余命半年の君と、一冊分の恋をした


文化祭から二ヶ月が経ち、オシャレだった教室も、いつもの殺風景に戻っていた。

殺風景でも相変わらず賑やかな教室の隅で、僕ぼんやり窓の外を眺めていた。


『木目君は、私の事好きになっちゃダメだからね』


文化祭の一日目、彼女から言われた言葉が頭の片隅に残っている。

何度考えても、意味が分からなかった。

彼女のことだから、冗談や気まぐれで言ったんだろう。

だから僕は、深く考えないことにした。

終業式が一週間後に迫ったある朝、担任が口を開くまでは。


「えー、白石は今日をもって、学校を辞めることになった」
「………えっ?」


クラスが静寂に包まれた瞬間、真っ先に声を出したのは僕だ。それを合図にするかのように、他の生徒たちもざわつき始めた。

それもそうだろう。いつもみんなの中心にいて、持ち前の笑顔で、周りを明るくしていた彼女が。そんな彼女が突然、学校を辞めると聞かされたんだ。

ざわつかない方が無理がある。

でも、文化祭が終わってから彼女は、一日も半日ですら教室に顔を出さなかった。

どうして?なんで?その言葉だけが、僕の思考回路を駆け巡る。

そんな僕を見兼ねるかのように、ざわつきの中、静かにスマホが震えた。


〈屋上にいるよ〉

「煌?どした?」
「木目?………おい、木目!」


その言葉を見た瞬間、いてもたってもいられなくなった僕は、教室を飛び出して屋上へと走りだした。

屋上にいるなら、教室に顔を出せばいいじゃないか。

いや、出せない事情があるから、屋上なんだろう。でも、一言くらい何か言ったっていいじゃないか。

僕はもう、君のこと、大切な友達だと思ってるんだから。