不毛だと言われても、百年先まで君が好き

 海君はキスをしたあと、不安そうな顔で、コツッと、僕のおでこに、自分のおでこをぶつけた。

 「サツキ、抱きしめてもいい?」

 海君の手が僕の身体に伸びてきて、下を向いていた瞳がまた凄く近くで僕の瞳をみつめた。

 「うん」

 返事をすると、すぐに、ふわっと持ち上げられるみたいに、海君に抱き寄せられて、座っていたソファーが、二人分の重みでギシッてきしんで、僕は、すっぽりと海君の中に収まった。

 海君、身体が大きくなったなと思ったけど、僕と比べたらお父さんと子供くらい大きくない? 昔、お父さんに抱っこされた記憶がよみがえって、なんだか温かくて、安心できて、身体全部で好きって言ってもらってるような気持ちになって、嬉しかった。


 あぁ、海君、寂しかったのかな? そういう時あるよね。海君、お母さん忙しいし、甘える人がいなくて、子供の頃も少し寂しそうだった。だから、よく、二人で毛布にくるまったり、くっついて、遊んだね。

 兄弟だったら良かったのにね。そしたら、ずっと一緒にいられたのに。

 血がつながってなくて、他人だけれど、そばにいたくて、居るのは、親友だけだよね。僕たち、他の家の兄弟よりも、心が繋がってると思うんだ。お互いをこんなに大切に思っているもの。

 いつだって、海君の幸せを願っている。たぶん、特別な友達だから、こんなにそばにいて安心なんだね。僕はキラキラカッコいい海君の親友なんだって物凄く誇らしくなった。

 嬉しくて、ぎゅっと、しがみついたら、海君も、腕に力をこめて、僕を抱きしめてくれた。温かいね、気持ちいいね。心臓の音が聞こえる。海君の身体、とても熱いくらい。スポーツしてるから、僕と体温が違うね。凄いな海くんは。

 「サツキ、好きだよ」

 囁くみたいな、海君の声が耳に届く。低くなった声、いつの間にか大人になって、しっかりとしたけれど、不安げな声。どうして?

 「僕も大好きだよ」

 好きって久しぶりに言ってもらえたな。嬉しくてしばらく僕は海君とくっついたままでいたけど、やっぱりポテトが食べたくなってきちゃって、海君を見上げた。

 「海くん、ポテト食べたい」
 「じゃぁ、食べさせてあげる」

 海君の指が、塩のついたポテトをつまみ、僕の口へと持ってくる。僕は雛鳥みたいに、それを啄んで食べた。時々、指についた塩もなめてあげた。

 ポテトを食べる、合間、合間で、海君が口にキスをしてきて、もう、食べたいよって、胸を叩くと、海君、またへへって、笑って、ポテトをくれる。

 なんだかとっても甘ったるい空気の中で、僕たちは、食べたりキスをしたりを繰り返した。