「いただきます」
目の前に並んだ朝ご飯を見て、私は思った。
(朝から、ちゃんとしてる)
こんがりとした赤身から滴る脂に包まれた焼き鮭、だし巻き卵はシンプルに塩と出汁だけ、サービスという日替わり小鉢はほうれん草のおひたしらしい。
日本海で収穫された海苔、山形県産の白米を羽釜で炊いたご飯、味噌汁は豆腐とわかめという定番の具材。
まるで旅館の朝食みたいで、出張で東京に来たことを忘れそうになる。
「いただきます」
私は箸を取るとまずは鮭の皮の部分を箸で少しだけ割る。
脂が乗った赤身をご飯に乗せて、熱々の白米一口。
「……おいしい」
思わず声が漏れてしまう。
焼き鮭なんて東京でしか食べられない料理ではない。だし巻き卵だって、地元でも食べられる。
それなのにーー今日の朝ご飯は、妙に美味しい。
たぶん自分で選んだからだ。
普段の朝は、時間に追われて食べている。
でも今日は違う。自分で店を選んで席に座って、自分で注文した。
そして今は自分が食べたいものを食べている。
それだけのことなのに。
「出張って……意外といいかも」
焼き鮭をもう一口食べたところで気づく。
私は今一人で、誰にも急かされない。
誰かの好みに合わせなくていい。
好きなものを好きな順番で食べていい。
朝からご飯をおかわりしたっていい。
卓上のメニュー表によると、ご飯と味噌汁はおかわり自由となっていた。
「すみません……おかわりください」
店員さんにそう声を掛けて茶碗を渡す。
厨房に消えた店員さんの背を眺めながら、いい歳した大人が朝から二杯なんて何をやっているのかと正気に戻ってしまう。
やってしまったという後悔と、でも今日くらいいいじゃないかという満足の二つの気持ちが胸の裡に生まれる。
(今日くらいはいいよね。なんてたって出張なんだから)
目の前に並んだ朝ご飯を見て、私は思った。
(朝から、ちゃんとしてる)
こんがりとした赤身から滴る脂に包まれた焼き鮭、だし巻き卵はシンプルに塩と出汁だけ、サービスという日替わり小鉢はほうれん草のおひたしらしい。
日本海で収穫された海苔、山形県産の白米を羽釜で炊いたご飯、味噌汁は豆腐とわかめという定番の具材。
まるで旅館の朝食みたいで、出張で東京に来たことを忘れそうになる。
「いただきます」
私は箸を取るとまずは鮭の皮の部分を箸で少しだけ割る。
脂が乗った赤身をご飯に乗せて、熱々の白米一口。
「……おいしい」
思わず声が漏れてしまう。
焼き鮭なんて東京でしか食べられない料理ではない。だし巻き卵だって、地元でも食べられる。
それなのにーー今日の朝ご飯は、妙に美味しい。
たぶん自分で選んだからだ。
普段の朝は、時間に追われて食べている。
でも今日は違う。自分で店を選んで席に座って、自分で注文した。
そして今は自分が食べたいものを食べている。
それだけのことなのに。
「出張って……意外といいかも」
焼き鮭をもう一口食べたところで気づく。
私は今一人で、誰にも急かされない。
誰かの好みに合わせなくていい。
好きなものを好きな順番で食べていい。
朝からご飯をおかわりしたっていい。
卓上のメニュー表によると、ご飯と味噌汁はおかわり自由となっていた。
「すみません……おかわりください」
店員さんにそう声を掛けて茶碗を渡す。
厨房に消えた店員さんの背を眺めながら、いい歳した大人が朝から二杯なんて何をやっているのかと正気に戻ってしまう。
やってしまったという後悔と、でも今日くらいいいじゃないかという満足の二つの気持ちが胸の裡に生まれる。
(今日くらいはいいよね。なんてたって出張なんだから)
