気付いたら、俺は和樹の部屋で寝こけていたらしい。
和樹の机の上のQRコードを改めて読み取ってみて、やっぱりこのアプリなんだなと思いながらスマホをジッと見つめて考え込んだところまでは覚えているんだけど。
ボヤッと目を開けたら、目の前で和樹がめちゃめちゃ怖い顔をしていた。
心臓が止まるかと思った。
「え、どうした?」
何があったんだ?と心配になりながら目を擦ると、和樹が俺のスマホを握り締めていることに気付いた。原因は俺のスマホか?
「もう、会ったのか?あいつに」
あいつ?誰の事だ?
全く理解出来ずに考えていたら、和樹がスマホを見せてきた。
例のアプリの画面だ。
もしかして、あいつって、あの人の事か?
「それって、アパシーさんの事?和樹も会ったの?あの人に」
大変だ。
前世の俺は、高校三年生まで欲に振り回されることなく稔の親友をやれていたのに。目の前の和樹は、既にアプリに登録してあの人に会ってしまったんだろうか。
そうなったら、待つのは和樹があの人を受け入れる未来じゃないか。
そんなの嫌だ。
「待って。和樹。待って欲しい」
言え。言うんだ。
でも、まだ謝ってもないし。
和樹にとって、稔が恋愛対象かどうかも分からない。
もし、心の底から親友だと思っていたとしたら。
この台詞は裏切りになるのでは?
じゃあ、和樹が別の人間とそういう関係になるのを見過ごすのか?
いや。それだけは、イヤだ。
「だ、だ、そ、あ、お。お、俺、に、しとく、とか。そういう、その、選択は、あ、ある?」
誰でも良いなら俺にしとけよ。
何て、かっこよく言える訳もなく。
俺には、細切れにお伺いを立てるのが精いっぱいだった。
和樹からは、しばらく何の反応も無かった。
ただただ沈黙だけが流れたんだけど、不意に和樹が立ち上がった。
「ちょ、っと。待って、貰って良いか?」
しかも、部屋から出て行ってしまった。
何故だ。
と言うか、和樹が部屋のドアを開けた途端に、和季さんの姿が見えたんだけど。いや、何か、他の人間も数人見えた気がするんだけど。
え、聞かれていましたか?全部?ど、どういう事だよ!
ヒー、恥ずかしぃ~。とか枕に顔を埋めたら、和樹の匂いがした。ヤバい。めっちゃ安心する。思わず盛大に息を吸い込んで、何て変態的な事をしてしまったんだ!と勢いよく顔を上げたら、扉から覗いていたにんまり顔の和季さんと目が合った。
なんてこった!
『いや、これは』とわたわた言い訳しようと思ったら、和季さんはすぐに親指立ててどっか行っちゃった。恥ずかしいにも程がある。
もう、何かに触るのも恥ずかしい。と、体育座りで顔を埋める事にした。
一生分の恥を掻いた気分だ。
だいぶ経ってから、誰かが部屋に入って来て、鍵を閉めた音がした。
多分和樹だろう。そう言えば、この子供部屋にはあろうことか内鍵が付いているのだ。和樹がその鍵を閉めるのを見た事は無かったけど。珍しく閉めたらしい。
あれだけ覗かれていたら、そうなるわな。
和樹は特に何も言わず、どうやら俺の真横に正座したらしい。足に顔を埋めている俺からは、すぐ横にある和樹の膝だけが辛うじて見えていた。
「稔に、大事な話がある」
さっきまでのワチャワチャが嘘のように、和樹が冷静な声で話しかけてきた。
和樹の机の上のQRコードを改めて読み取ってみて、やっぱりこのアプリなんだなと思いながらスマホをジッと見つめて考え込んだところまでは覚えているんだけど。
ボヤッと目を開けたら、目の前で和樹がめちゃめちゃ怖い顔をしていた。
心臓が止まるかと思った。
「え、どうした?」
何があったんだ?と心配になりながら目を擦ると、和樹が俺のスマホを握り締めていることに気付いた。原因は俺のスマホか?
「もう、会ったのか?あいつに」
あいつ?誰の事だ?
全く理解出来ずに考えていたら、和樹がスマホを見せてきた。
例のアプリの画面だ。
もしかして、あいつって、あの人の事か?
「それって、アパシーさんの事?和樹も会ったの?あの人に」
大変だ。
前世の俺は、高校三年生まで欲に振り回されることなく稔の親友をやれていたのに。目の前の和樹は、既にアプリに登録してあの人に会ってしまったんだろうか。
そうなったら、待つのは和樹があの人を受け入れる未来じゃないか。
そんなの嫌だ。
「待って。和樹。待って欲しい」
言え。言うんだ。
でも、まだ謝ってもないし。
和樹にとって、稔が恋愛対象かどうかも分からない。
もし、心の底から親友だと思っていたとしたら。
この台詞は裏切りになるのでは?
じゃあ、和樹が別の人間とそういう関係になるのを見過ごすのか?
いや。それだけは、イヤだ。
「だ、だ、そ、あ、お。お、俺、に、しとく、とか。そういう、その、選択は、あ、ある?」
誰でも良いなら俺にしとけよ。
何て、かっこよく言える訳もなく。
俺には、細切れにお伺いを立てるのが精いっぱいだった。
和樹からは、しばらく何の反応も無かった。
ただただ沈黙だけが流れたんだけど、不意に和樹が立ち上がった。
「ちょ、っと。待って、貰って良いか?」
しかも、部屋から出て行ってしまった。
何故だ。
と言うか、和樹が部屋のドアを開けた途端に、和季さんの姿が見えたんだけど。いや、何か、他の人間も数人見えた気がするんだけど。
え、聞かれていましたか?全部?ど、どういう事だよ!
ヒー、恥ずかしぃ~。とか枕に顔を埋めたら、和樹の匂いがした。ヤバい。めっちゃ安心する。思わず盛大に息を吸い込んで、何て変態的な事をしてしまったんだ!と勢いよく顔を上げたら、扉から覗いていたにんまり顔の和季さんと目が合った。
なんてこった!
『いや、これは』とわたわた言い訳しようと思ったら、和季さんはすぐに親指立ててどっか行っちゃった。恥ずかしいにも程がある。
もう、何かに触るのも恥ずかしい。と、体育座りで顔を埋める事にした。
一生分の恥を掻いた気分だ。
だいぶ経ってから、誰かが部屋に入って来て、鍵を閉めた音がした。
多分和樹だろう。そう言えば、この子供部屋にはあろうことか内鍵が付いているのだ。和樹がその鍵を閉めるのを見た事は無かったけど。珍しく閉めたらしい。
あれだけ覗かれていたら、そうなるわな。
和樹は特に何も言わず、どうやら俺の真横に正座したらしい。足に顔を埋めている俺からは、すぐ横にある和樹の膝だけが辛うじて見えていた。
「稔に、大事な話がある」
さっきまでのワチャワチャが嘘のように、和樹が冷静な声で話しかけてきた。


