御刀さまと花婿たち


  *  *  *


 ちょうど三日後の朝。
 蘭雪が目をさますと、枕もとにひと振りの刀が置かれていた。
 刀を白鞘から抜き、蘭雪は感嘆をもらす。
 刃を研がれ、以前よりちいさくなってしまったけれど、間違いない。
 その刀は、『天鼓丸』だった。

『この子は、あなたに託します』

 あの日、刀鍛冶の男は言っていた。

『ですから、約束をしてください。この子に生涯寄り添い、たいせつに後世へつたえていくと』

 いまとなっては、その男の顔もよく思いだせない。
 夢のような出来事だった。
 けれども、腕のなかにある刀の存在は、たしかなものだ。

「……おかえり」

 彼女が主と認めてくれたのなら。
 蘭雪も、生涯をかけて彼女をたいせつにしたいと、強く誓った。

「私といっしょに生きましょう──わが愛しの君、鼓御前」

 これが、蘭雪と愛刀『鼓御前』の物語。
 そして戦乱の世に、竜神のごとくその名を轟かせる『鳴神将軍』の、伝説のはじまり。