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いったいどういうことだ。
わけがわからない。
ひなに腕を引かれるまま、莇は神社の大広間へ通される。
そこで、信じられない光景を目にした。
「そっちはだめです、あーっ! 莇さんいいところに! つかまえてくださーいっ!」
「え……」
障子を開けるやいなや、鼓御前の悲鳴がひびきわたった。
それから、なにやらガサガサと俊敏な動きをするものが、こちらへ突進してくることに気づき。
「こう、ですか!?」
莇はとっさにかがみ込み、『それ』を両手でつかむ。
「さすが莇さんです! うわーん、よかったですー!」
「えぇっと……」
安堵から号泣している鼓御前。
よくわからない莇は、両手で捕獲した『それ』に視線を落とす。
「…………亀?」
甲羅の色は黒。手のひらよりすこし大きいサイズだ。
一見して亀に見えるが、それはただの亀ではなかった。
なぜなら、にょろにょろと動く蛇のしっぽを持っていたのである。
「玄武の玄丸ちゃんです!」
「玄武……といいますと、四神の?」
「はい。厳密には四神を模して、わたしの神気から生みだした眷属なのですが、お札から逃げだしてしまって……」
涙目の鼓御前が、うしろをふり返る。
「おい、いいこにしろよ……いって!」
「シャー!」
あるところでは、縞もようの白猫に、葵葉が手の甲を引っ掻かれており。
「コケーッ! コケーッ!」
「やかましい! この鳥畜生!」
あるところでは、にわとりのようにけたたましく鳴く赤い孔雀が、桐弥に叱りつけられており。
「にぎやかですねぇ」
あるところでは、ほほ笑みを浮かべた千菊のまわりを、青い竜のようなもの(さほど大きくはない)がふよふよと飛んでおり。
「これぞまさしく、カオスってやつね」
「と、虎尾先生! いらしたのですか!?」
しまいにはどこからか現れた虎尾に、莇は度肝を抜かれる。
「当然よ。つづちゃんに結界の張り方を教えたのは、アタシだもの」
「結界……ですか?」
「まぁとにかく、お座りなさいな。あ、亀ちゃんは逃げないように、そこにひっくり返しておいて」
どうしよう、なにひとつ理解できないのだが。
莇は人知れず、泣きたくなった。



