しばらくして、カードキーがカチャリと鳴って、買い出しに行っていた同室の女子2人が「ただいまー!マックのポテト、超並んでたんだけど!」と、明るい声を上げて戻ってきた。
優奈はすぐにいつものテンションに戻って「えー、ウケる!私にも一口ちょうだい!」って、女子2人の輪の中に飛び込んでいった。
私は、自分の布団の隅っこに小さくなって丸まった。
その夜も私はほとんど一睡もできないまま朝を迎えた。
修学旅行の2日目と3日目は、マジでどうやって過ごしたのか、記憶がほとんどモザイクみたいに霞んでいる。寺のまばゆい金色も木組みの高さも、私の目には全部、ただの色のない背景にしか見えなかった。
班別行動の間、優奈はずっと煌河くんの隣にぴったりとくっついていた。
「煌河くん、こっち向いて!」
「次はあっち行こうよ!」
煌河くんも、それに対して「おう」「いいよ」と、いつも通りに優しく笑って応えている。
煌河くんは、一度も後ろを振り返らなかった。
私の存在なんて、最初からこの班にいなかったみたいに、彼の世界から私は完全に締め出されていた。
かつて教室で、授業中に何度も振り返って私に笑いかけてくれた、あの愛おしい背中は、もう世界のどこを探しても存在しないのだと、冷たい秋風が私の肌に嫌というほど教えてくれた。
そして、修学旅行の最終日。新幹線のホームは、お土産の紙袋をたくさん抱えた高校生たち。
「あーあ、終わっちゃうね、李奈。寂しいな」
優奈は、限定のキャラクターのストラップが揺れるスマホを私の目の前で振りながら、寂しそうな顔をした。
「うん、そうだね」
私は、お土産の箱を胸に抱きしめたまま、力なく笑う。
帰りの新幹線は、行きとは座席の配置が変わって、私は通路側の席に1人で座ることになった。
優奈と煌河くんは、少し離れた前方の席で、2人で並んで座っている。
東京へ向かう新幹線が、ガタガタと音を立ててスピードを上げていく。
窓の外の景色が、どんどん後ろへ、後ろへと置き去りにされていくのを、私はただぼんやりと見つめていた。
私は真っ先に自分の部屋の引き出しを開けて、あの手紙を開かなければならない。
そこに何が書かれているのか。私が勝手に妄想していたような、甘い恋の言葉なのか。
新幹線の車内アナウンスが、「まもなく、東京、東京です」と、冷淡な声で告げた。
私たちの、どこまでも綺麗で、どこまでもおかしな修学旅行が、今終わろうとしている。
優奈はすぐにいつものテンションに戻って「えー、ウケる!私にも一口ちょうだい!」って、女子2人の輪の中に飛び込んでいった。
私は、自分の布団の隅っこに小さくなって丸まった。
その夜も私はほとんど一睡もできないまま朝を迎えた。
修学旅行の2日目と3日目は、マジでどうやって過ごしたのか、記憶がほとんどモザイクみたいに霞んでいる。寺のまばゆい金色も木組みの高さも、私の目には全部、ただの色のない背景にしか見えなかった。
班別行動の間、優奈はずっと煌河くんの隣にぴったりとくっついていた。
「煌河くん、こっち向いて!」
「次はあっち行こうよ!」
煌河くんも、それに対して「おう」「いいよ」と、いつも通りに優しく笑って応えている。
煌河くんは、一度も後ろを振り返らなかった。
私の存在なんて、最初からこの班にいなかったみたいに、彼の世界から私は完全に締め出されていた。
かつて教室で、授業中に何度も振り返って私に笑いかけてくれた、あの愛おしい背中は、もう世界のどこを探しても存在しないのだと、冷たい秋風が私の肌に嫌というほど教えてくれた。
そして、修学旅行の最終日。新幹線のホームは、お土産の紙袋をたくさん抱えた高校生たち。
「あーあ、終わっちゃうね、李奈。寂しいな」
優奈は、限定のキャラクターのストラップが揺れるスマホを私の目の前で振りながら、寂しそうな顔をした。
「うん、そうだね」
私は、お土産の箱を胸に抱きしめたまま、力なく笑う。
帰りの新幹線は、行きとは座席の配置が変わって、私は通路側の席に1人で座ることになった。
優奈と煌河くんは、少し離れた前方の席で、2人で並んで座っている。
東京へ向かう新幹線が、ガタガタと音を立ててスピードを上げていく。
窓の外の景色が、どんどん後ろへ、後ろへと置き去りにされていくのを、私はただぼんやりと見つめていた。
私は真っ先に自分の部屋の引き出しを開けて、あの手紙を開かなければならない。
そこに何が書かれているのか。私が勝手に妄想していたような、甘い恋の言葉なのか。
新幹線の車内アナウンスが、「まもなく、東京、東京です」と、冷淡な声で告げた。
私たちの、どこまでも綺麗で、どこまでもおかしな修学旅行が、今終わろうとしている。



