◇
そして、あっという間に月日は流れ、高校三年の三月になった。今日は卒業式。校庭の桜はまだ固い蕾のままだけれど、空気はどこか春の匂いがしていた。
私は四月から児童福祉司を目指して大学に進む。無事に第一志望に合格できたのは、朝陽と夕燈がスパルタで勉強を教えてくれたおかげだ。
「日和」
「お母さん」
校門の前で、卒業証明書を見せると、母は泣きそうな顔で私を見つめた。
「大きくなったね……」
その声に胸がきゅっとなる。私は一歩近づき、母を抱きしめた。
「ここまで育ててくれて、ありがとうね」
そう言うと、母は首を振り、父は優しく見守っていた。
「日和は日和の道を進みなさい。ずっと応援してるから。
いつでも頼ってね」
泣き笑いの母の顔に、胸が苦しくなるほど愛しさが込み上げた。
「ありがとう」
そのとき——
「良かったな、無事卒業できて」
「ひよ。おめでとう」
朝陽と夕燈が手を振りながら歩いてきた。
「二人とも来てくれたの?」
思わず目をぱちぱちさせる。まさか来てくれるとは思っていなかった。
「来るよ。ひよの卒業式だもん。ね、朝陽」
夕燈が朝陽の肩を軽く叩く。朝陽はふっと横を向きながら、
「まあ、たまたま暇だったから」
とつぶやく。——朝陽のことだ。きっと、予定を空けて来てくれたんだ。
「なら家族写真撮るべきでは!」
私が言うと、
「はあ? やだよ」
朝陽が逃げようとするのを、夕燈がしれっと捕まえる。母と父も楽しそうに笑っている。
「あ、吉川! 写真撮って!」
手をぶんぶん振ると、
「任せろ!」
吉川が笑いながら駆け寄ってきた。
そして、家族で並んで写真を撮った。泣いた日も、迷った日も、孤独だった日も、自分が何者かわからなくなった日もあった。それでも——一緒に過ごしてきた時間は本物で、確かに大切にされていた。その写真は、私が“家族の一員として歩いてきた証”になった。
そして、あっという間に月日は流れ、高校三年の三月になった。今日は卒業式。校庭の桜はまだ固い蕾のままだけれど、空気はどこか春の匂いがしていた。
私は四月から児童福祉司を目指して大学に進む。無事に第一志望に合格できたのは、朝陽と夕燈がスパルタで勉強を教えてくれたおかげだ。
「日和」
「お母さん」
校門の前で、卒業証明書を見せると、母は泣きそうな顔で私を見つめた。
「大きくなったね……」
その声に胸がきゅっとなる。私は一歩近づき、母を抱きしめた。
「ここまで育ててくれて、ありがとうね」
そう言うと、母は首を振り、父は優しく見守っていた。
「日和は日和の道を進みなさい。ずっと応援してるから。
いつでも頼ってね」
泣き笑いの母の顔に、胸が苦しくなるほど愛しさが込み上げた。
「ありがとう」
そのとき——
「良かったな、無事卒業できて」
「ひよ。おめでとう」
朝陽と夕燈が手を振りながら歩いてきた。
「二人とも来てくれたの?」
思わず目をぱちぱちさせる。まさか来てくれるとは思っていなかった。
「来るよ。ひよの卒業式だもん。ね、朝陽」
夕燈が朝陽の肩を軽く叩く。朝陽はふっと横を向きながら、
「まあ、たまたま暇だったから」
とつぶやく。——朝陽のことだ。きっと、予定を空けて来てくれたんだ。
「なら家族写真撮るべきでは!」
私が言うと、
「はあ? やだよ」
朝陽が逃げようとするのを、夕燈がしれっと捕まえる。母と父も楽しそうに笑っている。
「あ、吉川! 写真撮って!」
手をぶんぶん振ると、
「任せろ!」
吉川が笑いながら駆け寄ってきた。
そして、家族で並んで写真を撮った。泣いた日も、迷った日も、孤独だった日も、自分が何者かわからなくなった日もあった。それでも——一緒に過ごしてきた時間は本物で、確かに大切にされていた。その写真は、私が“家族の一員として歩いてきた証”になった。

