今日はコンビニ飯……のはずだった!

「はぁ、」
吐き出した息も白くなってすぐに消える。ポケットの中に入れている手もかじかんでいる気がする。

「どうしよう。」
今日は親戚の家に泊まらせてもらう予定だったが……

「美咲ちゃん!ごめんっっ、!」
「え、どうしたの?」
「実は…来客が来ちゃってて……」
「そうなの?私もあいさつしようか?」
「いや、あのね、その人泊まる予定で……部屋がなくて……ごめん……」
「……え、そ、そうなんだ~。わたしホテル予約してるから大丈夫だよ!」
「ほんと、?ごめんなさいね……お詫びといっちゃなんだけどあなたの会社の近くにラーメン屋さんがあってね?そのお店のラーメン無料券あげるから、!」
「……気使わなくていいのに、笑だけどありがとう。会えてよかったよ。またね、!」
「えぇ、ごめんね……元気にしててね、!」
「はーい」

ということがあったのだ。
とっさにホテルを取ってあると言ってしまったが、しているはずもない。
手元に残されたのは2日分の着替えと、さっきもらったラーメンの無料券と、生活用品諸々だけ…
まだ早朝だから仕事までに休めると思ったんだけどなぁ、、
「手当たり次第にホテル予約するか…」
ようやく空きがあるホテルを予約でき、荷物を置きに行く。

あ、近くにラーメン屋あるじゃん。
……また時間ができたらね。
そんなことを思いながら足早で会社に向かう。

やっと終わった…
覚えることが多すぎて頭がパンクしそうだ。
「もうコンビニ飯でいいか…」
近くにあったっけ、?あ、ラーメン屋さんある。無料券もあるし行こうかな。

逆方向を向いて歩く。ついた。一回深呼吸をしてお店に足を踏み入れる。
「らっしゃっせー!おひとりさまですか~。その席に腰かけてくださーい」
豚骨のあたたかい香り。常連客の楽しそうな会話。テンションが高い店員さん。
ここ、あったかいな。
「あの、豚骨ラーメン、味玉トッピングください。」
「はーい、豚骨ラーメン味玉トッピング入りました~!」
ここにいる人、みんな笑顔だ。暖房だけじゃ味わえない温かさがある気がした。
「どうぞ~!豚骨ラーメン味玉トッピングです!」
「ありがとうございます、!」
豚骨の風味ががつんと来て鼻を通る。麺はかためで噛み応えがあり、スープの味がしみ込んでいる。
あぁ、コンビニじゃなくてよかったな笑

「らっしゃっ…あ、健太!よぉー!いつもの席で~!いつもの?」
「おう、いつものでよろしくー!」
「お前も飽きねぇな(笑)」
「うめぇんですもん!」
「おうおう、そりゃよかったぜ」

常連さん、なのかな?
隣の席だけどかかわらないだろうな~。……やっぱりこのラーメンおいしい……

「おーい、お姉さん!」
「はいっ!?」
「あ、ごめんごめん笑もしかして初めて、?」
「初めてです、!」
「おぉ楽しんでいきな!」
「健太(笑)おまえ、店員でもないのに誰目線なんだよ(笑)」
「ほんとじゃん!笑まぁ、常連目線?」
「なんだそれ!」
「……フフッ」
「あ、笑った!笑ったよな!?」
「ごめんなさい、二人の掛け合いが面白くて、つい笑」
「謝らないでー!?笑あれ、もしかしてお姉さんが今食べてるの豚骨ラーメンで味玉トッピング!?」
「はい、そうです…!」
「え!おいしいよね!!俺週に3日ぐらい来てんだけど毎回それ頼んでるもん笑」
「そうなんですね。笑まぁ飽きませんもんね」
「そう!わかってくれる人がいてくれてうれしい~!」

このお店って常連さんまで暖かいんだな…フフッ
また……来たいな……
親戚に感謝だなぁ~。気づいたらラーメンはもうなくなっていた。
食べるのに夢中になりすぎたかも、?笑
もう終わりなのかなしいけど、これ以上お金はかけたくないっ、!……出るかぁ……
「ごちそうさまでしたっ、!」
「お!話に付き合ってくれてありがとなぁ~!会計はそっちだよー!」
「こちらこそありがとうございますっ!また会えたら会いましょう!」
「おー!また来る時を待ってるぜー!」

「え~1320円でーす」
「この無料券で!」
「はーい、じゃ味玉代で350円でーす!」
「はい!」
「ありがとうございますー!またのご来店を待ってます!いつでも来てねー!」
「はーい!」

外に出るとやっぱり寒くなっていた。徐々に手足が冷たくなり、冷たい風も吹き抜けていくが、なぜか心だけはずっと温かかった。
「よーし、明日も仕事頑張るか~!」
無料券ないけど明日もこのラーメン寄ろうかな。あそこなんか安心するんだよなぁ~。
やっぱりたまにはいろんなお店回ってみようかなぁ、居酒屋もいいかもね。
いろんな人と交流するのも楽しいし!わたしも話しかける側になれるのかな、?なってみたいな。

わたしはほくほくとした気持ちを感じながらホテルへと帰った。足取りはさっきより軽かった。