夏休みになった。暇だ。宿題もしなければいけないけど、一人じゃやる気にならない。朝陽も夕燈も今日は家にいない。朝陽に借りていた漫画も読み終わってしまった。次の巻が気になる。スマホで調べると——
「ちょうど今日発売日だ」
さすがに朝陽が新刊を買っているはずもなく、連絡すると「まだ買ってない」と返ってきた。よし、買いに行こう。ジーパンとTシャツに着替え、髪をポニーテールにまとめて帽子をかぶる。外は暑い。近所の本屋へ向かう途中——
「あれ?御上?」
声をかけてきたのは、短髪で同じクラスの 吉川 昴。
「吉川だ。久しぶり」
「それにしてもあっちぃーな」
笑いながら額の汗をぬぐう。
「だねー。何してるの?」
「宿題やる気なくて漫画の新刊買いにきた」
「うそ、私と一緒」
吉川が楽しそうに笑う。
「似たもの同士だな」
「ほんとにね」
吉川とは小学校からの同級生だ。並んで歩きながら本屋へ向かう。
「なー、暇だしさ。かき氷食いに行かない?」
「どこの?」
「ここからだとちょっと離れてるけど、電車乗っていける」
スマホで地図を見せてくる。フルーツが盛りだくさんのって、練乳がかかったかき氷。
「美味しそう」
「どうせ同じ暇同士、行こうぜ」
「いいよー、行こう」
そう言って並んで歩く。
「そういえば、最近悪夢は見ないのか?」
一度倒れたときから、吉川はずっと心配してくれている。
「うん。ちゃんと寝れてるよ。でもさ、この前夕燈と祠に行ったんだけど」
「祠?」
吉川が首を傾げる。
「河川敷のとこにある」
「あんなとこに祠あった?」
「あるんだけどさ。初めて来たはずなのに、そんな気がしなくて」
「へぇー」
「私、昔事故で頭打ったらしくてさ。幼少期の記憶がわりと曖昧らしいんだよ」
「まじ?」
吉川が目を丸くする。
「うん」
「でも、そういえば掛上ってさ。変な時期に転校してきたよな」
人々が賑わう中、駅に着き、二人で改札を抜ける。
「そうだっけ?」
「そうそう。夏休み明けに来ただろ?宿題しなくていいなーって思ったから俺よく覚えてるよ」
吉川が笑う。駅のホームで並んで話す。
「なんだそれ……でも、そっか…」
小学校に通い始める前の記憶も思い出せない。なんでこんなに曖昧なのだろう。そう言いながらホームを見渡したとき——
ふと、見慣れた人物が視界の端に映った。
「ちょうど今日発売日だ」
さすがに朝陽が新刊を買っているはずもなく、連絡すると「まだ買ってない」と返ってきた。よし、買いに行こう。ジーパンとTシャツに着替え、髪をポニーテールにまとめて帽子をかぶる。外は暑い。近所の本屋へ向かう途中——
「あれ?御上?」
声をかけてきたのは、短髪で同じクラスの 吉川 昴。
「吉川だ。久しぶり」
「それにしてもあっちぃーな」
笑いながら額の汗をぬぐう。
「だねー。何してるの?」
「宿題やる気なくて漫画の新刊買いにきた」
「うそ、私と一緒」
吉川が楽しそうに笑う。
「似たもの同士だな」
「ほんとにね」
吉川とは小学校からの同級生だ。並んで歩きながら本屋へ向かう。
「なー、暇だしさ。かき氷食いに行かない?」
「どこの?」
「ここからだとちょっと離れてるけど、電車乗っていける」
スマホで地図を見せてくる。フルーツが盛りだくさんのって、練乳がかかったかき氷。
「美味しそう」
「どうせ同じ暇同士、行こうぜ」
「いいよー、行こう」
そう言って並んで歩く。
「そういえば、最近悪夢は見ないのか?」
一度倒れたときから、吉川はずっと心配してくれている。
「うん。ちゃんと寝れてるよ。でもさ、この前夕燈と祠に行ったんだけど」
「祠?」
吉川が首を傾げる。
「河川敷のとこにある」
「あんなとこに祠あった?」
「あるんだけどさ。初めて来たはずなのに、そんな気がしなくて」
「へぇー」
「私、昔事故で頭打ったらしくてさ。幼少期の記憶がわりと曖昧らしいんだよ」
「まじ?」
吉川が目を丸くする。
「うん」
「でも、そういえば掛上ってさ。変な時期に転校してきたよな」
人々が賑わう中、駅に着き、二人で改札を抜ける。
「そうだっけ?」
「そうそう。夏休み明けに来ただろ?宿題しなくていいなーって思ったから俺よく覚えてるよ」
吉川が笑う。駅のホームで並んで話す。
「なんだそれ……でも、そっか…」
小学校に通い始める前の記憶も思い出せない。なんでこんなに曖昧なのだろう。そう言いながらホームを見渡したとき——
ふと、見慣れた人物が視界の端に映った。

