それから京子は、少しずつ笑うようになった。止まっていた時間が、ゆっくりと動き始めたようだった。ひよりが背負うはずだった、ピンクのランドセル。それを背負って歩く日和の後ろ姿を見たとき、胸が苦しくなった。代わりにしている。そんなことは、誰よりもわかっていた。それでも、笑顔を取り戻した京子を見るたびに、「これでよかった」と思ってしまう自分がいた。
朝陽は何も言わなかった。けれど、日に日に口数は減っていった。夕燈は何も責めず、京子にも日和にも、いつも優しく寄り添っていた。
日和が小学生になり、中学生になり、少しずつ成長していく。
その姿を見ながら、何度も思った。――いつまでも、このままではいけない。
こんな偽物の幸せを続ければ、苦しむのは日和だ。ひよりを忘れたわけじゃない。忘れられるはずもない。あの子は、これからも家族の心の中で生き続ける。だからこそ、その罪も悲しみも背負っていかなければならない。京子にも、日和にも気づかれないように。朝陽と夕燈、そして私の三人だけで、ひよりの墓参りへ行き続けた。二人とも、口にはしなかった。それでも、妹を死なせたのは自分だと責め続けていることは伝わってきた。
「事故だった」
そう何度も言い聞かせた。朝陽も。夕燈も。京子も。誰も悪くない。誰か一人のせいではなかった。それでも、人は後悔せずにはいられない。あの日を、何度も何度も思い返してしまう。そんな毎日の中でも、日和は少しずつ家族を変えていった。
夕燈と笑い合い。朝陽とも少しずつ打ち解けていく。不思議な子だった。私でさえ間違える双子を、日和は一度も間違えなかった。素直で、優しくて、誰かを思いやることのできる子。
顔は少しも似ていない。性格も違う。それなのに、いつの間にか日和がいる毎日が、この家の日常になっていた。
「お父さん」
そう呼ばれるたびに、胸の奥が静かに揺れる。懐かしくて。切なくて。申し訳なくて。それでも、その一言に、私は何度も救われていた。
朝陽は何も言わなかった。けれど、日に日に口数は減っていった。夕燈は何も責めず、京子にも日和にも、いつも優しく寄り添っていた。
日和が小学生になり、中学生になり、少しずつ成長していく。
その姿を見ながら、何度も思った。――いつまでも、このままではいけない。
こんな偽物の幸せを続ければ、苦しむのは日和だ。ひよりを忘れたわけじゃない。忘れられるはずもない。あの子は、これからも家族の心の中で生き続ける。だからこそ、その罪も悲しみも背負っていかなければならない。京子にも、日和にも気づかれないように。朝陽と夕燈、そして私の三人だけで、ひよりの墓参りへ行き続けた。二人とも、口にはしなかった。それでも、妹を死なせたのは自分だと責め続けていることは伝わってきた。
「事故だった」
そう何度も言い聞かせた。朝陽も。夕燈も。京子も。誰も悪くない。誰か一人のせいではなかった。それでも、人は後悔せずにはいられない。あの日を、何度も何度も思い返してしまう。そんな毎日の中でも、日和は少しずつ家族を変えていった。
夕燈と笑い合い。朝陽とも少しずつ打ち解けていく。不思議な子だった。私でさえ間違える双子を、日和は一度も間違えなかった。素直で、優しくて、誰かを思いやることのできる子。
顔は少しも似ていない。性格も違う。それなのに、いつの間にか日和がいる毎日が、この家の日常になっていた。
「お父さん」
そう呼ばれるたびに、胸の奥が静かに揺れる。懐かしくて。切なくて。申し訳なくて。それでも、その一言に、私は何度も救われていた。

