なかたかなげーむ

『叶』は一瞬たじろいだ。
「なっ、何を言ってっ。『佳奈』をっ」
「同じ言葉を二回、言うだけじゃない」
 『佳奈』は『叶』を追撃する。
「しりとりじゃない。なかたかなげーむ、なんだ。な、で終わらせなければいい。この中に、かな、じゃない奴がいる。一文字のあんたは、本当は、かなえ、なんじゃない?」
「ちっ違。私は、かな、で。同じ言葉をっ。そうだっ。みょっ、名字。誰かっ、さっき死んだ、こいつと同じ名の女の、名字っ」
 
 『叶』が殺した『佳奈』は『中田』。
 もう一人の『佳奈』の近くにいた。
 『佳奈』を突き飛ばした女が。
 『佳奈』をひっくり返す。
 『中田』。がモニターに映る。

「私のも、確認するか? しりとりなら。同じ言葉でも。違う意味。違う人なら。違う言葉。なんじゃない?」
 『佳奈』は『叶』に、背中の『中田』を見せる。
「違っ。違う違う。嘘だっ。嘘だ嘘だ。嘘だっ。やっ。やだっ来るなっ」

 『佳奈』は素早くターン。
 『叶』を正面に見据え。
 低い姿勢、突っ込む。
 『夏奈』を殺したよう。
 下から首輪を攻撃しようと。

 『叶』は後ろに下がる。
 死体の『佳奈』にこけ、尻餅を。
「だっ誰かっ、たすっ」
 『叶』は周りを見回し、
「あっ」
 『佳奈』は眼前。
「一文字っ。奏でるがいっ」
 
 ぼんっ。

 首の無い死体が指差す先に。
 『奏』がいた。
 まずい。これは。まずい。
 私は自分の胸。
 『奏音』を見る。
 かな。なのに。

『佳奈』は『叶』を殺してすぐ。
 『叶』の指す、『奏』を殺しに、走った。
 『奏』は『叶』と同じように。
 周囲を見回す。
 くそっ。やばい。
 目が。あった。

「あっ。ああっ。あそっ」

 ぼんっ。

 頭が飛んだ、死体が指差す。
 『奏音』。
 私がいた。
 そして、
 『佳奈』とも。
 目が。あった。

「来る。おい。あんたら二人とも」
 横に居る、『かな』と『香那』に向く。
 言おうとしていることに。
 自分でも驚いた。
「今来た道、引き返して逃げろ。私は反対に逃げる」
 『かな』は、まだ、ぐずついている。
 『香那』は、良いんですか、と。
「分かってんだろ。来るの。逃げろ。私が死んでも、ゲームは終わらない。かな、だから。そのときに、殺されるのは、近くにいるあんたらだ。早く行けっ」
 『香那』は、なにも。言わず。
 けれど。しっかりと私の目を見た。
 『かな』を強く抱きしめて。

 『中田』と『なかた』の背を見て。
 私も、反対方向に駆け出す。 

 可能性はある。
 三十秒逃げれば。

 ぼんっ。

 嘘だろ。
 間に合わないと判断した?
 だからって。

 ぼんっ。

 ぼんっ。

 ぼんっ。

 かなを殺しながら。
 『佳奈』が迫る。

 ぼんっ。

 の音が、どんどんと、大きく。

 そして。

 目の前。

 『佳奈』。

 ぼんっ。

 私の耳の。すぐ下から。

 音。

 高い視界。

 逆さまの視界。

 私。頭が。取れて。

 ああ、そうか。

 しりとりじゃない。

 『田中』

 あたまとり。だ。