なかたかなげーむ

「かなちゃんも行きたいっ。行く行く行く行く」
 もう来年には、小学生に上がるというのに、駄々をこねる。
「良いじゃないかね。私の連れ添いということで」
「ほらほらほらっ、おばあちゃんもそう言ってるよっ」
 夫を亡くしてからというもの。
 息子を亡くした母。
 父を亡くした子。
 祖母と孫。
 ますます、べったり。
「とりあえず。その招待状を見せてください」
「これこれこれ、かなちゃんも、なかたかな。かなちゃんも、なかたかな」

 INVITATION
 なかたかなのかい

 渡された封筒に、そう書かれていた。
 中を開けると。
 インビテーションカード。
 招待状が、一枚入っていた。

 拝啓 カナ様  並びに皆様
 秋涼の候 ますますご清洋のことと
 お慶び申し上げます
 さてこの度 「なかたかなのかい」が
 めでたく10周年を迎えました
 同じ姓同じ名の集まりとして
 ここまで活動できたこと
 皆様の温かいお力添えあっての
 ものであると心より感謝申し上げます
 ささやかながら お祝いの席を
 …………

 後半は読み飛ばす。
 受付の時刻、場所、が書いてある。

「この、『なかたかなのかい』というのは?」
「どうも互助会みたいなものらしくて、なかたかなが読みの名前の人達の。私も中田カナでしょ。入った覚えは、ないんですけれど」
「同じ名字でね、同じ名前でね、の人でね、同じ場所にね、集まるキネス記録持ってたんだって」
「一応、私の方で調べてみたけれど、ちゃんとした所みたい。会社もやっているし」
「ふうん。ちゃんとしたところなら、まあ良いですけど。幼稚園もお休みだし」
「ほんとにほんとに?」
「おばあちゃんの言うこと、ちゃんと、聞ける?」
「聞く聞く聞く聞く」
「じゃあ、お義母さん。頼みましたよ」
「よかったねー、かなちゃん」
「うんっ」
「おばあちゃん、ゼッケン縫っておくからね、当日来ていくお洋服、選んでおくのよ」
「ゼッケン? なんです、それ?」
「ほら、ここここ」
 インビテーションカードの、裏面を見る。

 当日の服装につきましては
 動きやすく汚れても良い服装で
 お越しください

 なお ゼッケン付けをお願いしています
 服に縫い付けてください

 例
   背中 『中田』
   胸  『佳奈』

 ゼッケンサイズの指定、場所の指定。
 用意できない場合は、こちらで貸し出す。
 とのことが書かれていた。
「なにこれ? 運動会?」
「ほらほら、同じ名前の人達が集まるから」
「見て見てみて、かなちゃん、自分で書いたの」

   『なかた』
   『かな』

「あら、上手に書けて、良いじゃない。元気いっぱいの字で」
「ええ、よく書けてる。でも、かなでいいのかしら」
「別に漢字じゃなくても良いじゃない」
「幹事の人に怒られないかしら?」
「かしらかしら、どーかしら。かーな、かな。どーかなー」
 何も知らず考えず、変な踊りをする娘。
 私は不安に思った。