お風呂上がり、まだ髪が少し湿ったまま、私はタオルを肩にかけて夕燈の部屋へ向かった。コンコン。
「どうぞ」
「夕燈ー」
扉を開けると、夕燈は椅子に腰かけて本を読んでいた。柔らかい間接照明に照らされて、ページをめくる指先まで綺麗に見える。
「どうしたの?」
本からゆっくり目線を上げて、私を見る。その視線が優しくて、胸が少しだけくすぐったい。
「これ、さっき渡しそびれたから」
そう言って、プリクラを差し出す。
「ありがとう」
夕燈は受け取ると、指でそっと縁をなぞりながら眺めた。その横顔が、なんだか嬉しそうで。
「楽しかった?」
そう聞くと、迷わずに答える。
「うん、楽しかったよ。ひよといると……俺はいつも楽しい」
ふわっと笑うその表情。ほんと、ずるい。胸の奥がじんわり熱くなるのを誤魔化すように口を開く。
「それにしたって、お母さん心配しすぎだよね」
椅子を引き寄せて座る。
「うん、そうだね…でも仕方ないよ」
その声はどこか寂しそうな気がしたけど気にしないふりをした。
「それにしたって、夕燈しれっと嘘つくし」
「でもひよも合わせてくれたじゃん。共犯だね」
悪戯っぽく笑ったその顔は朝陽っぽい。
「そうだね」
二人で軽く笑い合う。
「ねぇ、ひよ。明日俺とデートしよっか」
「え?」
夕燈が本を閉じ、まっすぐ私を見る。その目が優しくて、逃げ場がない。
「いく!!」
「よし、じゃあ明日」
夕燈とデート。思わずスキップしそうになる気持ちを抑える。お兄ちゃんとはいえ、優しくて穏やかで、たまに話す雑学が妙に面白くて……そりゃ好きになるよね。先輩にいたら絶対惚れるタイプ。妹の特権とはいえ、これはもう完全にご褒美。部屋に戻ると、テンションが上がりすぎてふんふんと鼻歌を歌いながら、服を次々とベッドに並べていく。どれがいいかな、明日……そんなことを考えていたそのとき——
「入るぞ」
ガチャッ。
「ちょっと、朝陽」
振り返ると、朝陽が立っていた。床に散らばった服を見て、眉をひそめる。
「なんだよ、これ」
さっきまでの浮かれた空気が、一瞬で冷や水をかけられたみたいに止まった。
「どうぞ」
「夕燈ー」
扉を開けると、夕燈は椅子に腰かけて本を読んでいた。柔らかい間接照明に照らされて、ページをめくる指先まで綺麗に見える。
「どうしたの?」
本からゆっくり目線を上げて、私を見る。その視線が優しくて、胸が少しだけくすぐったい。
「これ、さっき渡しそびれたから」
そう言って、プリクラを差し出す。
「ありがとう」
夕燈は受け取ると、指でそっと縁をなぞりながら眺めた。その横顔が、なんだか嬉しそうで。
「楽しかった?」
そう聞くと、迷わずに答える。
「うん、楽しかったよ。ひよといると……俺はいつも楽しい」
ふわっと笑うその表情。ほんと、ずるい。胸の奥がじんわり熱くなるのを誤魔化すように口を開く。
「それにしたって、お母さん心配しすぎだよね」
椅子を引き寄せて座る。
「うん、そうだね…でも仕方ないよ」
その声はどこか寂しそうな気がしたけど気にしないふりをした。
「それにしたって、夕燈しれっと嘘つくし」
「でもひよも合わせてくれたじゃん。共犯だね」
悪戯っぽく笑ったその顔は朝陽っぽい。
「そうだね」
二人で軽く笑い合う。
「ねぇ、ひよ。明日俺とデートしよっか」
「え?」
夕燈が本を閉じ、まっすぐ私を見る。その目が優しくて、逃げ場がない。
「いく!!」
「よし、じゃあ明日」
夕燈とデート。思わずスキップしそうになる気持ちを抑える。お兄ちゃんとはいえ、優しくて穏やかで、たまに話す雑学が妙に面白くて……そりゃ好きになるよね。先輩にいたら絶対惚れるタイプ。妹の特権とはいえ、これはもう完全にご褒美。部屋に戻ると、テンションが上がりすぎてふんふんと鼻歌を歌いながら、服を次々とベッドに並べていく。どれがいいかな、明日……そんなことを考えていたそのとき——
「入るぞ」
ガチャッ。
「ちょっと、朝陽」
振り返ると、朝陽が立っていた。床に散らばった服を見て、眉をひそめる。
「なんだよ、これ」
さっきまでの浮かれた空気が、一瞬で冷や水をかけられたみたいに止まった。

