まだ空全体が薄暗く、東の空だけがほんのりと明るくなっているころ、
空港で歩く人影があった。今日から3日間出張で福岡に来た谷口美咲だ。
早朝の福岡は東京の歌舞伎町とは大違いであり、とても静かで柔らかい雰囲気をまとっている。
海に近いのか海風が首元をかすっていく。顔をアウターにうずめる。
「はぁ、」
吐き出した息も白くなってすぐに消える。ポケットの中に入れている手もかじかんでいる気がする。
美咲はホテル街ではなくまだまだ静かな住宅街のほうへ歩みを進めていった。
そう、出張の期間中は親戚の家に泊めてもらうつもりなのだ。
ピーンポーン
「はーい、」
「あっ、おはよう!朝早くにごめ……」
「美咲ちゃん!ごめんっっ、!」
「え、どうしたの?」
「実は…来客が来ちゃってて……」
「そうなの?私もあいさつしようか?」
「いや、あのね、その人泊まる予定で……部屋がなくて……ごめん……」
「……え、そ、そうなんだ~。わたしホテル予約してるから大丈夫だよ!」
「ほんと、?ごめんなさいね……お詫びといっちゃなんだけどあなたの会社の近くにラーメン屋さんがあってね?そのお店のラーメン無料券あげるから、!」
「……気使わなくていいのに、笑だけどありがとう。会えてよかったよ。またね、!」
「えぇ、ごめんね……元気にしててね、!」
「はーい」
とっさにホテルを取ってあると言ってしまったが、しているはずもない。
手元に残されたのは3日分の着替えと、、、さっきもらったラーメンの無料券と、、、
わざわざ東京の家から持ってきた生活用品諸々だけ…
まだ早朝だから仕事までに休めると思ったんだけどなぁ、、
「手当たり次第にホテル予約するか…」
「すみません、今日から3日間ホテル予約することってできますかね、?あ、一人です!」
「すみません、本日はありがたいことに満室でして……」
「あ、満室なんですね…ありがとうございます、失礼しました。」
この時期は人気なのか……
「すみません、ホテル予約って……あ、埋まってる、了解です。失礼しました。」
この言葉を5回繰り返したころ、ようやく空きがあるホテルを予約できた。ここはルームサービスとかはないのか……夜ごはんどうしようと考えながらも荷物を置きに行く。
あ、近くにラーメン屋あるじゃん。
……また時間ができたらね。あと今は気分じゃないというか……
そんなことを思いながら足早で会社に向かう。
「おはようございます!今日から3日間研修させてもらいます!東京本社から来ました谷口美咲です!」
パチパチパチパチ
なんとか挨拶は終わったか……
「谷口さんは営業部についてもらおうかな」
「はい!」
いつも事務作業しかしてないから営業は苦手だ。仕事を任せてもらったからには頑張るしかないのだけれど……
「し、、、失礼します。本日はわが社の商品についてご紹介・プレゼンしゃ……させていただきます。担当の谷口です、よろしくお願いいたします。」
「おぉ、谷口さんね!本日はよろしくね。」
「はい、こちらこそよろしくお願いいたします。では早速紹介させていただきます。」
「以上です。質問はございますか?」
「大丈夫だよ。ありがとう。時間がないから今回は省かせてもらうが、質問はまた秘書に伝えるように言っとくよ」
「了解です。また後ほど資料を会社にお届けさせていただきます。」
「そうか、そこまでやってくれたのか。手間が省けたよ、ありがとう。」
「いえ。では失礼いたしました。」
「ありがとね。前向きに検討してみるよ。」
「はい、よろしくお願いいたします。」
やっと終わった…
覚えることが多すぎて頭がパンクしそうだ。
えっと、まず先方に出す資料が2階の資料室にあって……いや、3階か、?
考えながらホテルに向かって足を進めるが向こう側から吹いてくる風で頭も冷えた。ホテルに行く前に食べ物を調達しなければならなかった。
「もうコンビニでいいか…」
近くにあったっけ、?あ、ラーメン屋さんある。無料券もあるし行こうかな。
今までと逆方向を向いて歩く。ついた。一人で外食することなかなかないからな…
一回深呼吸をしてお店に足を踏み入れる。
「らっしゃっせー!おひとりさまですか~。その席に腰かけてくださーい」
豚骨の香り。常連客の楽しそうな会話。テンションが高い店員さん。
……元気。疲れ切った頭でぼーっとメニュー表を見る。
「あの、豚骨ラーメン、味玉トッピングください。」
「はーい、豚骨ラーメン味玉トッピング入りました~!」
ここにいる人、みんな笑顔だ。隣の人が1人で来てるのもあって少し力が入っていた肩が下がっていく。
スマホで上司に返信しなければいけないことを思い出し、何とか頭を働かせてメッセージを打ち込んでいく。
「どうぞ~!豚骨ラーメン味玉トッピングです!」
「ありがとうございます、!」
湯気が立っており、半熟の卵がトロっとなっている。
「いただきます。」
一口目から豚骨の風味ががつんと来て鼻を通る。麺はかためで噛み応えがあり、スープの味がしみ込んでいる。メンマの噛み応えがアクセントとして存在感がありとてもおいしい。どどーんと乗っているチャーシューはじっくりと熟成しているのかとてもやわらかい。
これはコンビニでは到底再現できないだろうな(笑)
たまには、外食もありかもな。
「らっしゃっ…あ、健太!よぉー!いつもの席で~!いつもの?」
「おう、いつものでよろしくー!」
「お前も飽きねぇな(笑)」
「うめぇんですもん!」
「おうおう、そりゃよかったぜ」
常連さん、なのかな?
隣の席だけどかかわらないだろうな~。……やっぱりこのラーメンおいしい……
「でさー、上司が驚くったらなんのって!」
「おい、お前何しでかしたんだよ~(笑)」
「いやさ俺は悪くないでしょ!」
「え?健太仕事でやらかしたの?」
「あ~!裕さん!いつものメニューじゃないですか!(笑)お世話なってます!だけど俺やらかしてないっすよ!!」
「ほんとかぁ~??」
「ほんとですって!なぁ太智!同期のお前ならわかるだろ!」
「おれっ!?まぁ?俺知らねえって!」
「ほら!!」
健太さん、?はめっちゃフレンドリーなんだなぁ…
「おーい、お姉さん!」
「はいっ!?」
「あ、ごめんごめん笑もしかして初めて、?」
「初めてです、!」
「おぉ楽しんでいきな!」
「健太(笑)おまえ、店員でもないのに誰目線なんだよ(笑)」
「ほんとじゃん!笑まぁ、常連目線?」
「なんだそれ!」
「……フフッ」
「あ、笑った!笑ったよな!?」
「ごめんなさい、二人の掛け合いが面白くて、つい笑」
「謝らないでー!?笑あれ、もしかしてお姉さんが今食べてるの豚骨ラーメンで味玉トッピング!?」
「はい、そうです…!」
「え!おいしいよね!!俺週に3日ぐらい来てんだけど毎回それ頼んでるもん笑」
「そうなんですね。笑まぁ飽きなさそうな味付けですもんね」
「そう!わかってくれる人がいてくれてうれしい~!」
「お名前はなんていうの…いや、これは言いたくないか。ごめんなっ!」
「いえいえ、全然!だけど出張で来てるだけなので内緒で…」
「そっか!了解!だけど出張で来てるならほかにもおいしいお店紹介しようか~?」
「えいいんですか!ぜひ教えてください!」
「おっ、食いつきいいな~!」
「あのな……」
このお店って常連さんまで元気なんだな…フフッ
また……来たいな……
親戚に感謝だなぁ~。気づいたらラーメンはもうなくなっていた。
残っているスープを飲み干し、体がポカポカと温まっている。
食べるのに夢中になりすぎたかも、?笑
もう終わりなのかなしいけど、これ以上お金はかけたくないっ、!……出るかぁ……
「ごちそうさまでしたっ、!」
「お!話に付き合ってくれてありがとなぁ~!会計はそっちだよー!」
「こちらこそありがとうございますっ!また会えたら会いましょう!」
「おー!また来る時を待ってるぜー!」
「え~1320円でーす」
「この無料券で!」
「はーい、じゃ味玉代で350円でーす!」
「はい!」
「ありがとうございますー!またのご来店を待ってます!いつでも来てねー!」
「はーい!ごちそうさまでした!」
外に出るとやっぱり寒くなっていた。徐々に手足が冷えていき、冷たい風も吹き抜けていくが、お店による前よりかは寒く感じなかった。
「よーし、明日も仕事頑張るか~!」
無料券ないけど明日もこのラーメン寄ろうかな。あそこなんか安心するんだよなぁ~。
だけど健太さんにおすすめしてもらったもつ鍋のお店?もいいな。
やっぱりたまにはいろんなお店回ってみようかなぁ、居酒屋もいいかもね。
いろんな人と交流するのも楽しいし!わたしも話しかける側になれるのかな、?なってみたいな。
わたしはほくほくとした気持ちを感じながらホテルへと帰った。足取りはさっきより軽かった。
親戚!!ありがとう!!
この気持ちでいっぱいだった。
空港で歩く人影があった。今日から3日間出張で福岡に来た谷口美咲だ。
早朝の福岡は東京の歌舞伎町とは大違いであり、とても静かで柔らかい雰囲気をまとっている。
海に近いのか海風が首元をかすっていく。顔をアウターにうずめる。
「はぁ、」
吐き出した息も白くなってすぐに消える。ポケットの中に入れている手もかじかんでいる気がする。
美咲はホテル街ではなくまだまだ静かな住宅街のほうへ歩みを進めていった。
そう、出張の期間中は親戚の家に泊めてもらうつもりなのだ。
ピーンポーン
「はーい、」
「あっ、おはよう!朝早くにごめ……」
「美咲ちゃん!ごめんっっ、!」
「え、どうしたの?」
「実は…来客が来ちゃってて……」
「そうなの?私もあいさつしようか?」
「いや、あのね、その人泊まる予定で……部屋がなくて……ごめん……」
「……え、そ、そうなんだ~。わたしホテル予約してるから大丈夫だよ!」
「ほんと、?ごめんなさいね……お詫びといっちゃなんだけどあなたの会社の近くにラーメン屋さんがあってね?そのお店のラーメン無料券あげるから、!」
「……気使わなくていいのに、笑だけどありがとう。会えてよかったよ。またね、!」
「えぇ、ごめんね……元気にしててね、!」
「はーい」
とっさにホテルを取ってあると言ってしまったが、しているはずもない。
手元に残されたのは3日分の着替えと、、、さっきもらったラーメンの無料券と、、、
わざわざ東京の家から持ってきた生活用品諸々だけ…
まだ早朝だから仕事までに休めると思ったんだけどなぁ、、
「手当たり次第にホテル予約するか…」
「すみません、今日から3日間ホテル予約することってできますかね、?あ、一人です!」
「すみません、本日はありがたいことに満室でして……」
「あ、満室なんですね…ありがとうございます、失礼しました。」
この時期は人気なのか……
「すみません、ホテル予約って……あ、埋まってる、了解です。失礼しました。」
この言葉を5回繰り返したころ、ようやく空きがあるホテルを予約できた。ここはルームサービスとかはないのか……夜ごはんどうしようと考えながらも荷物を置きに行く。
あ、近くにラーメン屋あるじゃん。
……また時間ができたらね。あと今は気分じゃないというか……
そんなことを思いながら足早で会社に向かう。
「おはようございます!今日から3日間研修させてもらいます!東京本社から来ました谷口美咲です!」
パチパチパチパチ
なんとか挨拶は終わったか……
「谷口さんは営業部についてもらおうかな」
「はい!」
いつも事務作業しかしてないから営業は苦手だ。仕事を任せてもらったからには頑張るしかないのだけれど……
「し、、、失礼します。本日はわが社の商品についてご紹介・プレゼンしゃ……させていただきます。担当の谷口です、よろしくお願いいたします。」
「おぉ、谷口さんね!本日はよろしくね。」
「はい、こちらこそよろしくお願いいたします。では早速紹介させていただきます。」
「以上です。質問はございますか?」
「大丈夫だよ。ありがとう。時間がないから今回は省かせてもらうが、質問はまた秘書に伝えるように言っとくよ」
「了解です。また後ほど資料を会社にお届けさせていただきます。」
「そうか、そこまでやってくれたのか。手間が省けたよ、ありがとう。」
「いえ。では失礼いたしました。」
「ありがとね。前向きに検討してみるよ。」
「はい、よろしくお願いいたします。」
やっと終わった…
覚えることが多すぎて頭がパンクしそうだ。
えっと、まず先方に出す資料が2階の資料室にあって……いや、3階か、?
考えながらホテルに向かって足を進めるが向こう側から吹いてくる風で頭も冷えた。ホテルに行く前に食べ物を調達しなければならなかった。
「もうコンビニでいいか…」
近くにあったっけ、?あ、ラーメン屋さんある。無料券もあるし行こうかな。
今までと逆方向を向いて歩く。ついた。一人で外食することなかなかないからな…
一回深呼吸をしてお店に足を踏み入れる。
「らっしゃっせー!おひとりさまですか~。その席に腰かけてくださーい」
豚骨の香り。常連客の楽しそうな会話。テンションが高い店員さん。
……元気。疲れ切った頭でぼーっとメニュー表を見る。
「あの、豚骨ラーメン、味玉トッピングください。」
「はーい、豚骨ラーメン味玉トッピング入りました~!」
ここにいる人、みんな笑顔だ。隣の人が1人で来てるのもあって少し力が入っていた肩が下がっていく。
スマホで上司に返信しなければいけないことを思い出し、何とか頭を働かせてメッセージを打ち込んでいく。
「どうぞ~!豚骨ラーメン味玉トッピングです!」
「ありがとうございます、!」
湯気が立っており、半熟の卵がトロっとなっている。
「いただきます。」
一口目から豚骨の風味ががつんと来て鼻を通る。麺はかためで噛み応えがあり、スープの味がしみ込んでいる。メンマの噛み応えがアクセントとして存在感がありとてもおいしい。どどーんと乗っているチャーシューはじっくりと熟成しているのかとてもやわらかい。
これはコンビニでは到底再現できないだろうな(笑)
たまには、外食もありかもな。
「らっしゃっ…あ、健太!よぉー!いつもの席で~!いつもの?」
「おう、いつものでよろしくー!」
「お前も飽きねぇな(笑)」
「うめぇんですもん!」
「おうおう、そりゃよかったぜ」
常連さん、なのかな?
隣の席だけどかかわらないだろうな~。……やっぱりこのラーメンおいしい……
「でさー、上司が驚くったらなんのって!」
「おい、お前何しでかしたんだよ~(笑)」
「いやさ俺は悪くないでしょ!」
「え?健太仕事でやらかしたの?」
「あ~!裕さん!いつものメニューじゃないですか!(笑)お世話なってます!だけど俺やらかしてないっすよ!!」
「ほんとかぁ~??」
「ほんとですって!なぁ太智!同期のお前ならわかるだろ!」
「おれっ!?まぁ?俺知らねえって!」
「ほら!!」
健太さん、?はめっちゃフレンドリーなんだなぁ…
「おーい、お姉さん!」
「はいっ!?」
「あ、ごめんごめん笑もしかして初めて、?」
「初めてです、!」
「おぉ楽しんでいきな!」
「健太(笑)おまえ、店員でもないのに誰目線なんだよ(笑)」
「ほんとじゃん!笑まぁ、常連目線?」
「なんだそれ!」
「……フフッ」
「あ、笑った!笑ったよな!?」
「ごめんなさい、二人の掛け合いが面白くて、つい笑」
「謝らないでー!?笑あれ、もしかしてお姉さんが今食べてるの豚骨ラーメンで味玉トッピング!?」
「はい、そうです…!」
「え!おいしいよね!!俺週に3日ぐらい来てんだけど毎回それ頼んでるもん笑」
「そうなんですね。笑まぁ飽きなさそうな味付けですもんね」
「そう!わかってくれる人がいてくれてうれしい~!」
「お名前はなんていうの…いや、これは言いたくないか。ごめんなっ!」
「いえいえ、全然!だけど出張で来てるだけなので内緒で…」
「そっか!了解!だけど出張で来てるならほかにもおいしいお店紹介しようか~?」
「えいいんですか!ぜひ教えてください!」
「おっ、食いつきいいな~!」
「あのな……」
このお店って常連さんまで元気なんだな…フフッ
また……来たいな……
親戚に感謝だなぁ~。気づいたらラーメンはもうなくなっていた。
残っているスープを飲み干し、体がポカポカと温まっている。
食べるのに夢中になりすぎたかも、?笑
もう終わりなのかなしいけど、これ以上お金はかけたくないっ、!……出るかぁ……
「ごちそうさまでしたっ、!」
「お!話に付き合ってくれてありがとなぁ~!会計はそっちだよー!」
「こちらこそありがとうございますっ!また会えたら会いましょう!」
「おー!また来る時を待ってるぜー!」
「え~1320円でーす」
「この無料券で!」
「はーい、じゃ味玉代で350円でーす!」
「はい!」
「ありがとうございますー!またのご来店を待ってます!いつでも来てねー!」
「はーい!ごちそうさまでした!」
外に出るとやっぱり寒くなっていた。徐々に手足が冷えていき、冷たい風も吹き抜けていくが、お店による前よりかは寒く感じなかった。
「よーし、明日も仕事頑張るか~!」
無料券ないけど明日もこのラーメン寄ろうかな。あそこなんか安心するんだよなぁ~。
だけど健太さんにおすすめしてもらったもつ鍋のお店?もいいな。
やっぱりたまにはいろんなお店回ってみようかなぁ、居酒屋もいいかもね。
いろんな人と交流するのも楽しいし!わたしも話しかける側になれるのかな、?なってみたいな。
わたしはほくほくとした気持ちを感じながらホテルへと帰った。足取りはさっきより軽かった。
親戚!!ありがとう!!
この気持ちでいっぱいだった。
