西園寺さんの出張めし

第三話 宇都宮餃子とイケメン室長


 出張の帰り道は完全オフ時間だ。在来線を乗り継いで、宇都宮駅で一度降りる。

新幹線の発車時刻までまだ一時間ほどあった。

せっかく宇都宮まで来たのだから、そのまま帰るのはもったいない。

私はスーツケースを引きながら駅ビルへ向かった。

目指すのは餃子店。

香ばしいごま油の香りが店の外まで匂っている。ごくりと喉を鳴らした。

「いらっしゃい!」

 席に着くなり餃子と生ビールを注文する。

平日の昼時とあってスーツ姿の男性客が多い。

「お疲れ様、私」

 一人小さく乾杯するとビールを喉に流し込んだ。

「はぁ……生き返る」

 仕事を終えたあとの一杯は、何よりのご褒美だ。

続いて、こんがり焼き色の付いた餃子が運ばれてくる。

熱々を一つ頬張る。パリッと香ばしい皮を噛むと、中から肉汁がじゅわっとあふれ、ニンニクと野菜の甘みが口いっぱいに広がった。

「は、はふっ、うんうん、美味しい」

 思わず頬が緩む。

おしゃれなイタリアンももちろん好きだけれど、こういう肩肘張らないご当地グルメも大好きだ。

もう一皿は変わり種のチーズ。これはもう言うまでも無い。

ビールに合いすぎる。これ以上ない組み合わせに、自然と箸が進む。

店を出るころには、すっかりお腹も心も満たされていた。

帰る前に駅ビルの土産物売り場へ立ち寄る。

苺のお菓子がとても多い。チョコにクッキーラスクに羊羹。

さすがは生産量日本一なだけはある。

店内を歩いていると、宇都宮駅餃子ののぼりが目に入る。冷凍餃子だ。

さっき食べたばかりなのに、お土産でも買いたくなる。

「どれにしようかな」

 有名店の餃子がずらりと並ぶ冷凍ケースを前に、思わず目移りしてしまう。

結局、有名店のものと、気になった店のものを一箱ずつ購入した。

都内では取り扱っていない。ご当地ものを買うのも出張の楽しみの一つだ。

 発車時刻まであと十分を過ぎ、私は買ったばかりの冷凍餃子の袋を下げて足早にホームへ向かった。