夏休みということもあって、家の中を調べる絶好の機会をずっと伺っていた。そして、その日はすぐに来た。朝陽と夕燈は受験生だから夏期講習へ。母はママ友とランチで帰りは夕方。父は相変わらず忙しくて帰りは遅い。よし。誰もいなくなった。
まずは……母の部屋。そっと入る。ベッド、化粧台、クローゼット、棚。一通り探していく。……ない。なら、父の部屋だ。父は弁護士。こういうことには詳しいはず。するりと父の部屋へ向かう。書類は綺麗にまとめられていて、どこに何があるのか一目でわかるようになっている。どこだろう……ふと、書斎のテーブルの下に鍵付きの引き出しを見つけた。ここかもしれない。鍵はどこに……?父が持ち歩いていたら終わりだ。でも、家の鍵を毎日持ち歩くだろうか。ふと、植木鉢が目に入る。造花だ。父はこんなものを置くタイプじゃない。――あ、あった。植木鉢の裏に小さな鍵。胸が跳ねる。慌てて引き出しを開け、書類を確認する。とりあえず、スマホで写真を撮っていく。
そうしていると――ガチャリ。うそ!?このタイミングで帰ってきた。やばいやばい。ソファの影に身を隠す。……なんで。入ってきたのは朝陽だった。夏期講習どうしたのよ。そんなことを思いながら息を殺す。朝陽がゆっくりとこちらに向かってきた瞬間、スマホがけたたましく震えた。
「……気のせいか。もしもし。あー、もう戻るって」
はぁ……焦った。朝陽は出ていった。何食わぬ顔で父の部屋から這い出し、自室に戻って鍵をかける。スマホの写真を確認する。
• 名前:日和
• 続柄:長女(養子)
• 本籍:家族と同じ
• 養子縁組日:〇〇年5月10日
• 実父母:/天城 日千花
やっぱり……私は養子縁組なんだ。父親の欄に名前はない。次に調べるべきことは――本当のひよりは、なぜ死んだのか。きっと私は、この“ひより”の代わりにここへ来たんだ。ぎゅっと膝を抱えて縮こまる。
「私は……ひとりぼっちなの?」
涙が溢れた。どれだけ泣いたのかわからない。気づけばもう夕方で、母には「調子悪くてご飯いらない」と言った。朝陽と夕燈とは他人で……ずっと妹だと思っていたのは私だけで、家族じゃなかった。手を引いてくれたのも、心配してくれたのも……私にじゃない。亡くなった“ひより”の代わりだった。私は、ニセモノだ。頭が痛い。もういやだ。
まずは……母の部屋。そっと入る。ベッド、化粧台、クローゼット、棚。一通り探していく。……ない。なら、父の部屋だ。父は弁護士。こういうことには詳しいはず。するりと父の部屋へ向かう。書類は綺麗にまとめられていて、どこに何があるのか一目でわかるようになっている。どこだろう……ふと、書斎のテーブルの下に鍵付きの引き出しを見つけた。ここかもしれない。鍵はどこに……?父が持ち歩いていたら終わりだ。でも、家の鍵を毎日持ち歩くだろうか。ふと、植木鉢が目に入る。造花だ。父はこんなものを置くタイプじゃない。――あ、あった。植木鉢の裏に小さな鍵。胸が跳ねる。慌てて引き出しを開け、書類を確認する。とりあえず、スマホで写真を撮っていく。
そうしていると――ガチャリ。うそ!?このタイミングで帰ってきた。やばいやばい。ソファの影に身を隠す。……なんで。入ってきたのは朝陽だった。夏期講習どうしたのよ。そんなことを思いながら息を殺す。朝陽がゆっくりとこちらに向かってきた瞬間、スマホがけたたましく震えた。
「……気のせいか。もしもし。あー、もう戻るって」
はぁ……焦った。朝陽は出ていった。何食わぬ顔で父の部屋から這い出し、自室に戻って鍵をかける。スマホの写真を確認する。
• 名前:日和
• 続柄:長女(養子)
• 本籍:家族と同じ
• 養子縁組日:〇〇年5月10日
• 実父母:/天城 日千花
やっぱり……私は養子縁組なんだ。父親の欄に名前はない。次に調べるべきことは――本当のひよりは、なぜ死んだのか。きっと私は、この“ひより”の代わりにここへ来たんだ。ぎゅっと膝を抱えて縮こまる。
「私は……ひとりぼっちなの?」
涙が溢れた。どれだけ泣いたのかわからない。気づけばもう夕方で、母には「調子悪くてご飯いらない」と言った。朝陽と夕燈とは他人で……ずっと妹だと思っていたのは私だけで、家族じゃなかった。手を引いてくれたのも、心配してくれたのも……私にじゃない。亡くなった“ひより”の代わりだった。私は、ニセモノだ。頭が痛い。もういやだ。

