君と僕だけの星空

「生放送、三秒前。二、一……」






 フロアディレクターのカウントダウンとともに、スタジオの赤ランプが点灯した。









 画面が切り替わり、整った身なりをしたベテランのアナウンサーが、痛ましさを隠しきれないといった重々しい表情でカメラを見つめた。












「午後の情報番組『ニュースライト』。本日最初の特集は、郊外の公園で発生した薬物死事件です。自首した男の口から動機が語られない中、今朝発売の週刊誌記事をはじめ、新たな取材によって二人の背景が浮かび上がってきました」












 スタジオの大型モニターに、今朝発売されたばかりの『週刊現代潮流』の紙面が映し出される。藤原が書いた『自首した容疑者の極貧生活と消えた120万円』という見出しだ。












「被害者は、都内の有名私立大学に通う二十一歳の青年。一方で、逮捕された同い年の容疑者の男は、高校時代に火事で家族を亡くし、過酷な工場労働に耐える日々を送っていました。対照的な人生を歩んでいた二人の間に、一体何があったのでしょうか。番組取材班は、二人の関係者や周囲の方々にお話をお聞きしました」












 VTRが明けると、画面に映し出されたのは被害者の大学の同級生たちの姿だった。モザイク処理された学生たちが、悲しげに声を落とす。









『本当に良い奴だったんです。明るくて、気さくで、誰からも好かれていて。将来の夢も語っていました。みんなの太陽みたいな、そんな彼が、どうして……』










 続いて、画面は被害者の親族の元へ移った。玄関先で涙を拭いながら、声を詰まらせてインタビューに答える親族の女性。









『あんなに良い子が、どうして……。容疑者の方のことは、あの子から話に聞いたことがありました。「すごくいい友達なんだ」って。すごく大切に思っていたみたいです。でも、どうしてこんなことに……。本当のことを話してほしいです。もう、あの子は帰ってこないのに……』













 親族の痛切な涙と叫び。







 番組は、大切な家族を失った遺族の悲しみに誠実に寄り添うように、静かなトーンで取材映像を繋いでいく。