九月、十月にかけてはこれといったイベントもなく、強いて言えば十月末に行われる中間試験くらいで。
「やっと三人で勉強会できたな!
……って、もしかしておれ、お邪魔?」
今回の試験前に、一学期に実現しなかった哲哉と初との勉強会が、ようやく初の家で敢行された。
「よくわかってんじゃねーか哲。早く帰れ」
「やだな〜姫ちゃん。おれとユッケの仲に嫉妬してんの?」
「だっ、誰が嫉妬なんてするか、バカ!!」
「はじめさん、哲ちゃんの前回の期末の総合順位は二桁で、はじめさんより上でしたよ」
「……勇助、今オレのこと間接的にバカって言ったんだろしばき倒すぞ」
哲哉は飲み込みが早く、大した勉強量を積まなくても難なく七十点台を取れる要領の良い天才肌タイプだ。
一方の初は、基礎からの積み上げが必要だが、積み上げた分だけちゃんと結果を残せる努力肌タイプ。
タイプが違うだけで、積み上げが足りないだけで、決して馬鹿ではない。
「馬鹿だなんて言ってないし、思ってもいませんよ。
ひとつずつ、一緒に積み上げていきましょうね」
「……おう」
不貞腐れている初に微笑むと、初はふいと視線を外して問題集に向かい始めた。それを見ていた哲哉が「きしし」と、ひょうきんな笑い声を立てた。
大丈夫だ、今回もきっと初は"積み上げる"。黒鉛の粉で薄汚れたパーカーの袖口が、その努力を物語っていた。
「そういや、ユッケのノート。元々字がきれいで見やすかったけど、解説が丁寧になって更にわかりやすくなったよな。
姫ちゃんに勉強教えてる影響?」
勇助にノートを返しながら、唐突に哲哉が訊ねた。
確かに、今までは復習のためだけにノートを取っていたが、前回の期末試験からは初にも見せることを意識して取るようになった。
丁寧というか、書き込む量が以前よりも膨らんだだけなのだが、結果的に復習自体もしやすくなった。
「それもあるかもしれませんね」
「そっか。愛だね、愛」
哲哉が揶揄うように笑った。
確かに。この"もうひとりの弟"の世話をつい焼きたくなってしまうような感覚は、
「なるほど……『愛』、かもしれませんね」
「ヒュウ! よかったな姫ちゃん」
「マジでうっせえな哲、勉強しねえんなら早く帰れよ!!」
哲哉に揶揄われたのが相当頭にきたのだろうか。顔を真っ赤にして怒り散らす初がどことなく可愛らしくて、勇助は思わず笑みをこぼした。
勉強会は後日、桜慈や、なんと帰国子女だというあざとちゃんとも行われ、いよいよ中間試験を迎えることになった。
「——おおっ! 見ろよ勇助、メッチャ順位上がった!!」
今回の中間試験で大躍進を果たした初は、総合順位で百五十番を切った。
「頑張りましたね、はじめさん」
大きな口で笑い喜ぶ初を労うと、初は「褒められた」と驚いたように勇助を見た。
「そりゃあ、頑張ったんだから褒めますよ。
お兄ちゃんも、とっても嬉しいです」
「学年一緒だろ! 四月生まれだからって先輩風吹かせんなよ!」
そう言いつつ、初は試験結果が記された紙を嬉しそうに眺めていた。
中間試験が終わると、十一月中旬に行われる体育祭に向けて、体育の時間がすべて体育祭仕様に変わっていった。
今回も学校祭の時のようなゆるい雰囲気で進んでいくのかと思いきや、
「よーし、しまっていくぞ!!」
「「「ウオオォォオオ!!」」」
……あれ。なんだか皆さん、燃えてませんか?
「やっと三人で勉強会できたな!
……って、もしかしておれ、お邪魔?」
今回の試験前に、一学期に実現しなかった哲哉と初との勉強会が、ようやく初の家で敢行された。
「よくわかってんじゃねーか哲。早く帰れ」
「やだな〜姫ちゃん。おれとユッケの仲に嫉妬してんの?」
「だっ、誰が嫉妬なんてするか、バカ!!」
「はじめさん、哲ちゃんの前回の期末の総合順位は二桁で、はじめさんより上でしたよ」
「……勇助、今オレのこと間接的にバカって言ったんだろしばき倒すぞ」
哲哉は飲み込みが早く、大した勉強量を積まなくても難なく七十点台を取れる要領の良い天才肌タイプだ。
一方の初は、基礎からの積み上げが必要だが、積み上げた分だけちゃんと結果を残せる努力肌タイプ。
タイプが違うだけで、積み上げが足りないだけで、決して馬鹿ではない。
「馬鹿だなんて言ってないし、思ってもいませんよ。
ひとつずつ、一緒に積み上げていきましょうね」
「……おう」
不貞腐れている初に微笑むと、初はふいと視線を外して問題集に向かい始めた。それを見ていた哲哉が「きしし」と、ひょうきんな笑い声を立てた。
大丈夫だ、今回もきっと初は"積み上げる"。黒鉛の粉で薄汚れたパーカーの袖口が、その努力を物語っていた。
「そういや、ユッケのノート。元々字がきれいで見やすかったけど、解説が丁寧になって更にわかりやすくなったよな。
姫ちゃんに勉強教えてる影響?」
勇助にノートを返しながら、唐突に哲哉が訊ねた。
確かに、今までは復習のためだけにノートを取っていたが、前回の期末試験からは初にも見せることを意識して取るようになった。
丁寧というか、書き込む量が以前よりも膨らんだだけなのだが、結果的に復習自体もしやすくなった。
「それもあるかもしれませんね」
「そっか。愛だね、愛」
哲哉が揶揄うように笑った。
確かに。この"もうひとりの弟"の世話をつい焼きたくなってしまうような感覚は、
「なるほど……『愛』、かもしれませんね」
「ヒュウ! よかったな姫ちゃん」
「マジでうっせえな哲、勉強しねえんなら早く帰れよ!!」
哲哉に揶揄われたのが相当頭にきたのだろうか。顔を真っ赤にして怒り散らす初がどことなく可愛らしくて、勇助は思わず笑みをこぼした。
勉強会は後日、桜慈や、なんと帰国子女だというあざとちゃんとも行われ、いよいよ中間試験を迎えることになった。
「——おおっ! 見ろよ勇助、メッチャ順位上がった!!」
今回の中間試験で大躍進を果たした初は、総合順位で百五十番を切った。
「頑張りましたね、はじめさん」
大きな口で笑い喜ぶ初を労うと、初は「褒められた」と驚いたように勇助を見た。
「そりゃあ、頑張ったんだから褒めますよ。
お兄ちゃんも、とっても嬉しいです」
「学年一緒だろ! 四月生まれだからって先輩風吹かせんなよ!」
そう言いつつ、初は試験結果が記された紙を嬉しそうに眺めていた。
中間試験が終わると、十一月中旬に行われる体育祭に向けて、体育の時間がすべて体育祭仕様に変わっていった。
今回も学校祭の時のようなゆるい雰囲気で進んでいくのかと思いきや、
「よーし、しまっていくぞ!!」
「「「ウオオォォオオ!!」」」
……あれ。なんだか皆さん、燃えてませんか?

