祈りを紡ぐ明日から

テストを無事に乗り切った。二人のおかげだ。……いや、正直ほぼ 朝陽 のおかげ。夕燈は一生懸命教えてくれたけど、ふわっとしすぎてて、よくわからなかった。天才肌は違う。
「日和、テストどうだった?」
「ぼちぼちかなー。補修は多分免れた!」
「まじかー、私やばいかも」
恵那が笑いながら肩をすくめる。私はほっと胸をなでおろしながら校門を出た——そのとき。
「おせーよ、ひよ」
聞き慣れた声に振り向く。そこに立っていたのは、制服姿の——
「ゆ、夕燈!?」
「わあ、すごい!もう見破られた」
夕燈はぱっと花が咲くみたいに笑った。
「何してるのさ」
「ひよと帰ろうと思って。待ってた」
待ってたって……そう言って首を傾げる仕草が、可愛いにもほどがある。
「じゃあ帰ろっか」
「うーん」
「どうしたの?」
「俺もゲーセン行きたい」
「え?」
「行こうよ」
夕燈が少しだけ身を寄せてくる。その距離の近さに、胸がくすぐったくなる。
「す、少しだけだよ」
「やった」
その笑顔、反則。
「はい」
そう言って手を差し出してきた。
「ん?」
「手つなぐ?」
「いや、もう子供じゃないんだから!」
「あ、そっか」
夕燈はくすっと笑う。無自覚天然タラシなんだから。夕燈のこの優しさに泣かされている女子も数知れないな。
ゲームセンターに着くと、色とりどりのライトが反射して眩しい。
「すごーい、こんなにキラキラしてるんだね」
夕燈が目を丸くして見渡している。そのはしゃぎっぷりが、もう可愛い。
「なにする?」
「クレーンゲームしたい」
「いいよ。まだあの蝶シリーズあるかな?」
そう言って探したけど——
「もうなかったね」
「残念」
肩を落とす夕燈、
「じゃあ、あれ撮ろうよ!」
私は指をさす。
「これは?」
「プリクラ!可愛く写真が撮れます」
ジャジャーンと効果音をつける。
「スマホじゃダメなの?」
「……ダメではないけど。これも経験だよ?夕燈」
「それもそうだね」
夕燈がふっと笑う。その笑顔に胸が少しだけ跳ねた。すると——
「ねぇー朝陽。プリクラ一緒に撮ろうよ!」
「やだよ」
……え?
「いいじゃん!みんなで撮ろうぜ」
「そうだよ」
げっ。朝陽じゃん。振り返ると、キラキラしたグループの真ん中に 朝陽 がいた。しかも、こっちに気づきそうな距離。——見つかったら絶対めんどい。心臓が一気に跳ね上がる。