祈りを紡ぐ明日から

「じゃあさ、料理担当は誰にする?」
奈々が声を上げる。
「なら、私たちやるよ!」
「じゃあ私は飾り付け!」
「買い出しなら任せて!」
次々と手が挙がり、教室が一気に賑やかになる。
「ひよの優しさが、ちゃんと返ってきたね」
夕燈がくすりと笑う。私は思わず、こくんとうなずいた。
「あっ、ひよりん来たー!」
「掛上! 俺たち何やればいい?」
さっきまで面倒くさそうにしていたクラスメイトまで集まってきてくれる。
「朝陽先輩と夕燈先輩だ!」
「かっこいい……!」
「こんにちは! 荷物持ちます!」
「いや、私が!」
「ちょっと、私が先!」
女子たちが小競り合いを始め、朝陽と夕燈は困ったように顔を見合わせて笑っていた。私はそんな様子に苦笑しながら、みんなへ仕事を割り振っていく。

「こんにちは!」
吉川が朝陽たちのもとへ歩み寄る。
「色々ありがとうな」
「いえ。まさか文化祭実行委員長まで引き受けるとは思いませんでしたけどね。前にも言ったんですよ。嫌ならちゃんと断れって。じゃないと、そのうち爆発するぞって」
苦笑いしながらそう話す吉川に、朝陽がふっと表情を和らげた。
「そう言ってくれるやつが近くにいてくれるだけで、あいつも少しは肩の力抜けるだろ」
その穏やかな笑みに、吉川は目をぱちぱちと瞬かせる。
「あの、俺――」
言いかけたところで、
「だーめ」
夕燈が朝陽をスッとおして一歩まえにでる。それからにこりと微笑んだ。
「ひよは、俺たちの可愛い可愛い妹だからね。手出さないでね?」
笑顔のままなのに、妙な圧がある。
「……圧、すご」
吉川が思わず苦笑すると、
「ははっ」
朝陽は呆れたように笑い、吉川もつられて吹き出した。