「お一人様ですか?」
アルバイトらしき大学生くらいの若い男性店員に聞かれて「はい」と答える。
「こちらどうぞ」
そう言って案内されたのは、カウンター席だった。
よかったと安堵の息を吐く。カウンターなら一人客でも不自然ではない。
私は席についてメニューを見るが、お冷とおしぼりを運んできた先程の店員に注文する。
「日替わりで」
即決だった。そして数分後。
目の前に生姜焼きが現れた。
脂身の乗った豚肉と一緒に炒められたお店特製という濃厚甘辛ダレに浸された玉ねぎ。
シャキシャキした千切りキャベツに、ツヤツヤの米が光る炊き立ての白いご飯。
汁物は具沢山の大根と人参の根菜の味噌汁だった。
ひたひたになるまで漬けられたきゅうりと大根の自家製という漬物。
「完璧……」
私は生姜焼きを一枚取るとご飯に乗せて早速頬張る。
甘辛い自家製タレが空腹に染み入り、後追いの生姜のピリリとした辛さがクセになる。
「……っ」
これは美味しい。朝ご飯とは違う方向の幸せだ。
甘辛いタレに生姜の香り、口の中でとろける豚肉の脂、そしてほかほかの白米。
一口食べるたびに、少しずつ元気になっていくのを感じる。
仕事で疲れていたわけではないけれど、身体の中に燃料が入っていく感じがしたのでだった。
ご飯をもう一口食べると、次いで生姜焼きを口にする。両者の間にキャベツを挟めば豚肉の脂なんてリセットされる。
そして味噌汁でひと息ついたところで、また生姜焼き。
気づけば、ご飯が半分なくなっていた。
「……出張って、いいな」
朝も同じことを言った気がする。
でも、本当にそう思った。
いつもの昼休みなら、会社の近くで適当に済ませる。
午後の仕事のことを考えつう、スマホを見ながら食べる。誰かと一緒なら、話をしながら食事をする。
それが悪いわけではないし、むしろ好きなくらいだ。
だけどこうして一人で食べると、食べ物の味がいつもよりよくわかる。
タレの甘さや生姜の辛さ、豚肉の柔らかさ。
ご飯の熱さに、味噌汁の塩気。
そんなものを、一つずつ味わえる。
食事って、本当はこんなに忙しくないものだったのかもしれない。
目まぐるしい日々の生活の中ですっかり忘れていたが。
「ご馳走様でした」
普段の自分を回想しているうちに、あっという間に生姜焼き定食を完食したのだった。
アルバイトらしき大学生くらいの若い男性店員に聞かれて「はい」と答える。
「こちらどうぞ」
そう言って案内されたのは、カウンター席だった。
よかったと安堵の息を吐く。カウンターなら一人客でも不自然ではない。
私は席についてメニューを見るが、お冷とおしぼりを運んできた先程の店員に注文する。
「日替わりで」
即決だった。そして数分後。
目の前に生姜焼きが現れた。
脂身の乗った豚肉と一緒に炒められたお店特製という濃厚甘辛ダレに浸された玉ねぎ。
シャキシャキした千切りキャベツに、ツヤツヤの米が光る炊き立ての白いご飯。
汁物は具沢山の大根と人参の根菜の味噌汁だった。
ひたひたになるまで漬けられたきゅうりと大根の自家製という漬物。
「完璧……」
私は生姜焼きを一枚取るとご飯に乗せて早速頬張る。
甘辛い自家製タレが空腹に染み入り、後追いの生姜のピリリとした辛さがクセになる。
「……っ」
これは美味しい。朝ご飯とは違う方向の幸せだ。
甘辛いタレに生姜の香り、口の中でとろける豚肉の脂、そしてほかほかの白米。
一口食べるたびに、少しずつ元気になっていくのを感じる。
仕事で疲れていたわけではないけれど、身体の中に燃料が入っていく感じがしたのでだった。
ご飯をもう一口食べると、次いで生姜焼きを口にする。両者の間にキャベツを挟めば豚肉の脂なんてリセットされる。
そして味噌汁でひと息ついたところで、また生姜焼き。
気づけば、ご飯が半分なくなっていた。
「……出張って、いいな」
朝も同じことを言った気がする。
でも、本当にそう思った。
いつもの昼休みなら、会社の近くで適当に済ませる。
午後の仕事のことを考えつう、スマホを見ながら食べる。誰かと一緒なら、話をしながら食事をする。
それが悪いわけではないし、むしろ好きなくらいだ。
だけどこうして一人で食べると、食べ物の味がいつもよりよくわかる。
タレの甘さや生姜の辛さ、豚肉の柔らかさ。
ご飯の熱さに、味噌汁の塩気。
そんなものを、一つずつ味わえる。
食事って、本当はこんなに忙しくないものだったのかもしれない。
目まぐるしい日々の生活の中ですっかり忘れていたが。
「ご馳走様でした」
普段の自分を回想しているうちに、あっという間に生姜焼き定食を完食したのだった。
