もいるのかも」
「日本ってクリスマスにケーキを食べるの?」
「えっ、アメリカじゃ食べないの?」
「食べないな」
アメリカ文化、まだ知らないことがたくさんある。ノアとしゃべっていると、毎日が発見だ。
「ノア、委員長、遅いぞ!」
「ごめん、今行くー!」
ボウリング場について靴を履き替え、ボールを取りに行く。
「じゃあ二チームに分かれるぞ」
「グーパーで分かれよう」
「せーの」
ばっ。俺、パー。ノア、グー。
「Really? 涼介と一緒がよかった」
「はいはい。ちゃんと分かれろよ」
ノアが不満そうに眉根を寄せる。……ちょっと嬉しい。
ゴトッ、カコーン。ボウリング場の独特のにおいの中、気持ちのいい音が響く。
ゲームが始まると、最初からスペアが出て盛り上がった。
「次、オレがストライクを出す」
「えっホント? ノア、うちの弟と遊んで負けたらしいよ」
俺の告げ口にみんながにやにやする。
「ふうん。バスケができてもボウリングはまだまだか」
「涼介、うるさい!」
ノアは二本残した。ふふんと立ち上がる。
「ほうら、やっぱり」
「涼介、ムカつく! ストライク出せるの?」
「それは投げてみないと分からない」
コーン! 一本残った。チッと思わず舌打ちが出る。
「涼介、舌打ちはよくない」
「悔しいの」
ゲームはどんどん進み、六回目でストライクを出した。
「やった!」
俺が戻ってくると、「イェーイ」とノアがハイタッチしてこようとした。
「ノア! 敵チームを応援するんじゃねえ!」
思わずあげていた手を引っ込める。なんかちょっと残念。ストライクくらい喜んでもいいじゃん。
その後、ノアもスペアを出した。
「Yes!」
拍手の中、満面の笑みでノアが戻ってくる。
「涼介、オレのかっこいいところ見た?」
「次はストライクを出してみな」
「鬼!」
十フレームやって、俺のチームが勝った。みんなでハイタッチする。
「次、またグーとパーで分かれようぜ」
ばっ。俺、グー。ノア、パー。また別のチーム。
はあとノアがため息をつき、俺もため息を呑み込む。見えない耳が垂れたドーベルマンにみんなが「まあまあ」と肩を叩き、二ゲーム目が始まる。次、三ゲーム目。
「最後のゲーム!」
ぐっとぱーで分かれましょ。俺、またグー。ノア、パー。
「……」
「……」
チームが一度も同じにならないって、確率低いはずだよな?
最後はノアチームが勝った。結局一度もノアとは同じチームになれないまま、施設内のフードコートに移動する。
「ボウリング、久しぶりにやった」
「楽しいな」
「委員長、企画サンキュー」
みんなでバーガーを頬張る。次はゲームセンターだ。施設内のゲーセンは広くて、みんな「おお」と声を出した。
「ガチャガチャもある」
「取りたいものねえかな」
みんなが散って、ノアが目配せしてきた。
「オレ、クレーンゲームは得意」
「……本当?」
「あっ、信じてない!」
「やってみせてよ」
ノアが機械の間を抜けて、慎重に一つひとつを見て回る。その中でひとつの台に狙いを定めた。
ウィーン。アームが犬のぬいぐるみを転がし、三回で取った。思わず拍手をする。
「これはすごい」
「だろ」
落ちてきたぬいぐるみをノアが取り出し、「はい」と差し出してきた。……ドーベルマンだ。
「いいの?」
「涼介にあげようと思ってたから」
まるでクリスマスプレゼントだ。思わずぎゅっとぬいぐるみを抱きしめた。
「ありがとう……」
「まだ回数残ってるから涼介もやってみて」
五百円追加してやったけど、犬は取れなかった。悔しい。
別の機械で――そう言おうと思ったとき、クラスメイトが「ノア!」とやってきた。
「あっちのレーシングマシーン、やろうぜ。勝負」
……俺もノアにプレゼントしたかったのにな。ちょっと残念。
その後はレーシングゲームやスポーツ施設をみんなで回った。バスケのゴールでは、当然のようにノアが最多得点を叩き出す。ふふんと生意気そうに口端をあげて、俺を見た。ドーベルマン、ここぞとばかりに得意げ。


