「予感は的中したわ。その後蘭雪さまのお墓が暴かれて、この子は、何者かに連れ去られてしまった……」
銘を隠したところで、無意味だった。
そこでようやく、虎尾は気づいたのだ。
「この子を連れ去ったのは、人ならざるモノ。怨霊なのよ。この子を欲して、何百年もさまよい続けていた鬼──アレのことを、アタシは『墓荒らしの鬼』と呼んでいるわ」
すこしずつ、すこしずつ、秘められた真実が明らかになってゆく。
「『墓荒らしの鬼』……」
無意識のうちにつぶやく莇。
それを一瞥した虎尾は、次いで千菊へ視線を移した。
「ウチの子に手を出されて、黙っていられるわけがないじゃない。アタシもね、瘴気反応をたよりに、あのストーカー野郎の行方を追っていたのよ。でも、あるときからぜんぜん気配が感じられなくなったの」
「気配が消えた……ということは」
「アタシも知らないうちに、アレが忽然とすがたを消さざるを得ないような『なにか』が、起きたってこと」
「その『なにか』は、『墓荒らしの鬼』にとって予想外の出来事だったのでしょうね。そうでなければ、『鼓御前』という刀が、今日までつたえられることはなかったはずですから」
だれもが、はっとしたように千菊に注目する。
そのなかで虎尾だけが、静かにうなずき返した。
「そう。そしてその出来事に関わっているであろう人物の名前だけは、アタシも知っているわ。矢一というひとに心当たりがありますでしょう、蘭雪さま? いいえ、立花センセ」
「──!」
その瞬間、千菊の肩がびくりと跳ねる。
「もちろん知っていますとも。矢一は……私の忠実な臣下だった、青年の名です」
「矢一……お待ちください」
この千菊の発言に、動揺を見せる者がいた。
莇だ。
「立花先生……もしやその方は、弓がお得意ではありませんでしたか?」
「えぇ、矢一は弓の名手でした。私も彼以上の腕をもつ人物を知りません。……莇さんは、なぜそれを?」
「そんな……やはり」
混乱を隠しきれない面持ちで、莇は千菊を見つめる。
「わが鬼塚家の始祖とされるお方の名が……鬼塚矢一です」
「…………なんですって」
これには、千菊も言葉を失う。
「ね、言ったでしょ。すべての鍵をにぎっているのは、莇ちゃんだって」
虎尾の言葉の意味を、ようやく鼓御前たちは思い知るのだった。
銘を隠したところで、無意味だった。
そこでようやく、虎尾は気づいたのだ。
「この子を連れ去ったのは、人ならざるモノ。怨霊なのよ。この子を欲して、何百年もさまよい続けていた鬼──アレのことを、アタシは『墓荒らしの鬼』と呼んでいるわ」
すこしずつ、すこしずつ、秘められた真実が明らかになってゆく。
「『墓荒らしの鬼』……」
無意識のうちにつぶやく莇。
それを一瞥した虎尾は、次いで千菊へ視線を移した。
「ウチの子に手を出されて、黙っていられるわけがないじゃない。アタシもね、瘴気反応をたよりに、あのストーカー野郎の行方を追っていたのよ。でも、あるときからぜんぜん気配が感じられなくなったの」
「気配が消えた……ということは」
「アタシも知らないうちに、アレが忽然とすがたを消さざるを得ないような『なにか』が、起きたってこと」
「その『なにか』は、『墓荒らしの鬼』にとって予想外の出来事だったのでしょうね。そうでなければ、『鼓御前』という刀が、今日までつたえられることはなかったはずですから」
だれもが、はっとしたように千菊に注目する。
そのなかで虎尾だけが、静かにうなずき返した。
「そう。そしてその出来事に関わっているであろう人物の名前だけは、アタシも知っているわ。矢一というひとに心当たりがありますでしょう、蘭雪さま? いいえ、立花センセ」
「──!」
その瞬間、千菊の肩がびくりと跳ねる。
「もちろん知っていますとも。矢一は……私の忠実な臣下だった、青年の名です」
「矢一……お待ちください」
この千菊の発言に、動揺を見せる者がいた。
莇だ。
「立花先生……もしやその方は、弓がお得意ではありませんでしたか?」
「えぇ、矢一は弓の名手でした。私も彼以上の腕をもつ人物を知りません。……莇さんは、なぜそれを?」
「そんな……やはり」
混乱を隠しきれない面持ちで、莇は千菊を見つめる。
「わが鬼塚家の始祖とされるお方の名が……鬼塚矢一です」
「…………なんですって」
これには、千菊も言葉を失う。
「ね、言ったでしょ。すべての鍵をにぎっているのは、莇ちゃんだって」
虎尾の言葉の意味を、ようやく鼓御前たちは思い知るのだった。



