御刀さまと花婿たち

「クラスのみんなとは、仲良くできそうですか?」
「えぇ、みなさん口下手なわたしにも親切に接してくださって、うれしいかぎりです」

 代わる代わるあいさつへやってきた少年たちのことを思いだし、鼓御前のほほがゆるむ。

 神梛高等専門学校へ入学してくるほとんどが、男子である。
 さらに十五歳であること、全寮制であるため、親元をはなれて生活をはじめることなど、鼓御前はいろんなことを知った。

「きみは、だれのことを話すときも、愛おしげな目をしますね」
「永い永い時のあいだ、人々に愛され、付喪となった身ですもの。人の子を愛することは、刀として当然のことですわ」
「そうですか。……妬けますね」
「え?」

 なにかつぶやかれた気がしたが、ゆるやかな笑みが返ってくるだけだ。
 千菊にほほ笑みかけられると顔が熱くなる現象を、無垢な鼓御前はまだ理解できない。

「そ、そういえば、さきほどの式典にも葵葉のすがたがありませんでした! あの子がどうしているか、あるじさまはごぞんじですか?」

 気恥ずかしくなり、思わず脈絡のない話題をふった鼓御前へ、さらりと返答がある。

「知っていますよ。ルームメイトのところに行っているはずです」
「るーむめいと……たしか、同じお部屋で暮らすことになるご友人、のことでしたよね?」
「そのとおり。よくできましたね」

 千菊に頭をなでられ、うれしい半分、もう半分は疑問が浮かぶ。
 今日入学式に出席していたクラスメイトとは、全員顔合わせをしたはずだ。
 だが、そこに葵葉のすがたがなかったということは──

「つづもお見舞いに行きますか? あの子のルームメイトで、新入生代表の子は、あいにく怪我をして入院中なんです」

 すべてを見透かしたような千菊の言葉に、鼓御前はうなずく以外の選択肢が思い浮かばなかった。