【短歌】
十円の 駄菓子を分けた 帰り道 あの日の笑顔 今も甘くて
【短歌をテーマにした物語】
放課後の駄菓子屋で、私は財布を開いた。
「五円しかない……」
小銭を手のひらに乗せる。
学校帰りに何か買おうと思っていたのに、今日はこれだけだった。
「じゃあ、半分こしようよ」
隣にいた彼が言った。
「え?」
「俺も五円出すから。これなら二人で食べられる」
彼が指差したのは、十円の小さな駄菓子だった。
私は笑った。
「そんなに食べたいの?」
「うん。すごく」
「じゃあ、半分ね」
二人で一つの駄菓子を買った。
店を出る。
夕暮れの帰り道。
彼が袋を開けて、駄菓子を二つに割った。
「はい」
「ありがとう」
受け取った私は、一口かじる。
甘い。
でも、それ以上に嬉しかった。
「おいしい?」
彼が聞く。
「うん」
「じゃあ、よかった」
彼は笑った。
その笑顔を見て、私も笑った。
十円のお菓子。
半分にしたから、一人分はほんの少し。
それでも、その日の帰り道は特別だった。
それから毎日。
学校が終わると、私たちは駄菓子屋に寄った。
「今日は何にする?」
「十円のやつ」
「また?」
「だって半分こできるから」
彼はいつも笑った。
雨の日も。
暑い日も。
テストで失敗した日も。
私たちは一つのお菓子を分けた。
大人になれば、もっと高いお菓子だって買える。
好きなものを、一人で全部食べることだってできる。
それなのに。
あの頃の十円のお菓子は、何より甘かった。
十円の 駄菓子を分けた 帰り道 あの日の笑顔 今も甘くて
【短歌をテーマにした物語】
放課後の駄菓子屋で、私は財布を開いた。
「五円しかない……」
小銭を手のひらに乗せる。
学校帰りに何か買おうと思っていたのに、今日はこれだけだった。
「じゃあ、半分こしようよ」
隣にいた彼が言った。
「え?」
「俺も五円出すから。これなら二人で食べられる」
彼が指差したのは、十円の小さな駄菓子だった。
私は笑った。
「そんなに食べたいの?」
「うん。すごく」
「じゃあ、半分ね」
二人で一つの駄菓子を買った。
店を出る。
夕暮れの帰り道。
彼が袋を開けて、駄菓子を二つに割った。
「はい」
「ありがとう」
受け取った私は、一口かじる。
甘い。
でも、それ以上に嬉しかった。
「おいしい?」
彼が聞く。
「うん」
「じゃあ、よかった」
彼は笑った。
その笑顔を見て、私も笑った。
十円のお菓子。
半分にしたから、一人分はほんの少し。
それでも、その日の帰り道は特別だった。
それから毎日。
学校が終わると、私たちは駄菓子屋に寄った。
「今日は何にする?」
「十円のやつ」
「また?」
「だって半分こできるから」
彼はいつも笑った。
雨の日も。
暑い日も。
テストで失敗した日も。
私たちは一つのお菓子を分けた。
大人になれば、もっと高いお菓子だって買える。
好きなものを、一人で全部食べることだってできる。
それなのに。
あの頃の十円のお菓子は、何より甘かった。



