祈りを紡ぐ明日から

ボランティア当日。朝の光が広いキャンパスに落ちていて、学生たちの声があちこちから聞こえる。養護施設の子どもたちとご飯を作ったり、勉強したり、遊んだりするらしい。初めて来る大学の空気に、胸が少しだけ高鳴る。

「わざわざありがとうございます。大学三年の大塚です。よろしくお願いします」
メガネをかけた優しそうな男性が、丁寧に頭を下げた。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
夕燈とそろって頭を下げる。
「それにしても……よく似てますね」
大塚さんが夕燈を見て、目をまんまるくする。
「よく言われます」
夕燈は穏やかに笑った。その笑顔に、周囲の女子たちが一気に反応する。
「わあ! 双子って本当だったんだ!」
「二人そろってイケメンってどういうこと!?」
「どちらの大学ですか?学部は!?」
華やかなメイクの女子たちが、わっと夕燈の周りに集まる。大学生って、やっぱり大人っぽい。
「全然、朝陽の方がかっこいいから。一応法学部に」
夕燈がさらりと言う。謙遜じゃなくて、本気でそう思ってるのが夕燈らしい。
「頭も良いの!?すごい!」
「え!彼女いますか!?」
モテっぷりが凄すぎる…。すると、
「あれ、君はもしかして……妹ちゃん?」
一人の女子が私を見て、目を細める。
「あ、は、はい」
思わず背筋が伸びる。
「君がか〜」
じろりと観察されて、胸がきゅっとなる。似てないって言われるのかな……と不安がよぎったその瞬間。
「おい、ちょっかいかけるな」
朝陽がこちらへ歩いてきた。
「えー、だって! この子でしょ? 朝陽がめちゃくちゃ可愛がってる妹ちゃん!
電話きてニヤニヤしてたじゃん!」
女子に肩を小突かれた朝陽が、鬱陶しそうに手を払う。
「してねーよ」
ぶっきらぼうなのに、どこか照れてるようにも見える。朝陽の周りはいつも人が集まっていて、笑い声が絶えない。入学して一ヶ月なのに、もうこんなに輪ができている。コミュ力高すぎる兄だ。