静まり返る大広間に、すたすたと少女が乗り込んでくる。
葵葉は目を白黒させた。
寝間着に男物のジャケットとちぐはぐな格好をしているが、その少女はまさに。
「姉さま!? なんでここに!」
「はい、鼓御前でございます! いきさつは花ちゃんおねぇさまにうかがいました。居ても立ってもいられず、こうしてお邪魔したしだいですわ!」
「はなちゃん……だれだそれ」
「ハーイ、アタシが花ちゃんよ。皆々さま、こんばんわぁ」
「え、なんか変なのきた……」
鼓御前に次いで、長身の男がすがたをあらわす。
たしかに男であるはずなのに、女のような言動が葵葉の思考を鈍らせる。
虎尾の登場により、反応を見せた者がもうひとりいた。桐弥だ。
ふだんはあまり表情を変えない桐弥だが、このときばかりは眉をひそめている。
「……あんたか」
「ちょっと九条ちゃん、そんなあからさまに嫌そうな顔しないでよ。担任の、センセーでしょ!」
「天、そんな特級呪物捨ててこっちにこい。毒されるぞ」
「わわっ、父さま……!?」
「アタシのお気にのジャケット特級呪物あつかいするの、やめてくれるぅ!?」
虎尾が抗議するも、桐弥は完全無視。
鼓御前が羽織った虎尾のジャケットを手ではたき落とすと、娘の腕を引いて自身のもとへ抱き寄せた。
突然のことで足がもつれてしまった鼓御前だが、なんとか体勢を立て直し、桐弥のとなりにちょこんと座った。
「んもう、失礼しちゃうわ」
ぶつくさ言いながらジャケットを拾いあげる虎尾へ、千菊が声をかける。
「虎尾先生がいらっしゃるとは思いませんでした」
「あらそーう? アタシは女の子の味方だからね。われらが御刀さまのかわいいおねだりに応えてあげただけよ」
「はい、わたしが花ちゃんおねぇさまにおねがいしました。『典薬寮』のみなさまに、どうしてもお伝えしたいことがありましたので!」
鼓御前はふんす! と胸を張ると、御簾の向こうの人影へ向き直る。
そして道中に予行練習した文言を、満を持して告げるのだった。
「こちらの千菊さまはかつてのあるじ、蘭雪さま。桐弥さまはわたしの父、紫榮さま。そして葵葉はともにいくさを勝ち抜いた弟、青葉時雨にちがいはございません。この鼓御前が、保証いたします!」
決定的なひと言だった。
こうして鼓御前により、千菊らの発言が真であることが証明されたのだ。
葵葉は目を白黒させた。
寝間着に男物のジャケットとちぐはぐな格好をしているが、その少女はまさに。
「姉さま!? なんでここに!」
「はい、鼓御前でございます! いきさつは花ちゃんおねぇさまにうかがいました。居ても立ってもいられず、こうしてお邪魔したしだいですわ!」
「はなちゃん……だれだそれ」
「ハーイ、アタシが花ちゃんよ。皆々さま、こんばんわぁ」
「え、なんか変なのきた……」
鼓御前に次いで、長身の男がすがたをあらわす。
たしかに男であるはずなのに、女のような言動が葵葉の思考を鈍らせる。
虎尾の登場により、反応を見せた者がもうひとりいた。桐弥だ。
ふだんはあまり表情を変えない桐弥だが、このときばかりは眉をひそめている。
「……あんたか」
「ちょっと九条ちゃん、そんなあからさまに嫌そうな顔しないでよ。担任の、センセーでしょ!」
「天、そんな特級呪物捨ててこっちにこい。毒されるぞ」
「わわっ、父さま……!?」
「アタシのお気にのジャケット特級呪物あつかいするの、やめてくれるぅ!?」
虎尾が抗議するも、桐弥は完全無視。
鼓御前が羽織った虎尾のジャケットを手ではたき落とすと、娘の腕を引いて自身のもとへ抱き寄せた。
突然のことで足がもつれてしまった鼓御前だが、なんとか体勢を立て直し、桐弥のとなりにちょこんと座った。
「んもう、失礼しちゃうわ」
ぶつくさ言いながらジャケットを拾いあげる虎尾へ、千菊が声をかける。
「虎尾先生がいらっしゃるとは思いませんでした」
「あらそーう? アタシは女の子の味方だからね。われらが御刀さまのかわいいおねだりに応えてあげただけよ」
「はい、わたしが花ちゃんおねぇさまにおねがいしました。『典薬寮』のみなさまに、どうしてもお伝えしたいことがありましたので!」
鼓御前はふんす! と胸を張ると、御簾の向こうの人影へ向き直る。
そして道中に予行練習した文言を、満を持して告げるのだった。
「こちらの千菊さまはかつてのあるじ、蘭雪さま。桐弥さまはわたしの父、紫榮さま。そして葵葉はともにいくさを勝ち抜いた弟、青葉時雨にちがいはございません。この鼓御前が、保証いたします!」
決定的なひと言だった。
こうして鼓御前により、千菊らの発言が真であることが証明されたのだ。



