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授業の開始を告げるチャイムが鳴りひびく。
教室から場所を移り、鼓御前は校舎の裏手にある稽古場をおとずれていた。
「はーい、新入生のみなさんははじめまして。三年生担任の虎尾でーす。覡名は花虎尾からきてるわ。花ちゃん先生って呼んでね!」
ぱちんっ。虎尾がお得意のウインクを炸裂させる。
「強烈なひとだな……毎日顔合わせるとか、先輩たち大丈夫ですか?」
「いや、慣れたら無害だ。俺たちからしたら、『鬼神』が担任のおまえたちのほうが気の毒だよ……」
「ひぃぃ……お慈悲を!」
「なんか失礼なこと言われてる気がするわね」
「元気がいっぱいなのはいいことです」
「立花センセって、オトナの対応ねぇ」
鼓御前はふむふむとうなずきながら、「たちばなせんせいは、おとなのたいおう」とメモ帳に記した。
読み書きの練習もかねて、見聞きしたことをこうしてメモしているのである。
ちなみに鼓御前は千菊と虎尾に挟まれるかたちで、生徒たちと向きあっている。
いい機会なので、ふと疑問に思ったことを質問してみた。
「あのう、みなさんお召しかえをしたようですが、袴の色がちがうのは意味があるのですか?」
そう。ふだんは学ランすがたの少年たちが、和装に着替えていたのだ。
全員白衣をまとっていることは共通しているが、差袴の色がちがう。
「三年生のみなさんは、袴が紫色。一年生のみなさんは若葉色。あら? でも莇さんだけ浅葱色ね。どうしてかしら……?」
法則性がまるでわからない。
鼓御前が首をひねっていると、「いい質問ね!」と虎尾が声高に口をひらく。
「それなら縫製局の責任者でもあるアタシが、覡の階級制度について、説明してさしあげましょう!」
虎尾は「見てのとおり、覡の階級は袴の色で示されるわ」と説明しつつ、ホワイトボードをふり返る。そして左手に持ったマーカーで、以下のように書きだした。
●見習い…若葉色 入学時レベル
●三級…浅葱色 在校生レベル
●二級…今紫色 一般レベル
●一級…今紫色(藤の白紋つき) 教諭レベル
●特級…白色(藤の白紋つき) 特例レベル
「ウチに入学したばかりの新入生は、みんな袴が若葉色の見習いさんからはじまるわ」
覡は階級によって、取りあつかうことのできる刀剣の種類が異なる。
三級は短刀のみ。
二級になると脇差や打刀、太刀というふうにあつかえる刀剣も増えてゆく。
一般的には一年をかけて覡の基礎を学んだあと、二年生進級時に三級への昇級試験を受けるらしい。



