君と僕だけの星空

カメラの視点は一転し、容疑者の男が働いていた金属加工工場の映像へと切り替わった。









 作業着姿で取材に応じるのは、かつて男と一緒に働いていた工場関係者だ。










『すごく真面目で、誠実な子だったよ。文句ひとつ言わずに毎日黙々と働いていてね。あの子、半年に一度くらいだろうか。「友達と会うんだ」って、すごく嬉しそうに話してくれたことがあったんだ。身寄りもいないし、友達もそんなに多い方ではなかったみたいだから……その友達が、今回亡くなった彼だったのかな。あの子がそんな事件に関わっているなんて、今でも信じられないよ……』











 VTRが終わり、スタジオへと画面が戻る。








 アナウンサーが痛々しい顔で口を開いた。







「容疑者の男にとっても、被害者の青年は数少ない大切な存在だったのかもしれません。半年に一度の再会を楽しみにしていたという言葉が、胸に刺さります。ですが、週刊誌の取材によれば、容疑者の男は一ヶ月ほど前から金銭への強い焦りを見せ、被害者の青年もまた、口座から全額の百二十万円を引き出していました」










 モニターには、番組側が用意したフリップが提示された。









 左側には被害者の写真とともに「有名私立大生」「人望が厚い」「恵まれた環境」という言葉。







 右側には容疑者の男のシルエットとともに「家族を火事で喪失」「極貧の工場労働」「孤立」という言葉。










 中央には『月と太陽——すれ違う二人の境遇』という見出しが掲げられていた。










 アナウンサーがコメンテーターの女性タレントに振る。





「二人は友人同士だったはずなのに、どこで掛け違えてしまったのでしょうか。ご家族のお気持ちを思うと、本当に言葉もありませんが……」







「本当ですよね……」


女性タレントは胸に手を当て、真剣な眼差しで語り始めた。











「ご家族や周囲の方々のお話を聞いていると、本当に二人とも根は真面目で、お互いを思いやっていた時期もあったんじゃないかって思えてしまって……だからこそ余計に辛いです。裕福な環境と苦しい生活という格差の中で、何かボタンの掛け違いがあったのでしょうか。本当の理由を話して、ご家族に説明してあげてほしいですね……」







 続いて、専門家として招かれた専門家が重々しく頷いた。



「人間関係において、環境の大きな変化は時に歪みを生むことがあります。孤立感を深めていた容疑者にとって、光の中を進む被害者の姿が、知らず知らずのうちに眩しすぎたのかもしれません。金銭的な問題が引き金になった可能性は否定できないでしょう」








「なるほど……突然未来を奪われた青年と、残されたご家族。そして黙秘を続ける容疑者。あまりにも切ない事件です」








 アナウンサーが深々と一礼し、番組は次のコーナーへと移っていった。