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〝慰〟による兎鞠神社の襲撃から、早七日が経過した。
この間、立花家や鬼塚家をはじめとした覡が島の警戒にあたっているが、進展はない。
変わったことを挙げるとすれば、鼓御前の世話役が、陣からひなへもどったことだ。
神社襲撃事件を受け、ひなも九条家へ身を寄せることになったのである。
「近ごろは陣さまのおすがたを見ませんね……結界の維持作業がたいへんなのかしら」
「それもあると思いますが……もしかすれば、私を気遣ってくださったのかもしれません」
桐弥が起きたのを見はからい、ひなが鼓御前の部屋へやってくる。
身支度を手伝うためだ。
もはや習慣と化した日常のさなかに、鼓御前は首をかしげる。
(陣さまはひなさんの気がまぎれるように、お世話のお役目を譲ってくださったのね。なるほど)
すこし考えて、鼓御前も納得した。
ひなの右手首に巻かれた包帯は、いまだに取れない。
浅くはない傷だったのだろう。
それでも鼓御前の寝癖を直したり身支度を手伝うひなは、いくらか表情に活気がもどっているようであった。
「鼓御前さま、朝食後、本日のご予定はどうなされますか?」
「はい、父さまの神楽のお稽古のおてつだいをします! ……といっても、見学くらいしかできることがないのですけれど」
『奉納祭』の神楽は、予定どおり執り行う。
襲撃事件の翌日、桐弥により、その旨が周知された。
これは、鼓御前もじゅうぶんに理解を示してのことだ。
桐弥は生まれつきからだが弱い。
神楽を一晩中舞い続ける体力はない。
霊力で肉体強化をすることで、どうにか保っていたところが現状だ。
だが、覡にとって霊力は生命力と同義。
使いすぎれば命を落としてしまう。
「でしたら、代わりにわたしの神気をおわたしすればよいのでは?」
「…………は?」
そんなとき、鼓御前によるまさかの発案があったのだ。
「神気は多すぎると人の身に毒ですが、適度に注げば霊力の代わりになるかと!」
というのが、鼓御前の言い分だ。
とんでもない見解だ。
御刀さまと覡のあいだで、そうした事例があったという裏付けもない。
しかし、ここでひとびとは思いだした。
御刀さまと覡のあいだでは、前例がなかったことを。
「──え? 神気を注がれるのは、どんな気分ですかって?」
そんなわけで、重要参考人として『あのふたり』が呼ばれたのだ。
言わずもがな。
世紀の大恋愛の末に見事むすばれた、ふゆと紫陽である。
「そうですねぇ、からだがぽかぽか温まります。それに、元気がみなぎってきますわ。紫陽さまに抱きしめられているときみたいにねぇ」
「もう、ふゆったらかわいいこと言うんだからっ!」
公衆の面前でいちゃつくのはともかく。
ふゆの証言は、鼓御前たちに有益な情報をもたらした。
「ほら、思ったとおりでしたね! 父さま!」
「…………うそだろ」
これには『沈黙の九条』も、おどろきを禁じえなかったという。



