「だから、私はひよりちゃんの代わりでもいい。この先もみんなと家族でいられるなら、それでいい」
はっきりと告げた。これが、私が選んだ答えだから。
「……ひよは、それでいいのか?」
朝陽が震える声で問いかける。
「いいも何も……二人は、これからも私の兄でいてくれる?」
養子だから他人だと言われたらどうしよう。もう家族じゃないと言われたら――怖い。
「当たり前だろ。俺は変わらない。お前の兄だ」
朝陽はそう言って笑い、大きな手で私の頭を優しく撫でた。
「……ありがとう、朝陽」
涙がこぼれそうになる。祠の中に、しばらく静かな沈黙が落ちた。聞こえるのは、雨がぽつり、ぽつりと落ちる音だけ。
「……ごめん。俺は無理だ」
夕燈の声が、その静けさを破った。
「そうだよね……そんなの、都合が良すぎるよね」
唇を噛みしめる。ひよりちゃんの代わりになろうだなんて――そんなの図々しいよね。
「違う」
夕燈は静かに首を振った。
「俺ね。ひよを妹だなんて、一度も思ったことないんだ」
その言葉の意味が胸に落ちるまで、少し時間がかかった。私だけが、夕燈を兄だと思っていたの……?
「夕燈……」
朝陽が何か言いかける。けれど夕燈は首を振った。
「ごめん。俺、もう誤魔化したくない」
真っすぐ私を見つめる。その表情を見た朝陽は、何かを悟ったように小さく息をつき、
「……外で待ってる」
そう言い残して祠を出ていった。雨音だけが残る。
「俺……ひよが好きなんだ」
夕燈は少し震える声で続けた。
「妹としてじゃない。最初から、ひよ自身を見てきた。だから、これから先も妹として見ることはできない。ダメな兄で、ごめん。朝陽みたいにかっこよくなれなくて、ごめん」
儚く笑う。そんなの――ずるい。蘇る記憶の中で、夕燈だけはずっと私自身を見てくれていた。そして私は、そんな夕燈に惹かれていたのかもしれない。
「夕燈……」
「ごめんね。ひよ」
夕燈は目を伏せ、小さく笑った。
「好きでいることだけは、許してくれる?」
胸が締めつけられる。
「……帰ろうか。父さんも母さんも心配してる」
そう言って立ち上がり、歩き出そうとする。私はその背中を、とっさに掴んだ。夕燈の前では、素の私でいていいの?気持ちを隠さなくていいの?妹じゃなく、一人の”日和”として、夕燈を好きになってもいいの?答えは、もう決まっていた。
「私も……夕燈のこと、好きだよ」
夕燈の肩が、小さく震えた。
「それは……兄として、でしょ?」
苦しそうに笑う。
「俺、朝陽みたいにかっこよくないのは分かってる。全力で走ってひよを探しに行くこともできない。ここまで来るだけでも息が苦しくてさ。本当に情けない」
自嘲するように笑う。
「きっと、ひよは俺じゃなくて朝陽を好きになる。だから無理に答えなくていい。朝陽は『兄でいる』って言ったけど、もしひよが朝陽を本気で好きになったなら……俺は応援する」
少しだけ間を置き、優しく微笑んだ。
「だから、ひよはもう無理に”ひより”にならなくていい。俺たち二人の前では、ちゃんと”日和”でいて」
はっきりと告げた。これが、私が選んだ答えだから。
「……ひよは、それでいいのか?」
朝陽が震える声で問いかける。
「いいも何も……二人は、これからも私の兄でいてくれる?」
養子だから他人だと言われたらどうしよう。もう家族じゃないと言われたら――怖い。
「当たり前だろ。俺は変わらない。お前の兄だ」
朝陽はそう言って笑い、大きな手で私の頭を優しく撫でた。
「……ありがとう、朝陽」
涙がこぼれそうになる。祠の中に、しばらく静かな沈黙が落ちた。聞こえるのは、雨がぽつり、ぽつりと落ちる音だけ。
「……ごめん。俺は無理だ」
夕燈の声が、その静けさを破った。
「そうだよね……そんなの、都合が良すぎるよね」
唇を噛みしめる。ひよりちゃんの代わりになろうだなんて――そんなの図々しいよね。
「違う」
夕燈は静かに首を振った。
「俺ね。ひよを妹だなんて、一度も思ったことないんだ」
その言葉の意味が胸に落ちるまで、少し時間がかかった。私だけが、夕燈を兄だと思っていたの……?
「夕燈……」
朝陽が何か言いかける。けれど夕燈は首を振った。
「ごめん。俺、もう誤魔化したくない」
真っすぐ私を見つめる。その表情を見た朝陽は、何かを悟ったように小さく息をつき、
「……外で待ってる」
そう言い残して祠を出ていった。雨音だけが残る。
「俺……ひよが好きなんだ」
夕燈は少し震える声で続けた。
「妹としてじゃない。最初から、ひよ自身を見てきた。だから、これから先も妹として見ることはできない。ダメな兄で、ごめん。朝陽みたいにかっこよくなれなくて、ごめん」
儚く笑う。そんなの――ずるい。蘇る記憶の中で、夕燈だけはずっと私自身を見てくれていた。そして私は、そんな夕燈に惹かれていたのかもしれない。
「夕燈……」
「ごめんね。ひよ」
夕燈は目を伏せ、小さく笑った。
「好きでいることだけは、許してくれる?」
胸が締めつけられる。
「……帰ろうか。父さんも母さんも心配してる」
そう言って立ち上がり、歩き出そうとする。私はその背中を、とっさに掴んだ。夕燈の前では、素の私でいていいの?気持ちを隠さなくていいの?妹じゃなく、一人の”日和”として、夕燈を好きになってもいいの?答えは、もう決まっていた。
「私も……夕燈のこと、好きだよ」
夕燈の肩が、小さく震えた。
「それは……兄として、でしょ?」
苦しそうに笑う。
「俺、朝陽みたいにかっこよくないのは分かってる。全力で走ってひよを探しに行くこともできない。ここまで来るだけでも息が苦しくてさ。本当に情けない」
自嘲するように笑う。
「きっと、ひよは俺じゃなくて朝陽を好きになる。だから無理に答えなくていい。朝陽は『兄でいる』って言ったけど、もしひよが朝陽を本気で好きになったなら……俺は応援する」
少しだけ間を置き、優しく微笑んだ。
「だから、ひよはもう無理に”ひより”にならなくていい。俺たち二人の前では、ちゃんと”日和”でいて」

