俺が俺に惚れてる

気持ち良く自転車を走らせて、ゴール付近の駐輪場に止めた。

「稔、写真」

忘れていた。
駐輪場に止めたら、ちゃんと鍵をかけて自分が置いた場所を忘れないように写真に撮る。
という一連の行動を忘れないようにずっとしていたのだ。
何度もしていると、たまに忘れるよな。

「忘れてたわ。ありがと」

和樹に礼を言って、ちゃんと鍵が閉まっている事を確認してから写真を撮る。
同じ場所でレンタルしている自転車なので、隣もその隣も同じ自転車が並んでいる。
自分の自転車なんて、当然、すぐに分からなくなる。
現に、鍵を閉め忘れて別の人が乗って行ってしまうっていう現象が何度も起こっているらしい。レンタルする時にも何度も注意された。

「これ忘れたら弁償(べんしょう)しなきゃだもんな~。俺ももう一回確認しとこ」

堤谷も、もう一度鍵を確認しに行く。
こういう時に、ちゃんと注意してくれる和樹も、俺だけがうっかりしている訳じゃないって行動で慰めてくれる堤谷も、マジでいい奴だと感動する。

「堤谷、良い奴だね」

菖蒲が堤谷に聞こえないようにそっと呟いた。

「だろ」

ちょっとドヤ顔で自慢しておいた。
俺の自慢の友達なんで。

自転車を止めたら、ナゾトキ最後の宝箱だ。
アプリにキーワードを入力して、入場から続けたナゾトキコンプリートだ。

「達成感、エグイな」

堤谷が感動したように言うと、みんなで同意する。
みんなで笑い合う感じが、青春そのものって感じで、凄く気持ち良かった。

「やりきったら、腹減ったな」
「ほんと、お腹ペコペコ」

和樹の言葉に、水流さんが同意する。
おやつの時間に丁度いいくらいの時間になっていた。
にしても、ちょっと阿吽(あうん)の呼吸過ぎないか?

「さっきと違うのが食べたいよね~」
「ちょうどおやつの時間だしね」
「チュロスとか、クレープとかいいよな」

菖蒲と木谷さんも盛り上がり始めて、堤谷の提案に二人して『それ良い』と食いつく。
そうか、全体的に仲良くなっているんだな。
別に和樹と水流さんだけが仲良くなったわけじゃないよな。そうだよな。

「じゃあ、また二人ずつに分かれるか」
「シートは買って来てから敷くか?」
「そうだな、結構並びそうだしな」

とりあえず、キッチンカーをグルッと回って、自分の食べたいものを検討してから、三手(さんて)に分かれて買うことにした。
一周回ると、なかなか色んなものがあって、それはそれで悩みが増えてしまった。

うだうだやった結果、いったん食べやすいのを買って来て、また食べたくなったらみんなで買いに行こうという事になり、とりあえず組み合わせを決めた。
今度は、俺と水流さん、堤谷と和樹、木谷さんと菖蒲の三組に分かれた。
確かに、六人でグーチョキパーなら、必ず男女になる訳じゃないよな。