ユキイロノセカイ

 ――心配なんです。
あの子が……かえくんが。

 ぼくはひたすら、天に祈っていた。

 ――あの子を独りにはできません。

 あの子には、ぼくがいなくてはダメなんだ。
 ぼくが、そうであるように。

 ――おねがいします。

 今まで、なにも望んではきませんでした。
 でもこれだけは、どうか叶えては頂けないでしょうか。

 ――ぼくは、もう一度だけ、生きたいんです。

 ただひたすらに願って、願って……時の流れも忘れて。
 どれだけたったのだろうか。
 ある日突然、ぼくはまばゆいばかりの光を目の当たりにしたんだ。

『生きたいか?』と問われた。
 はい、と答えた。
 自分には、大切な人がいるから。

『生きる覚悟はあるか?』と次に問われた。
 意図をはかりかねたけれども、はい、と答えた。
 あの子を遺してゆくなんて、考えられないから。

『では、一度だけ機会をやろう――』

 それは、神様の思し召しだったのかもしれない。
 ひとりの少女が、不思議と脳裏に浮かぶ。

『彼女が、おまえの生きるしるべだ。すべてはおまえにゆだねよう』

 ――わかりました。

 そうしてぼくは、言葉の重みをろくに理解しないままに、もどってきてしまったのだ。