「よし!」
私は大きく息を吸い込み、二人へ向かって勢いよく頭を下げた。
「朝陽、夕燈! お願い!! ランウェイ、歩いてください!」
「……いや、マジかよ」
朝陽が珍しく目を丸くする。
「えー。でも、ひよが困ってるし」
夕燈も困ったように笑った。
「そこをどうか!お願いします!!何でもするから!」
必死に頼み込むと、二人の動きがぴたりと止まる。
「……何でも、ねぇ」
朝陽が口角を上げる。
「楽しみだなぁ」
夕燈まで穏やかな笑みを浮かべた。……しまった。絶対あとで何か要求される。そう思ったけれど、今は文化祭を成功させることが最優先だ。
「ありがとう!」
私はもう一度深く頭を下げた。そして私は、恵那と吉川と一緒に双子を引っ張り、演劇部のブースへ向かった。
「衣装とメイク、お願いできますか?」
そう頼むと、演劇部の部員たちは一瞬顔を見合わせ――次の瞬間、ぱっと目を輝かせた。
「任せて!!」
「役得だわ!!」
「双子の王子様なんて、腕が鳴る!」
予想以上の食いつきに、私たちは思わず顔を見合わせる。どうやら、快く引き受けてもらえたらしい。
「じゃあ、よろしくお願いします!」
そう言った瞬間。
「はい! じゃあ、あなたたちはもういいよ!」
「え?」
「メイク中は関係者以外立入禁止!」
「いや、私たちも関係者……」
「ほらほら、出た出た!」
「ちょ、待って――!」
気づけば私たちは、双子を置き去りにして部室の外へ追い出されていた。バタン。勢いよく閉まった扉を、三人でぽかんと見つめる。すると、扉の向こうから朝陽の声が聞こえてきた。
「どこ触ろうとしてんだよ!自分で脱ぐから!」
続いて夕燈の、少し困ったような声。
「ひよ……助けて」
恵那と吉川と顔を見合わせる。扉の向こうから、二人の悲痛な声が響いた。
◇
開演時間。満員の体育館は、期待に満ちたざわめきで包まれていた。ステージ中央へ、司会者が歩み出る。
「皆さま、本日のメインイベントについて、お知らせがあります」
その一言で、会場が静まり返った。
「本日出演予定だったララさんですが、急病のため、出演ができなくなりました」
その瞬間、客席が一気にどよめく。
「えーっ!」
「うそ! それ楽しみに来たのに!」
「マジかよ……」
「もう帰ろうぜ」
落胆の声が次々と飛び交い、空気が一気に重くなる。お願い……。まだ、帰らないで。胸の前で、ぎゅっと拳を握る。すると、司会者がにやりと笑った。
「ですが!」
その一言で、体育館中の視線がステージへ集まる。
「ランウェイの大トリを務めるのは――この学園が誇る、双子の王子様です!!」
スポットライトがステージを照らした。最初に歩み出てきたのは、朝陽だった。
白を基調としたロングジャケットに、淡い色のシャツ。胸元には繊細な装飾が施され、細身のパンツとブーツがすらりとした姿を引き立てている。普段の雰囲気とはまるで違う。前髪もいつもよりきちんと整えられ、堂々とした姿で歩く朝陽は、まさに正統派の王子様だった。そして、その後ろから夕燈が現れる。黒を基調としたロングジャケット。シャツの襟元は少し開け、アクセサリーも普段より大胆に。前髪を軽くかき上げ、いつもの柔らかな笑みを浮かべながらも、その姿にはどこか危うい色気が漂っている。普段の優しく穏やかな夕燈とは、まるで別人だった。黒と白。いつもの二人とは、まるで逆の雰囲気。それなのに、二人が並ぶと不思議なくらい絵になる。
私は大きく息を吸い込み、二人へ向かって勢いよく頭を下げた。
「朝陽、夕燈! お願い!! ランウェイ、歩いてください!」
「……いや、マジかよ」
朝陽が珍しく目を丸くする。
「えー。でも、ひよが困ってるし」
夕燈も困ったように笑った。
「そこをどうか!お願いします!!何でもするから!」
必死に頼み込むと、二人の動きがぴたりと止まる。
「……何でも、ねぇ」
朝陽が口角を上げる。
「楽しみだなぁ」
夕燈まで穏やかな笑みを浮かべた。……しまった。絶対あとで何か要求される。そう思ったけれど、今は文化祭を成功させることが最優先だ。
「ありがとう!」
私はもう一度深く頭を下げた。そして私は、恵那と吉川と一緒に双子を引っ張り、演劇部のブースへ向かった。
「衣装とメイク、お願いできますか?」
そう頼むと、演劇部の部員たちは一瞬顔を見合わせ――次の瞬間、ぱっと目を輝かせた。
「任せて!!」
「役得だわ!!」
「双子の王子様なんて、腕が鳴る!」
予想以上の食いつきに、私たちは思わず顔を見合わせる。どうやら、快く引き受けてもらえたらしい。
「じゃあ、よろしくお願いします!」
そう言った瞬間。
「はい! じゃあ、あなたたちはもういいよ!」
「え?」
「メイク中は関係者以外立入禁止!」
「いや、私たちも関係者……」
「ほらほら、出た出た!」
「ちょ、待って――!」
気づけば私たちは、双子を置き去りにして部室の外へ追い出されていた。バタン。勢いよく閉まった扉を、三人でぽかんと見つめる。すると、扉の向こうから朝陽の声が聞こえてきた。
「どこ触ろうとしてんだよ!自分で脱ぐから!」
続いて夕燈の、少し困ったような声。
「ひよ……助けて」
恵那と吉川と顔を見合わせる。扉の向こうから、二人の悲痛な声が響いた。
◇
開演時間。満員の体育館は、期待に満ちたざわめきで包まれていた。ステージ中央へ、司会者が歩み出る。
「皆さま、本日のメインイベントについて、お知らせがあります」
その一言で、会場が静まり返った。
「本日出演予定だったララさんですが、急病のため、出演ができなくなりました」
その瞬間、客席が一気にどよめく。
「えーっ!」
「うそ! それ楽しみに来たのに!」
「マジかよ……」
「もう帰ろうぜ」
落胆の声が次々と飛び交い、空気が一気に重くなる。お願い……。まだ、帰らないで。胸の前で、ぎゅっと拳を握る。すると、司会者がにやりと笑った。
「ですが!」
その一言で、体育館中の視線がステージへ集まる。
「ランウェイの大トリを務めるのは――この学園が誇る、双子の王子様です!!」
スポットライトがステージを照らした。最初に歩み出てきたのは、朝陽だった。
白を基調としたロングジャケットに、淡い色のシャツ。胸元には繊細な装飾が施され、細身のパンツとブーツがすらりとした姿を引き立てている。普段の雰囲気とはまるで違う。前髪もいつもよりきちんと整えられ、堂々とした姿で歩く朝陽は、まさに正統派の王子様だった。そして、その後ろから夕燈が現れる。黒を基調としたロングジャケット。シャツの襟元は少し開け、アクセサリーも普段より大胆に。前髪を軽くかき上げ、いつもの柔らかな笑みを浮かべながらも、その姿にはどこか危うい色気が漂っている。普段の優しく穏やかな夕燈とは、まるで別人だった。黒と白。いつもの二人とは、まるで逆の雰囲気。それなのに、二人が並ぶと不思議なくらい絵になる。

