「朝陽って、やっぱり優しいね。あと、お兄ちゃんだなって感じ」
そう笑うと、朝陽は一瞬だけ目を伏せた。何かを噛みしめるように小さく息を吐き、ゆっくりと身体を起こす。そして真っすぐ私を見つめた。
「そう思えたのさ。ひよのおかげだよ」
「……私?」
思わず聞き返す。
「ああ」
朝陽は少しだけ遠くを見るように空を見上げた。
「俺さ、昔はいつも夕燈ばっかり心配されてて、ひよりもみんなに可愛がられてて……」
そこで自嘲するように笑う。
「俺だけ、ひとりぼっちなんじゃないかって思ってた時期があったんだ」
胸の奥が少し痛くなる。
「だから、夕燈のことも、ひよりのことも……嫌いになりそうだった」
ぽつりと落ちた言葉は、夕焼けに溶けるように静かだった。そんなことを思っていたなんて、知らなかった。
「だけど」
朝陽が私を見る。その瞳は、とても穏やかだった。
「ひよと会えた」
優しく笑う。
「ひよは最初から、俺自身を見てくれてた」
その一言に胸が熱くなる。
「だから俺は、夕燈のことを嫌いにならずにすんだ」
少し照れくさそうに笑って続ける。
「今じゃさ、大好きで、可愛い弟だよ」
思わず目をぱちぱちさせる。
「……それ、本人に言いなよ」
そう言うと、
「嫌だね。調子に乗るだろ?」
朝陽はいつもの悪戯っぽい笑みを浮かべた。その笑顔が、なんだか少しだけ照れ隠しにも見えて、思わず笑ってしまう。
「さてと」
朝陽は立ち上がり、大きく伸びをした。
「片付けて、さっさと帰るぞ」
「手伝ってくれるの?」
そう尋ねると、
「ひよの帰りが遅いと、みんな心配するからだよ」
ぶっきらぼうに言いながら、屋上の扉へ向かう。そしてドアノブに手をかけたところで、不意に振り返った。
「ひよ」
「ん?」
「お前も、大好きで可愛い妹だよ」
ふっと笑ったその表情に、胸の奥がぎゅっと締めつけられる。嬉しくて少しだけ泣きたくなるくらい、温かかった。朝陽が扉を開ける。すると、
「げ、盗み聞きかよ」
その先の階段には、夕燈が一段上に腰掛けていた。
「少しだけだよ」
夕燈は困ったように笑って立ち上がる。
「……俺も、朝陽のこと大好きだよ。朝陽がいてくれて良かった」
その言葉に朝陽は一瞬だけ目を見開き、すぐに顔を背けた。
「恥ずかしいだろ、バカ」
耳が少し赤い。
「さっさと片付け終わらせて帰るぞ」
照れ隠しのようにそう言って歩き出す。その背中は、いつもより少しだけ大きく見えた。ぶっきらぼうで、不器用で。それでも誰よりも家族を想う、頼もしい兄の背中だった。ふと夕燈と目が合う。お互いに小さく笑い合い、そのまま朝陽の背中を追いかけた。
そう笑うと、朝陽は一瞬だけ目を伏せた。何かを噛みしめるように小さく息を吐き、ゆっくりと身体を起こす。そして真っすぐ私を見つめた。
「そう思えたのさ。ひよのおかげだよ」
「……私?」
思わず聞き返す。
「ああ」
朝陽は少しだけ遠くを見るように空を見上げた。
「俺さ、昔はいつも夕燈ばっかり心配されてて、ひよりもみんなに可愛がられてて……」
そこで自嘲するように笑う。
「俺だけ、ひとりぼっちなんじゃないかって思ってた時期があったんだ」
胸の奥が少し痛くなる。
「だから、夕燈のことも、ひよりのことも……嫌いになりそうだった」
ぽつりと落ちた言葉は、夕焼けに溶けるように静かだった。そんなことを思っていたなんて、知らなかった。
「だけど」
朝陽が私を見る。その瞳は、とても穏やかだった。
「ひよと会えた」
優しく笑う。
「ひよは最初から、俺自身を見てくれてた」
その一言に胸が熱くなる。
「だから俺は、夕燈のことを嫌いにならずにすんだ」
少し照れくさそうに笑って続ける。
「今じゃさ、大好きで、可愛い弟だよ」
思わず目をぱちぱちさせる。
「……それ、本人に言いなよ」
そう言うと、
「嫌だね。調子に乗るだろ?」
朝陽はいつもの悪戯っぽい笑みを浮かべた。その笑顔が、なんだか少しだけ照れ隠しにも見えて、思わず笑ってしまう。
「さてと」
朝陽は立ち上がり、大きく伸びをした。
「片付けて、さっさと帰るぞ」
「手伝ってくれるの?」
そう尋ねると、
「ひよの帰りが遅いと、みんな心配するからだよ」
ぶっきらぼうに言いながら、屋上の扉へ向かう。そしてドアノブに手をかけたところで、不意に振り返った。
「ひよ」
「ん?」
「お前も、大好きで可愛い妹だよ」
ふっと笑ったその表情に、胸の奥がぎゅっと締めつけられる。嬉しくて少しだけ泣きたくなるくらい、温かかった。朝陽が扉を開ける。すると、
「げ、盗み聞きかよ」
その先の階段には、夕燈が一段上に腰掛けていた。
「少しだけだよ」
夕燈は困ったように笑って立ち上がる。
「……俺も、朝陽のこと大好きだよ。朝陽がいてくれて良かった」
その言葉に朝陽は一瞬だけ目を見開き、すぐに顔を背けた。
「恥ずかしいだろ、バカ」
耳が少し赤い。
「さっさと片付け終わらせて帰るぞ」
照れ隠しのようにそう言って歩き出す。その背中は、いつもより少しだけ大きく見えた。ぶっきらぼうで、不器用で。それでも誰よりも家族を想う、頼もしい兄の背中だった。ふと夕燈と目が合う。お互いに小さく笑い合い、そのまま朝陽の背中を追いかけた。

