どうやらこの関係が変だと気づいたのは、高校三年生の夏の終わりだった。
二学期制になった高校は、夏休みが明けてもまだ一学期。中学生の頃は夏休み前が一学期だったから、変な感じがするけれど、二学期制とはそういうものだと言われれば、素直にそうなのかと思う。要は慣れてないだけ。
9月の後半になると、一学期の期末試験が始まるから、海君達バスケ部も、部活がお休みになる。だから、僕たちは一緒に帰って、海君の家で勉強することにした。学校からの帰り道、誰もいない道を二人で歩く。
「海君は、何の教科得意? 僕、国語と社会と生物しか得意じゃないよ」
「んーー俺は、数学とか化学が好きかも」
「理数なんだね、凄いな海君」
「はっきり答えがあるやつが好きなんだよ、国語とか読むのめんどくさいし」
「そっかぁ、僕たち、二人で一つだったら良かったねぇ」
「そーだな、あ、でも、俺は……やっぱ、別が良いかな」
「そう?」
「うん、だって一人だったら、こんな風にサツキと喋れないし、つまんないよ」
「そっか」
ふふって、笑って、海君の手を握る。海君の大きな手。バスケットボールを片手で掴んでダンクできるんだって。かっこいいな。
「ねぇ、なんで手を繋いでるの?」
急に声が後ろから聞こえた。振り向くと、ミオちゃんが居た。なんだか、とっても険しい顔をしている。怒ってるみたいだった。どうしてそんな顔をしているのかなと、不思議に思ってたら、ミオちゃんもっと眉をしかめた。
「何で、手なんか男同士でつなぐの? 気持ち悪いよ」
海君の表情も固くなった。あれ? 男同士で手を繋ぐと気持ち悪いの? そうなんだっけ?
あまりにも、いつも海君とくっついていたので、ちょっと咄嗟には分からなかった。でも確かに、他の人とは手を繋がないから、変かもしれない。
でも、別に怒ることじゃないと思うけど。
「ミオちゃん、どうしたの? 何か用?」
「用って、さっちゃんが、いつまでたっても……教えてくれないから聞きにきたのに」
あ! っと思った。もう、あれから何年もたってたから、すっかり忘れていたけど、ミオちゃんは、海君の好きな人をまだ知りたかったんだ。
あれ? でも、好きな人って……僕なんだよね、でも昔は僕だけかと思ってたけど、この場合の好きって、恋人ってこと? 僕は、海君の親友で恋人じゃない。
「あ……ごめんね、ミオちゃん、あの、分からなくて」
「そんなに仲良しなのに、解らないなんて嘘つき」
「嘘じゃないよ」
「何の話だよ」
海君が、凄く冷たい声を出したので、僕はびっくりした。ミオちゃんが、泣きそうになってる。
「あの、海君の、好きな人が……誰か、僕は解らなくて」
「は?」
海君が、信じられないみたいに、目を見開いた。え? 教えてもらってたかな、僕、鈍感だから気づいてなかったのかも。
「ごめんね、もう一度教えてくれる?」
「サツキ……本気で言ってるのか?」
「え? うん、えっと、誰か好きな人いる?」
海君は、クシャっと顔を歪めて、僕の手を離した。それで、何も言わずにスタスタ歩いて行ってしまった。僕は取り残されたミオちゃんとどうして良いか解らなくて、ただ無言でその去り行く海君の背中を見ていた。
二学期制になった高校は、夏休みが明けてもまだ一学期。中学生の頃は夏休み前が一学期だったから、変な感じがするけれど、二学期制とはそういうものだと言われれば、素直にそうなのかと思う。要は慣れてないだけ。
9月の後半になると、一学期の期末試験が始まるから、海君達バスケ部も、部活がお休みになる。だから、僕たちは一緒に帰って、海君の家で勉強することにした。学校からの帰り道、誰もいない道を二人で歩く。
「海君は、何の教科得意? 僕、国語と社会と生物しか得意じゃないよ」
「んーー俺は、数学とか化学が好きかも」
「理数なんだね、凄いな海君」
「はっきり答えがあるやつが好きなんだよ、国語とか読むのめんどくさいし」
「そっかぁ、僕たち、二人で一つだったら良かったねぇ」
「そーだな、あ、でも、俺は……やっぱ、別が良いかな」
「そう?」
「うん、だって一人だったら、こんな風にサツキと喋れないし、つまんないよ」
「そっか」
ふふって、笑って、海君の手を握る。海君の大きな手。バスケットボールを片手で掴んでダンクできるんだって。かっこいいな。
「ねぇ、なんで手を繋いでるの?」
急に声が後ろから聞こえた。振り向くと、ミオちゃんが居た。なんだか、とっても険しい顔をしている。怒ってるみたいだった。どうしてそんな顔をしているのかなと、不思議に思ってたら、ミオちゃんもっと眉をしかめた。
「何で、手なんか男同士でつなぐの? 気持ち悪いよ」
海君の表情も固くなった。あれ? 男同士で手を繋ぐと気持ち悪いの? そうなんだっけ?
あまりにも、いつも海君とくっついていたので、ちょっと咄嗟には分からなかった。でも確かに、他の人とは手を繋がないから、変かもしれない。
でも、別に怒ることじゃないと思うけど。
「ミオちゃん、どうしたの? 何か用?」
「用って、さっちゃんが、いつまでたっても……教えてくれないから聞きにきたのに」
あ! っと思った。もう、あれから何年もたってたから、すっかり忘れていたけど、ミオちゃんは、海君の好きな人をまだ知りたかったんだ。
あれ? でも、好きな人って……僕なんだよね、でも昔は僕だけかと思ってたけど、この場合の好きって、恋人ってこと? 僕は、海君の親友で恋人じゃない。
「あ……ごめんね、ミオちゃん、あの、分からなくて」
「そんなに仲良しなのに、解らないなんて嘘つき」
「嘘じゃないよ」
「何の話だよ」
海君が、凄く冷たい声を出したので、僕はびっくりした。ミオちゃんが、泣きそうになってる。
「あの、海君の、好きな人が……誰か、僕は解らなくて」
「は?」
海君が、信じられないみたいに、目を見開いた。え? 教えてもらってたかな、僕、鈍感だから気づいてなかったのかも。
「ごめんね、もう一度教えてくれる?」
「サツキ……本気で言ってるのか?」
「え? うん、えっと、誰か好きな人いる?」
海君は、クシャっと顔を歪めて、僕の手を離した。それで、何も言わずにスタスタ歩いて行ってしまった。僕は取り残されたミオちゃんとどうして良いか解らなくて、ただ無言でその去り行く海君の背中を見ていた。

