俺は毎週水曜日、好きな人とラーメンを食べる。
ただし、デートではない。
**
「庄崎先輩、卒業までに、俺とラーメン屋50軒制覇してください!」
水曜日の昼休み。春のやわらかな日差しが大きな窓から差し込む学食では、学生たちの話し声と食器の音が穏やかに混じり合っていた。
窓際から二番目の席で、目の前のその人――庄崎基先輩は、箸を持つ手を止めた。
「……なんて?」
整った眉が、怪訝そうにひそめられる。
「ていうか、誰?」
「塩谷昴晴、社会学部二年です!」
「知らないんだけど」
「これから知ってもらえたらいいので!」
先輩が表情を変えないまま黙って箸を置く。そして、少し長めの黒髪の下から覗く瞳が、まっすぐに俺を見た。
心臓がどくん、と大きく鳴る。
一年間、遠くから見ていた瞳が、今は俺だけを見ている。
――びびるな、俺。ここまで来たんだから。
「先輩、毎週水曜は学食で限定ラーメン食べてますよね」
「なんで知ってるんだよ」
「俺も毎週水曜はここでラーメンって決めてるんで」
膝の上でぎゅっと拳を握る。
「それに、先輩、去年ここで俺に百円出してくれたじゃないですか」
「百円?」
――あれは、一年前の四月だった。
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ただし、デートではない。
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「庄崎先輩、卒業までに、俺とラーメン屋50軒制覇してください!」
水曜日の昼休み。春のやわらかな日差しが大きな窓から差し込む学食では、学生たちの話し声と食器の音が穏やかに混じり合っていた。
窓際から二番目の席で、目の前のその人――庄崎基先輩は、箸を持つ手を止めた。
「……なんて?」
整った眉が、怪訝そうにひそめられる。
「ていうか、誰?」
「塩谷昴晴、社会学部二年です!」
「知らないんだけど」
「これから知ってもらえたらいいので!」
先輩が表情を変えないまま黙って箸を置く。そして、少し長めの黒髪の下から覗く瞳が、まっすぐに俺を見た。
心臓がどくん、と大きく鳴る。
一年間、遠くから見ていた瞳が、今は俺だけを見ている。
――びびるな、俺。ここまで来たんだから。
「先輩、毎週水曜は学食で限定ラーメン食べてますよね」
「なんで知ってるんだよ」
「俺も毎週水曜はここでラーメンって決めてるんで」
膝の上でぎゅっと拳を握る。
「それに、先輩、去年ここで俺に百円出してくれたじゃないですか」
「百円?」
――あれは、一年前の四月だった。
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