俺が俺に惚れてる

俺と水流さんはフライドポテト、堤谷と和樹はから揚げ、木谷さんと菖蒲はチュロスに並ぶことになった。
水流さんと二人きりになるのは告白されて以来なので、ちょっと緊張する。

「赤坂君と友井君って、本当に仲良いよね」

和樹と仲良さげになっているのを気にしていただけに、この質問も和樹の事を聞きたいがためかと疑ってしまう。

「まぁ、小学校から一緒だし。水流さんは、木谷さんと菖蒲と長いの?」

何となく、和樹の情報を渡したくないとか思ってしまって、逆に水流さんの事を聞いてみる。
一応、答えたのは答えたし。そんなに素っ気ない感じでも無かったはず。

「う~ん、陽(はる)は小学校からだけど、未来(みく)は去年同じクラスだったんだ。あ、今朝電車で話したよね。菖蒲も堤谷も同じクラスだったの。堤谷と未来も普通に仲良かったから、今回のメンツなら未来も入りやすいかなって思って誘ったの」

陽は菖蒲で、未来は木谷さんの事だよな。
確かに、木谷さんと堤谷は普通に知り合いって感じで話していた。

「堤谷も木谷さんもコミュ力高いから、初対面か知り合いか分かんないわ」
「確かに。堤谷は誰とでも話せるよね~。赤坂君とか友井君はコミュ力低そうだけど」
「いやいや、和樹よりは俺の方がコミュ力高いでしょ」
「ん~、ギリね」
「ギリか~」

割と普通に話せた。
その後も、取り留めのない話ばかりした。
木谷さんが菖蒲の事を名前じゃなく名字で呼んでいるのは、初めて聞いた時に菖蒲が名前だと思っていたからとか、別の友達が堤谷の事を好きだって言っているとか、実は堤谷と幼稚園からの知り合いでたまに昔の名残で彩斗君って呼んじゃうとか、この公園には昔にも来たことがあって思い出の場所なんだとか、そういう事を教えてくれた。

思い出ってどんな思い出なのって聞いた時だけ、秘密ってはぐらかされた。

手に入れたフライドポテトは、なかなかの分量だった。
堤谷と和樹が買って来たから揚げは、まぁ、六人で分けたらほどほど。
木谷さんと菖蒲が買って来たチュロスは、女子で一本、俺と和樹と堤谷が一本ずつ貰った。
全部味が違うやつだったので、最初にちょっと千切って交換した。
齧りつこうとした堤谷にはチョップを食らわせて事なきを得た。

割とお腹いっぱいになったので、腹ごなしにトランプでもやろうかと、レジャーシートを敷くことにした。
大富豪(だいふごう)なんかしたら、地域ルールで揉める。
ルールを確認するのも面倒なので、ここはジジ抜きをすることにした。
だが、それはそれでルールの確認が必要ではあった。

「ババじゃなくて、ジジ抜きなの?」
「ババ抜きは、ジョーカーがババなんだけど、ジジ抜きはどれがババか分かんないヤツ」
「ジジ抜きなのに、ババがあるの?」
「確かに、ババって言ってるな。じゃあ、これはジジ」
「そのジジを持ってたら、負け?」
「そうそう。ババ抜きは最後にジョーカーが残るけど、ジジ抜きはどれかが一枚だけ残る」
「それを最後に持ってた人が負けね」

なんとか堤谷が木谷さんに理解してもらって、ジジ抜きが始まった。
六人でやると、最初の手持ちが多い。

最初の手持ちが一番多い和樹が抜かれる所から始まりだ。
和樹のを水流さんが抜いて、水流さんがそのまま手札に入れて手札を切る。
水流さんのを菖蒲が抜いて、揃った二枚を捨てる。
菖蒲のを堤谷が抜いて、『あ~、ない~』と言いながら右端に入れる。
堤谷の右端から木谷さんが抜いて、『え~』と言いながら手札に入れて手札を切る。
木谷さんのを俺が抜いて、揃った二枚を捨てる。
俺のを和樹が抜いて、手札の真ん中に入れる。

ジジ抜きと言えど、なかなか人によってやり方が変わるものだ。
とりあえず、堤谷の次が良かったと思う俺であった。