俺が俺に惚れてる

六時間目が終われば、部活だ。
結局、GW(黄金週間)の計画は何事もなく消え去った。

と思ったのに、その日の夜に堤谷からメッセージが届いた。

【水流ちゃんから連絡。俺らと水流ちゃんの友達と六人でお出掛けしませんかって。】

は?何で断らずに報告して来るんだよ。
そんなん、もう既に付き合っている奴らがやることじゃねぇか。
何で、俺が水流さんに告られたからって、そんなこと……

【女子と行くなら、大きい公園とかなら広くて花も咲いてていいんじゃないか?】

……は?
え?このメッセージ、和樹からだよな。
え?あれ?
和樹は行く気満々なの?!

何故だ。
やっぱり和樹は、俺に惚れている訳じゃないのか?

【さすが、出来る男は提案が早いな!じゃ、俺から彼女らに提案してみるわ】

話がトントン拍子に進んでいく。
俺が返事してないのに勝手に決めんなよ。学校での堤谷の気持ちが分かった気がする。
俺がリアルタイムでメッセージを見ている事は、既読(マーク)が付いている事でバレているので、反対しないということは同意したと同義(イエス)だと思われているんだろうけど。
でも、一回くらい俺の返事を聞いてからにしろ!

【六人のグループ作ったから、二人も招待するわ】
【ちなみに、水流ちゃんの友達は、
 うちのクラスの木谷(きたに)未来(みく)と、
 男バスのマネージャーの菖蒲(あやめ)(はる)な】

木谷は、クラスメイトなので何度か話したことがある。
確か、和樹の事が好きだって噂を聞いた事がある。というか、前に一度告白されて断ってなかったか?中学の時に。
そして、菖蒲は昨日、俺を呼び出したマネージャーだ。

……いや、自信過剰で申し訳ないが。
二人が俺狙いで一人が和樹狙いでは?
堤谷、完全に利用されているだけじゃねぇか。それでいいのか?

【了解】

和樹が即行でメッセージを返す。
いや、マジで乗り気なの何?いつも、女に対してめちゃくちゃ冷たいよな。何があった?

もう、俺はどうしていいのか分からず大混乱だ。
とりあえず、落ち着こう。
俺は和樹の気持ちが分かるはずだ。だって、前世の俺なんだから。

俺が、前世の俺(和樹)だったとする。
惚れている稔が、女に告白された。稔はちょっと嫌がっている。でも、相手の女はぐいぐい来ている。友人の堤谷も仲を取り持とうとしている。
そんな状況で、前世の俺(和樹)が、稔とその女を付き合わせたいと思う理由は?

ピコーン! ――閃いた!

和樹は、()と水流さんを付き合わせることで、()に対する恋心を諦めようとしているんだ。
これだ。間違いない。名推理!
名探偵も顔負けの推理だ。

俺は名推理に満足して、そのまま気持ち良く布団に潜り込み、ぐっすりと眠りについたのであった。