御刀さまと花婿たち

「いちばんに、なれたら……そしたら、また会えるって、ずっとそばにいられるって、だから、ずっとずっと、がんばって、きたのに……どうして……なんであいつ、なの……っ!」
「……莇さん?」
「なんで、おれじゃないの……なんで、あいつをえらんだのっ……いやだ、おれがいい……そこにいるのは、おれがいい……! おれをえらんで! つづみごぜんさまぁっ……!」
「莇さ……いっ……!」

 尋常でない力で抱きすくめられ、骨がきしむ。 
 ぐにゃり。視界が大きく歪んだのは、錯覚ではない。

「莇さん! 莇さ……うっ!」

 落ち着かせようにも、取り乱した莇に鼓御前の呼びかけは届かない。
 おのれの言葉のなにが、ここまで莇を錯乱させたのか。
 そのことを理解する猶予が、鼓御前には残されていなかった。

 ──カッ!

(きゃっ……くる、しい……!)

 まばゆい光に目がくらんだ刹那、尋常でない息苦しさが鼓御前を襲った。
 莇から解き放たれた『力』が、津波のように押し寄せる。

(あたまが、クラクラ、する……もう、だ、め……)

 荒波にもまれているかのような感覚。
 さらに息もできないほどの熱気にあてられ、鼓御前の意識が白く遠のいてゆく。

「──だれの許可を得て姉さまにベタベタさわってやがる、くそ野郎」

 突然の解放感にみまわれたのは、鼓御前が完全に意識を手放す、一歩手前のことだった。