祈りを紡ぐ明日から

「きゃーーーー!!」
「かっこいい!!」
「待って待って! どっちが朝陽先輩!? どっちが夕燈先輩!?」
「え、今日の二人やばくない!?」
「王子様っていうか……モデルじゃん!」
体育館いっぱいに、悲鳴にも似た歓声が響き渡る。さっきまで帰ろうとしていた人たちまで立ち上がり、スマホを構えている。
「すげぇ……」
「ほんとだね……」
隣で吉川と恵那が、ぽかんと口を開けて二人を見つめていた。すると、吉川が私を見る。
「なぁ、掛上はどっちがどっちか分かる?」
ステージの上では、二人が並んで歩いている。白い王子様と、黒い王子様。いつもとは正反対の雰囲気。遠目から見れば、確かに見分けるのは難しいかもしれない。でも――私は迷うことなく笑った。
「もちろん」
朝陽は、歩くときに少しだけ肩を開く。夕燈は、どんな格好をしていても、人に向ける笑顔が優しい。それに。二人の声も、歩き方も、仕草も。私はずっと見てきた。だから、分かる。どれだけ衣装が違っても。どれだけ雰囲気が変わっても。私には、ちゃんと分かる。――朝陽と、夕燈が。ふと、ステージの上にいる朝陽と目が合った。ニヤリ。……嫌な予感。次の瞬間。朝陽が、私に向かって手を伸ばした。
「え、ちょっ――」
戸惑っている間に、その手を取られる。
「嘘でしょ……!」
そのまま、ステージへと引っ張り上げられた。
「ちょ、朝陽!」
どうして私が――!慌てていると、今度は夕燈が反対側へ回り、そっと手を差し出してくる。
「お姫様、お手をどうぞ」
そう微笑んで、私の手を取った。そして――朝陽が、わざとらしいほど優雅に片膝をつく。
「この先も必ず守ると誓う」
そう言って、私の手の甲へ恭しく口づける。
「~~っ!」
一気に顔が熱くなる。なのに、追い打ちをかけるように、夕燈が反対の手をそっと持ち上げた。
「僕らのお姫様が、幸せでありますように」
優しく囁いて――手の甲に、ふわりと口づけを落とす。
「…………!」
一瞬。会場が静まり返った。そして――
「きゃあああああああああ!!」
「無理ーーー!!」
「待って! 心臓がもたない!!」
「羨ましすぎる!」
体育館が、今日一番の大歓声に包まれた。私は真っ赤になりながら、両側から握られた手を見つめる。――お願い。誰か、この状況をどうにかしてください……!