余命半年の君と、一冊分の恋をした


彼女との約束通り、僕の冬休みは全て彼女にあげた。

風呂から上がって、何となくスマホを開いて写真フォルダをタップする。

フォルダの中は、彼女の写真で溢れ返っていた。

書店で本を眺める横顔、美味しそうにスイーツを頬張る顔。写真の中には一枚だけ、彼女とのツーショット写真もある。

これは、不可抗力だった写真だ。彼女がいきなり僕に腕を絡めてきて、何かと思えばシャッターを切られた。

でも、嫌だとは一ミリも思わなかった。今までの僕ならきっと、嫌がっていたはずだろう。

彼女が僕を変えてくれた。それは、紛れもない事実だった。

一月に入り、全国の学校で三学期が始まる中、僕は彼女との約束のために執筆を本格的に始めていた。


「あ、鳴宮さん?先日送ったプロットに追加したい話がありまして───。はい、はい。今送りました」


彼女との約束で、ひとつの疑問が浮かんだ。

彼女が死ぬまでに完成させてということだったが、どこまで書けばいいのだろうという、簡単な疑問だ。

彼女とはあれから連絡を取っていない。

体調が良くないのか、検査が続いているのかは分からない。けれど、連絡がないというのは、それなりのことが彼女の体に起こっているのかもしれない。

なら僕の役目は、約束を何としてでも果たすこと。ただそれだけだ。

不謹慎だと思うけど、彼女の死後は重版が決まってからにでもしよう。

とにかく今は、彼女との物語を。ひたすらに。