【短歌】
朝練の 眠そうな君 見つければ 眠気もどこか消えてしまった
【短歌をテーマにした物語】
朝の体育館は、まだ少し暗かった。
窓の外には、薄い朝焼けが広がっている。
私は眠い目をこすりながら、体育館の扉を開けた。
「おはよう……」
誰に言うでもなく、小さくつぶやく。
今日はバスケットボール部の朝練。
朝が苦手な私にとって、早起きは毎日の小さな戦いだった。
目覚ましが鳴っても布団から出たくない。
寒い日は、なおさらだ。
それでも。
私は毎朝、ここへ来ている。
「おはよう」
聞き慣れた声がした。
振り返る。
そこに彼がいた。
「……眠そう」
「そっちこそ」
彼は大きなあくびをして、目をこすった。
「昨日、遅くまで宿題やってた」
「私も」
「じゃあ仲間だな」
そう言って笑う。
眠そうな顔なのに、笑うといつもの彼だった。
私はなぜか、その顔を見るだけで少し元気になった。
練習が始まる。
ランニング。
ストレッチ。
パス練習。
朝一番の体育館に、シューズの音が響く。
私はボールを追いながら、時々彼を目で追っていた。
彼は眠そうだった。
いつもより動きが少し鈍い。
それでも、ボールを受けると真剣な顔になる。
「ナイス!」
仲間から声が飛ぶ。
彼が笑う。
私はまた、その笑顔を見ていた。
「何見てるの?」
突然、隣から声がした。
「え?」
同じ部活の友達だった。
「さっきから、あの人のこと見てない?」
「見てないよ」
「見てたじゃん」
「……ちょっとだけ」
「好きなの?」
「……知らない」
自分でも、まだよく分からなかった。
ただ。
朝練に来るのが、以前ほど苦痛ではなくなった。
むしろ。
彼がいるかどうかを確認することが、いつの間にか朝の習慣になっていた。
練習が終わる。
みんなが片づけを始める。
私はモップを持って体育館の端を歩いていた。
そのとき。
「ねえ」
彼に呼ばれた。
「何?」
「今日、眠そうじゃなかった?」
「え?」
「朝、すごい眠そうだった」
「そっちもでしょ」
「俺はいつもこんな感じ」
「自慢することじゃないよ」
二人で笑う。
彼が少しだけ黙った。
「でもさ」
「うん?」
「朝練、来るの嫌じゃない?」
「……最初は嫌だった」
「今は?」
私は少し考えた。
そして、正直に答えた。
「今は……そうでもない」
「そっか」
彼は笑った。
「俺も」
「え?」
「朝、眠いけど」
彼は少し照れくさそうに言った。
「君がいるから、来るのも悪くないかなって」
心臓が、大きく鳴った。
「……そういうこと、普通に言うのやめて」
「なんで?」
「……知らない」
私は顔を隠すように俯いた。
眠気なんて、とっくに消えていた。
翌朝。
目覚ましが鳴る。
「……眠い」
布団の中で、私は目を閉じる。
あと五分。
そう思った。
でも。
体育館で眠そうにあくびをしている彼の姿が頭に浮かんだ。
「……行こう」
私は起き上がった。
体育館に着く。
扉を開ける。
まだ彼はいない。
私は少しだけがっかりした。
でも、しばらくすると。
「おはよう」
声が聞こえた。
振り返る。
彼が眠そうな顔で立っている。
「おはよう」
「眠い……」
「私も」
「今日も頑張ろうか」
「うん」
二人で笑う。
朝の体育館は、まだ静かだった。
眠い目をこすりながら。
それでも私たちは、今日もボールを追いかける。
毎日同じような朝。
同じ体育館。
同じ練習。
なのに。
彼がいるだけで、少しだけ特別になる。
朝練の 眠そうな君 見つければ 眠気もどこか消えてしまった
【短歌をテーマにした物語】
朝の体育館は、まだ少し暗かった。
窓の外には、薄い朝焼けが広がっている。
私は眠い目をこすりながら、体育館の扉を開けた。
「おはよう……」
誰に言うでもなく、小さくつぶやく。
今日はバスケットボール部の朝練。
朝が苦手な私にとって、早起きは毎日の小さな戦いだった。
目覚ましが鳴っても布団から出たくない。
寒い日は、なおさらだ。
それでも。
私は毎朝、ここへ来ている。
「おはよう」
聞き慣れた声がした。
振り返る。
そこに彼がいた。
「……眠そう」
「そっちこそ」
彼は大きなあくびをして、目をこすった。
「昨日、遅くまで宿題やってた」
「私も」
「じゃあ仲間だな」
そう言って笑う。
眠そうな顔なのに、笑うといつもの彼だった。
私はなぜか、その顔を見るだけで少し元気になった。
練習が始まる。
ランニング。
ストレッチ。
パス練習。
朝一番の体育館に、シューズの音が響く。
私はボールを追いながら、時々彼を目で追っていた。
彼は眠そうだった。
いつもより動きが少し鈍い。
それでも、ボールを受けると真剣な顔になる。
「ナイス!」
仲間から声が飛ぶ。
彼が笑う。
私はまた、その笑顔を見ていた。
「何見てるの?」
突然、隣から声がした。
「え?」
同じ部活の友達だった。
「さっきから、あの人のこと見てない?」
「見てないよ」
「見てたじゃん」
「……ちょっとだけ」
「好きなの?」
「……知らない」
自分でも、まだよく分からなかった。
ただ。
朝練に来るのが、以前ほど苦痛ではなくなった。
むしろ。
彼がいるかどうかを確認することが、いつの間にか朝の習慣になっていた。
練習が終わる。
みんなが片づけを始める。
私はモップを持って体育館の端を歩いていた。
そのとき。
「ねえ」
彼に呼ばれた。
「何?」
「今日、眠そうじゃなかった?」
「え?」
「朝、すごい眠そうだった」
「そっちもでしょ」
「俺はいつもこんな感じ」
「自慢することじゃないよ」
二人で笑う。
彼が少しだけ黙った。
「でもさ」
「うん?」
「朝練、来るの嫌じゃない?」
「……最初は嫌だった」
「今は?」
私は少し考えた。
そして、正直に答えた。
「今は……そうでもない」
「そっか」
彼は笑った。
「俺も」
「え?」
「朝、眠いけど」
彼は少し照れくさそうに言った。
「君がいるから、来るのも悪くないかなって」
心臓が、大きく鳴った。
「……そういうこと、普通に言うのやめて」
「なんで?」
「……知らない」
私は顔を隠すように俯いた。
眠気なんて、とっくに消えていた。
翌朝。
目覚ましが鳴る。
「……眠い」
布団の中で、私は目を閉じる。
あと五分。
そう思った。
でも。
体育館で眠そうにあくびをしている彼の姿が頭に浮かんだ。
「……行こう」
私は起き上がった。
体育館に着く。
扉を開ける。
まだ彼はいない。
私は少しだけがっかりした。
でも、しばらくすると。
「おはよう」
声が聞こえた。
振り返る。
彼が眠そうな顔で立っている。
「おはよう」
「眠い……」
「私も」
「今日も頑張ろうか」
「うん」
二人で笑う。
朝の体育館は、まだ静かだった。
眠い目をこすりながら。
それでも私たちは、今日もボールを追いかける。
毎日同じような朝。
同じ体育館。
同じ練習。
なのに。
彼がいるだけで、少しだけ特別になる。



