御刀さまと花婿たち

 かごめ かごめ……

(……唄声が、聞こえる)

 気がつくと、鼓御前は真っ暗な空間のなかにいた。
 ぼんやりとあたりを見渡せども、なにも見えない。

 かごの なかの とりは
 いついつ でやる

(これは……わらべ唄?)

 どこからか、唄声だけがひびく。

 よあけの ばんに
 つると かめが すべった

 その唄声は、だんだんと鮮明になってゆく。
 足音を、近づけるかのように。
 
「うしろのしょうめん、だぁれ?」
「……っ!?」

 耳もとに吐息がかかり、鼓御前は飛びのく。
 いつの間にだろう。背後に人影があった。
 だれかがいることはわかるのに、暗闇に阻まれ、すがたをうかがうことができない。

「……だれですか?」

 警戒する鼓御前の問いに、答えはない。
 くすくす……と、笑い声がひびくばかりで。

「鼓御前」

 くすくす、くすくす。
 先の見えない闇のなか、鼓御前を呼んだ声は──

「可哀想な子」

 わらべではなく、少女のものだった。