大阪ぶらり出張飯

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 ホテルをチェックインし、荷物を置いてから、ウィンドウショッピングをしてお腹の容量を空けてから、いよいよ目的の店へと向かう。
 関西といえば。
 粉もん。串揚げ。まあいろいろあるけれど。
 私の場合はうどんだと思っている。関西風の出汁のうどんは少しずつ広まってはいるものの、関西のうどんの麺に関してはまだまだ浸透してないんじゃないかなと思う。
 出汁を吸ってもコシのあるうどん。全ての具材がうどんの前座になるうどん。
 そんな訳で、麺中心の日本料理店に来た。関西風のご飯は、基本的にどれもこれも出汁を利かせてもてなすという形の店であり、関東の醤油と野菜を同時に楽しむというタイプの料理ではない。

「予約の花島です」
「いらっしゃいませ。はい、お席にどうぞ」

 そう言って通された席で、お冷やの代わりにほうじ茶を出されながら待つ。
 ここはうどんを中心に出す店なため、今時夏場に空調を効かせるのはよくない風潮に反して若干空調がきつめになっている。
 温かいほうじ茶を飲んで待っていたら「お待たせしました」と店員さんがたくさん持ってやってきた。

「こちら松竹御膳になります」
「ありがとうございます!」

 出されたのは、いろとりどりの食事。withうどん。
 刺身の盛り合わせは、鯛とまぐろといか。てんぷらはナスとカボチャの夏野菜。炊き込みご飯はしめじと鶏肉の王道な感じ。
 そしてメイン。メインのうどん。すだちをたくさん輪切りにして浮かべてある。この金色の出汁。これが飲みたくてここに来てるんだよねえ。
 私はまずはうどんの出汁をひと口すすった。
 すだちを浮かべてある分、すだちの果汁が入ってさっぱりとしている。それでいて出汁が本当においしい。これ鰹と昆布の合わせ出汁だったはずだ。
 そして少し出汁を吸ったうどんをすする。これまたおいしい。このうどんのもっちりとしながら出汁を吸ってすぐにたるまないコシのよさ。これを食べるためにここをわざわざ予約していたと言っても過言ではない。
 他のおかずも食べる。刺身のシンプルな味わい。てんぷらを浸ける出汁もうどんの出汁とは異なる若干甘めな味ながらも、うどんの出汁の味わいを殺さないように計算されている。そして炊き込みご飯。これも出汁入れて炊いている味なのに、どの料理の味も殺さないし、むしろ全部を順繰りに食べれば食べるほどおいしくなるのはなんでなの。
 夢中で食べていたら、あっという間に空っぽになってしまった。
 店員さんが「おかわりはいかがですか」とほうじ茶を湯飲みに注いでくれ、それを食後に味わう。
 おいしかった……。
 酒を飲んで肴に聞くのが猥談や患者の悪口ならば、もうひとりで静かに目の前の食事に集中したい。今回の贅沢なご飯は、明日現実に帰るための燃料でもある。

「お土産はあれだなあ、肉まんもいいけどちまき食べたいんだよなあ……」

 新幹線の中で匂いのきついものは嫌がられるから、せめて中華弁当売ってないかなあと探すことを考えながら、ホテルに戻る。
 久々の大阪のご飯で、生きる活力をもらえたような気がした。

<了>