海君は、僕と目が合うとその苦しげな顔をいっそう歪めた。
「サツキ、野村さんと付き合うの?」
「え? のむら……って、ミオちゃん?」
「最近ずっといっしょにいるから……」
僕とミオちゃんが、付き合うわけない、だって二人とも海君のことが好きなんだから。僕は呆然としながら、首をふった。
「違うよ」
「本当に? でも、その髪型……野村さんちでやってもらったんだろ?」
「そうだけど、これは、海君にみてもらいたくてだよ」
「俺に? なんで」
海君が分からないって顔をしてる。なんて言ったら僕の気持ちが海君に伝わるのかな。
「あのね、僕、海君のことが好きだから」
「それは、俺の勘違いだったんだよな? 野村さんから聞いたんだ。小学生の時、サツキが俺に好きって言ったのは勘違いだったって。野村さんに頼まれて好きな人聞きたかっただけだったって、それを俺が勘違いしたせいで付き合ってるって思ってたのに、サツキはそうじゃなかったから……ごめん、サツキは何にも悪くないのに……、俺、自分がサツキを好きだったから、てっきりサツキも好きになってくれたんだと思って早とちりしたから……恥ずかしくて話せなかった」
海君が本当に真っ赤な顔で話すから、僕もなんだか恥ずかしいのが移ってきて、下を向いた。
「僕こそごめんね、昔は僕、ただ本当に海君が好きだっただけで……」
「だ、よな、良いんだ、俺が本当に勘違いしてただけ、ごめんな、キスとかやだったよな」
まじで最悪だよなって、海君が傷ついてるみたいな気がして僕は急いで首を振った。
「嫌なんかじゃなかったよ、嬉しかったよ」
「でも」
「気付いてなかっただけで、僕も海君のことがずっと好きだったの、ごめんね、気づくの遅くて……僕、海君が好き。だからキスは嫌じゃない」
そう言ったら、海君が本当に? ってかすれた声で呻いた。
「本当だよ、ミオちゃんに可愛い髪型にしてもらって、明日、海君に告白するつもりだったんだ」
「俺は……てっきりサツキは、野村さんと付き合うことにしたんだって、そしたらなんか悔しくて、俺の方がずっと前から好きだったのにって」
海君が、そっと僕の手を握って僕のうつ向いた顔を覗き込んだ。
「サツキ、俺と本当に付き合って欲しい、もしまだ俺のこと好きでいてくれるなら」
「も、もちろんだよ、許してくれるの?」
「許すもなにもないよ、嬉しいだけ」
日に焼けた海君の手が、僕の両肩をつかんで、ゆっくりと抱き締められた。あぁ、とうとう海君の腕の中に帰ってこられた。
僕は嬉しくて、海君にぎゅっと抱きついた。
「好きって気づくの遅くてごめんね」
「いいよ、サツキのそういうゆっくりとしたところが好きなんだから」
「小学生の時もそう言ってくれたね」
「え? そう? 三つ子の魂百までってやつかな……きっと俺、これから先、何度もサツキのゆっくりとしたとこ可愛いって思うよ」
「ありがとね」
僕達は、しばらく思う存分抱き締めあって、それで海君がちょんって触れるだけのキスを頬にしてくれた。
「嫌じゃない?」
「嬉しいよ」
「そっか、良かった」
爽やかな笑顔で、笑う海君は本当にカッコいい。僕なんかのことずっと好きでいてくれたなんて信じられないのに。心が風船みたいにふわふわして、嬉しくて飛んでいきそうだった。ふと、そういえばと思い付いたように、海君が僕の髪に触れた。
「髪型、似合ってるよ、すごく可愛い、サツキのおでこ可愛いな」
「ニキビちょっとあるけど」
「目立たないから大丈夫」
薬を塗ってるけどすぐには治らないみたいで、本当はおでこ出したくなかったけど、海君が気に入ってくれたなら良かった。
僕達は手をゆらゆらと繋いで歩いた。昔みたいな戸惑いはもうなくて、しっかりと、海君が好きという気持ちで手を繋ぐ。それだけで、こんなに楽しいのだと思った。同じ行為なのに、気持ちがちがうだけで、こんなに嬉しくてしかたなくなるのだと。
「サツキ、野村さんと付き合うの?」
「え? のむら……って、ミオちゃん?」
「最近ずっといっしょにいるから……」
僕とミオちゃんが、付き合うわけない、だって二人とも海君のことが好きなんだから。僕は呆然としながら、首をふった。
「違うよ」
「本当に? でも、その髪型……野村さんちでやってもらったんだろ?」
「そうだけど、これは、海君にみてもらいたくてだよ」
「俺に? なんで」
海君が分からないって顔をしてる。なんて言ったら僕の気持ちが海君に伝わるのかな。
「あのね、僕、海君のことが好きだから」
「それは、俺の勘違いだったんだよな? 野村さんから聞いたんだ。小学生の時、サツキが俺に好きって言ったのは勘違いだったって。野村さんに頼まれて好きな人聞きたかっただけだったって、それを俺が勘違いしたせいで付き合ってるって思ってたのに、サツキはそうじゃなかったから……ごめん、サツキは何にも悪くないのに……、俺、自分がサツキを好きだったから、てっきりサツキも好きになってくれたんだと思って早とちりしたから……恥ずかしくて話せなかった」
海君が本当に真っ赤な顔で話すから、僕もなんだか恥ずかしいのが移ってきて、下を向いた。
「僕こそごめんね、昔は僕、ただ本当に海君が好きだっただけで……」
「だ、よな、良いんだ、俺が本当に勘違いしてただけ、ごめんな、キスとかやだったよな」
まじで最悪だよなって、海君が傷ついてるみたいな気がして僕は急いで首を振った。
「嫌なんかじゃなかったよ、嬉しかったよ」
「でも」
「気付いてなかっただけで、僕も海君のことがずっと好きだったの、ごめんね、気づくの遅くて……僕、海君が好き。だからキスは嫌じゃない」
そう言ったら、海君が本当に? ってかすれた声で呻いた。
「本当だよ、ミオちゃんに可愛い髪型にしてもらって、明日、海君に告白するつもりだったんだ」
「俺は……てっきりサツキは、野村さんと付き合うことにしたんだって、そしたらなんか悔しくて、俺の方がずっと前から好きだったのにって」
海君が、そっと僕の手を握って僕のうつ向いた顔を覗き込んだ。
「サツキ、俺と本当に付き合って欲しい、もしまだ俺のこと好きでいてくれるなら」
「も、もちろんだよ、許してくれるの?」
「許すもなにもないよ、嬉しいだけ」
日に焼けた海君の手が、僕の両肩をつかんで、ゆっくりと抱き締められた。あぁ、とうとう海君の腕の中に帰ってこられた。
僕は嬉しくて、海君にぎゅっと抱きついた。
「好きって気づくの遅くてごめんね」
「いいよ、サツキのそういうゆっくりとしたところが好きなんだから」
「小学生の時もそう言ってくれたね」
「え? そう? 三つ子の魂百までってやつかな……きっと俺、これから先、何度もサツキのゆっくりとしたとこ可愛いって思うよ」
「ありがとね」
僕達は、しばらく思う存分抱き締めあって、それで海君がちょんって触れるだけのキスを頬にしてくれた。
「嫌じゃない?」
「嬉しいよ」
「そっか、良かった」
爽やかな笑顔で、笑う海君は本当にカッコいい。僕なんかのことずっと好きでいてくれたなんて信じられないのに。心が風船みたいにふわふわして、嬉しくて飛んでいきそうだった。ふと、そういえばと思い付いたように、海君が僕の髪に触れた。
「髪型、似合ってるよ、すごく可愛い、サツキのおでこ可愛いな」
「ニキビちょっとあるけど」
「目立たないから大丈夫」
薬を塗ってるけどすぐには治らないみたいで、本当はおでこ出したくなかったけど、海君が気に入ってくれたなら良かった。
僕達は手をゆらゆらと繋いで歩いた。昔みたいな戸惑いはもうなくて、しっかりと、海君が好きという気持ちで手を繋ぐ。それだけで、こんなに楽しいのだと思った。同じ行為なのに、気持ちがちがうだけで、こんなに嬉しくてしかたなくなるのだと。

