姫様クリスマス争奪『日めくりカレンダーゲーム』

 先手必勝。のはず。なんだ。
 もう一度。もう一度考えてみよう。
 頭の中に、火を灯す。

 21(トゥエンティワン)ゲーム。
 日めくりカレンダーゲームの、この類題は、後手必勝だ。
 先手後手の二人のプレイヤーが。
 互いに数字を「1」から順に数え上げていく。
 ただし数えられる数字は、3つまで。
 「21」を言った方の負けのゲーム。

 21(トゥエンティワン)ゲーム。
 このゲームは、「20」を言って手番を渡した方が勝ちのゲームだ。
 相手は、パスをすることができないから。必ず。
 「21」を宣言しなければいけない。
 「20」を言うには、どうするか。逆算すればいい。
 相手に、「17」 「17、18」 「17、18、19」のどれかを宣言させる。

 「17」なら「18、19、20」。
 「17、18」なら「19、20」。
 「17、18、19」なら「20」。

 どのパターンでも、「20」を言える。
 「17」 「17、18」 「17、18、19」のどれかを言った方が負けのゲーム。
 なら、それを言わせるには? また。逆算だ。今度は簡単。
 「16」を言えば。勝ちだ。
 なら、「16」を言うには?

 今度は、ちょっと。飛躍する。
 「12」を。言えばいい。
 「12」で手番を渡す。
 相手が言えるパターンは、
 「13」「13、14」「13、14、15」の3通り。

 「13」なら「14、15、16」。
 「13、14」なら「15、16」。
 「13、14、15」なら「16」。

 「20」を言うには、「16」を。
 「16」を言うには、「12」を。
 相手が言った数が、1、2、3つのどれでも。
 こちらが、3、2、1つで返せばいい。
 一度の手番で言える数3。+1。
 4つの数字ずつ。
 このゲームをコントロールすることができる。

 「21」を宣言させるのに、「20」を言う。
 「20」を言うには、20 − 4 =「16」を。
 「16」を言うには、16 − 4 =「12」を。
 「12」を言うには、12 − 4 =「8」を。
 「8」を言うには、8 − 4 =「4」を。
 「4」を。

 「4」を言うには。
 相手に、「1」 「1、2」 「1、2、3」のどれかを宣言させる。
 これは、先手の手番で考えられる。全パターン。

 「1」なら「2、3、4」。
 「1、2」なら「3、4」。
 「1、2、3」なら「4」。

 逆算は全て終えた。
 先手がどう宣言しようと。
 後手は「4」を言って、手番を渡し。
 「8」を言って、手番を渡し。
 「12」を言って、手番を渡し。
 「16」を言って、手番を渡し。
 「20」を言って、手番を渡し。
 「21」を宣言させ、先手番を殺す。



 後手必勝の21(トゥエンティワン)ゲーム。
 ならば、応用の、日めくりカレンダーゲームは?
 日めくりカレンダーゲームは、11月22日の日付からスタート。
 クリスマス、12月25日の日付のカレンダーをめくり、切り取った方が勝ち。
 21(トゥエンティワン)ゲームと違うのは。
 敗北条件が、勝利条件になっていること。
 12月25日の日付のカレンダーをめくるには。
 一度にめくれるカレンダーが一週間7枚まで。

 日付なんてどうだっていい。
 シンプルな枚数のゲームだ。
 11月22〜30日の9枚。
 12月1〜25日の25枚。
 合計34枚。

 「34」を言った方の勝ち。

 逆算。逆算。
 この問題では、7つまで言えるから。
 一度の手番で言える数7。+1。
 8つの数字ずつ。
 このゲームをコントロールすることができる。

 「34」を言うには、34 − 8 =「26」で手番を渡す。
 相手は、「27」からしか宣言できず。

 「27」なら「28、29、30、31、32、33、34」。
 「27、28」なら「29、30、31、32、33、34」。
 「27、28、29」なら「30、31、32、33、34」。
 「27、28、29、30」なら「31、32、33、34」。
 「27、28、29、30、31」なら「32、33、34」。
 「27、28、29、30、31、32」なら「33、34」。
 「27、28、29、30、31、32、33」なら「34」。

 34枚目の日めくりカレンダー。
 12月25日。クリスマスを手に入れられる。 

 「34」を言うには、34 − 8 =「26」で手番を渡す。
 「26」を言うには、26 − 8 =「18」で手番を渡す。
 「18」を言うには、18 − 8 =「10」で手番を渡す。
 「10」を言うには、10 − 8 =「2」で。

 そう。「2」で。「2」で。「2」で。「2」で。
 「2」で。手番を渡せば、必勝。
 先手で、2枚めくれば、必勝。
 なのに、こいつ。
 唯我(ゆいが)は、No.1の1枚?

 計算違いはない。考え違いもない。
 俺は、ロレックスサブマリーナをちらりと見る。
 深く深く。思考に潜っていたせいなのか。
 唯我が1枚めくってから、まだ、秒針は一周もしていない。
 
統夜(とうや)くぅん。 早くしてよぉ。僕は。No.1の1枚さ」
 あいつも、かなり飲んでいるはずだが、顔色一つ変えず飄々と。
 11月22日を、左手で、ひらひらとさせていた。

「唯我さん。いや、唯我。俺の。俺の勝ちだ。俺も。いや、」
 日めくりカレンダーの上に、右手を置く。
「俺が、No.1だ。1枚。俺は、1枚めくる」

 俺は、後手必勝の。
 11月23日をめくった。